11勇者の仲間視点 クロッチェ
「おい、あれ大丈夫なのか」
「分からん」
「ですが、もう5日も飛ばしっぱなしじゃありませんの……」
もうキツいと言うアマンダに神官のモンスパルが宥めているが、正直俺もキツい。騎士のセルジオだけが勇者の強行軍に何の文句もなさそうについてけるのが凄い。
俺も狩りで結構鍛えてると思ってたけど、やっぱり騎士には敵わない。今度時間があれば鍛えてもらいたいけど、この強行軍でそんな時間あるかな?
そんなことを考えながら先頭の勇者の姿を再び見る。
元は平民だって聞いたけど、そんな感じは一切ないから多分どっかで貴族の血が混じってるはずだ。もしくは貴族の愛人の子だとか。
貴族のアマンダといても見劣りしないし、優しいし、勇者だし、見た目だって隠したがっているがとてつもなくいいのを知っている。あれで顔を晒してたら世の中の女性根こそぎかっさらっていったであろうが、幸い当の本人は隠したがっているし、ただ一人の少女に御執心だからその心配はなさそうだ。
その執心を一心に受けるはずの少女は現在行方不明。
聖女でもあるその少女が死んだと聞いた時は焦ったが、モンスパルが神殿に問い合わせて返って来た返事には本当に聖女が死んでいたら予言が変わっているはずなのに変わってない。それならば聖女はどこかで生きているはずだと。
聖女がどこにいるかは分からなかったけど、一応生きていると分かってようやく勇者は安心していた。
勇者は聖女が死んでないと分かるとすぐにこの強行軍に入った。全くやってられないよ。
聖女はド田舎で暮らしていた豊穣の力をも持つ異能力者。普通そんな異能があったら国に囲われることを望むはずなのに、聖女である少女はその要請をひたすら断り続けていた。
初めて聞いた時は変わり者がいるんだなぐらいにしか思わなかったけど、年々上がっていく彼女の評判に俺たち平民は彼女に少なからず期待してた。国の上の連中だけじゃなくて、俺たちみたいな普通の奴らに何かあった時に助けてくれるんじゃないかって。
なのにだ、勇者は彼女に夢中になっているから言わないけど、逃げ出すような聖女なんて居なくてもいいんじゃないかって俺は思ってる。
国の庇護下に入んなかったのも、なんかとんでもない我が儘を言って上の連中を困らせてそれ見て嗤っていたのかもしんないと思うとどうしてあんな奴に期待してたのかも分からんくなってくる。腹立たしい。
そんな我が儘な奴要る意味あるのだろうか?
だって勇者いるし、俺たちが力を合わせればどんな敵も倒せないはずはないんだ。聖女なんて勇者の後始末のようなものだってモンスパルが言ってたし。
魔王を倒すのに絶対に必要だって言うのなら見つけ次第縄で縛って簀巻きにして持って行けばいい。俺は運ぶの嫌だから勇者かセルジオが運べばいい。俺は近付きたくもないからな!
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