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結局あたしは逃げなかった。
だって逃げたらまたかって言われそうで癪だったんだもの。
アマンダとカナリアにはギャフンと言わせたい。
でも、意志が弱いのでクロッチェがつけた紐のところからそそくさと離れたわよ。
いつまでもあそこにいたら外に出ることしか考えられなくなっちゃいそうだもん。さっさと離れるに限る。
とはいえどこに行こうか。
魔獣が居なくて人が居そうな場所なんて思い付く訳がない。
蔦をまた思いっきし伸ばして見つけてもらって辿ってもらおうかなと一瞬考えたけど、労力に見合わない気がして森をふらふらとさ迷っていたらばったりとシルシェさんとクミンさんに出くわした。
「シルシェさん! クミンさん!」
「リュリュよかった! ここに居たのか」
「ご無事でよかったです!」
「お二人も大丈夫でしたか?」
「ええ、私たちは平気です」
「それより移動しよう」
「あ、はい」
そうだよね。他の人は居ないからここで立ち止まっていたって仕方ないし。
「何者かが後をつけているからね」
「えっ?!」
どういうこと?!
◇◇◇◇◇◇
森に入ってからしばらくしたら後をつけてくる者がいるらしい。
他の遭難者? とも思わなくもなかったが、接触してくる様子もなくただ後を着いて来るだけなんだとか。
同じ遭難者じゃなければストー●ー? それとも魔獣ではないのなら魔族の可能性だってある。
もしかしなくても二人に出くわしたの間違いだったかも。
それにしても、追いかけてきてるって分かってるのにどうして戦わなかったんだろう。ノヴァの話だとシルシェさんはかなり強いらしいし、クミンさんも戦えるみたいなことを言っていたのに。
聞いてみようかとも思わないでもなかったけど、やぶ蛇になってしまったら嫌なので黙っておく。
二人にはトールとはぐれてノヴァと勇者の仲間たちと出会ったけど再びはぐれしまったことは伝えた。
呆れられてしまうかなと思ったけどそんなことはなく二人共転んですりむいてしまったことを心配してくれた。
やっぱり勇者の仲間とは違って二人共優しくて好き。
二人もノヴァとはぐれた時のことを教えてくれたので多分あたしは結構早くにノヴァを見つけたんじゃないかな?
そんなことを考えながら三人で歩いているとシルシェさんが前に出たと思ったら魔獣が飛び出してきてささっとシルシェさんが倒してしまった。
「リュリュ大丈夫でしたか?」
「あ、はい」
確かにノヴァの言う通り強い。一人だと魔獣に襲われた時にどうしようかと迷っていたけど、戦える人が近くに居ると安心感が半端ない。
クミンさんに返事をしながら返り血すら浴びていないシルシェさんの姿に見惚れてしまいそうになる。
「シルシェさんみたく強くなれたらなぁ」
「リュリュは戦う必要はないよ。そんなのは他の人に任せてしまえばいい」
「そうですね。面倒ごとは勇者に任せてしまえばいいんですよ」
前々から思っていたけどお二人も勇者のこと嫌いですよね。




