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「はー。どうしよう」
追いかけたところであたしの足じゃ追い付けないだろうっていうか、完全に見失ってしまったから追いかけたって無駄よね。
ぱんぱんと転んだ時についた砂ぼこりを払い落として怪我してないか確認してから歩き出す。
「痛い……」
転んだ時に両膝を思いっきりすりむいてしまったからかなり痛くて走れそうにない。
みんなのことを追いかけるのは完全に諦めてゆっくりとした足取りで歩きたかったけど、いつまた魔獣が現れるが分からないので出来るだけ歩く。
というか、どうして誰もあたしが転んだことに気付かないのよ。
転んだ時に音とかしたじゃないの?!
「誰かに会えたらいいんだけど……」
そんなことを言ったら魔獣が来るフラグなのかもしれないけど、物音一つしないので近くには何も居ないのだろう。
最近は勇者たちとトールたちと一緒に居たから忘れて居たけど、あたしってどっちかといったらぼっち属性だから仕方ないのかもしれない。寂しい。
森から抜け出せるなら今あたし一人なのは喜ぶところなんだろうけど、こんな物騒な場所で一人は嫌過ぎる。
勇者でもいいから出てきなさいよと思うものの誰も居ない。
ため息を吐いて痛む膝を刺激しないように歩きながら周辺に気を配る。
アマンダもノヴァも騎士の人も居ない。いざとなったら戦うのはあたしだ。木の上に逃げるにしろ植物で串刺しにするにしろ色々調べておいた方がいい。
「あら?」
周辺に生えている木を見て森に入って最初に足を止めた辺りとは異なる木が生えていることに気付く。
だいぶ遠くまで来たってこと?
他の木も一本一本見比べているとこの辺りの木はバラバラの品種だ。
普通大きな森だと同じような木ばかりになるか違う木も生えることはあるが、少し離れた場所に生えるかだ。
この辺りの植物のことを調べたらもしかしたらこの森を抜け出せるかもしれない。
異能を使ってみても使えるかしら? と思ったけど、やっぱり異能は使い辛かった。
異能は諦めて周辺を調べるだけにしようかと地面を見たり、転がっている石を持ち上げて虫が居ないか確認していると視界の端に何か写った。
何だ? と顔をそちらに向けると風にたなびく細い布。
これってクロッチェが森に入った時にしていた目印?
もしかしてこれを辿って行けば森の外に出られる? それならこの辺りの植樹がち違うのは森が浅いからとか? こんなことなら育てる野菜や花何かよりも木とか山について調べておけばよかったかも。
どうしよう、出口が近いのなら森から出ちゃう?
出たらアマンダが怒り狂うだろうし、トールと離れることになる。それにアマンダたちに伝えたとは言えクロッチェの怪我も気になる。
でも、外に出れたら見つからない限りは怒られることはない。
変装用のカツラとかはまだ持っているし、出ちゃってもいいんじゃない?
もしかしたらクロッチェも誰かが見つけて治療を受けた可能性だってある。
それに、あたしが転んではぐれたのも気付かれなかったんだものこれは神様が与えてくれたチャンスなんじゃないの?
どうしようか。ぐずぐずしていたら誰かもしくは魔獣が来るかもしれない。決断するのなら早い方がいい。




