106勇者の仲間セルジオ視点5
「えっと、僕は怪我は治せるけど病気は無理なんだ。ごめんね」
「そんな……」
トールならば病気も治せると思っていたのに申し訳なさそうな顔をするトールにアマンダが絶望したような顔をする。
妖精はミックーとスヒィと言う名前で魔王の力のせいで仲間とはぐれてしまったために二人にくっついて仲間を探しているらしい。
それは分かったが聖女の嬢ちゃんが居なくなってしまったのは黙っておきたかったのにアマンダが喋ってしまったせいでせっかく合流出来たのにまたはぐれてしまったと知られてしまうとは。
思わず勇者の怒りは買いたくなくてアマンダから離れたが、勇者はいつも通り何を考えているのか分からない顔をしていた。
「リュリュ様を探そう」
「トール様薬! これ飲んで」
ノヴァがトールに薬を渡してトールは嫌そうな顔をしていたが受け取って飲んでるのが見えた。あっちはなんか平和そうだな。
「薬よく持ってたね」
「念のためにクミンに持たされてたんだよ。俺は使わないだろうと思ってたけど」
「クミンとシルシェは?」
「はぐれちまった」
「そうか。じゃあ、今居ないのは三人だね」
クロッチェもいるのか。
「無事だったか。聖女の嬢ちゃんから怪我をしたと聞いて心配していたぞ」
「ああ、この二人が来て助けてくれたが、着替え貸してくれないか? 血まみれでこれじゃあもう着れねえ」
皆の会話が一段落したのを見計らってクロッチェに声を掛けると服を貸せという。
クロッチェと体格には差があるが、モンスパルや勇者の方がいいんじゃないのか?
そう思ったがクロッチェは早くしろと急かしてくるので仕方なく荷物を開いて一番上にあった着替えを渡す。
「助かった。ちょっと着替えてくるわ」
「早くしろよ」
「分かっている。勇者、聖女の嬢ちゃんを探しに行きたいんだが」
「別々に探すのは避けたい」
「それは分かってる」
「あ、シルシェとクミンも探してくれ!」
「もちろんだ」
後三人。
魔王の力の欠片がこの森にあるとしたら。
「そこの妖精」
「妖精じゃなくてミックーだよぉ」
「……スヒィ」
「あ、ああ、ミックーとスヒィに聞きたいんだが、魔王の力の欠片を手に入れたらこの森はどうなる?」
尋ねると二人? 二匹? は顔を見合せている。分からないのか?
「んーとぉ、長老に聞いたら詳しく分かると思うけどぉ」
「多分なくなるかも?」
「本当か?!」
「多分……」
それはいいことを聞いた。
それならば森に取り込まれた村も救われるはずだし、俺たちも簡単に外に出られる。
三人を探しながら欠片を探せばすぐに出よう。
「君らは魔王の力の欠片の気配みたいなのは分かるか?」
「えっと」
「どうなんだろ?」
二人は首を傾げながら何事かを囁き合っている。
「待たせたな」
クロッチェが着替えを済ませて戻ってきた。
「やっぱり服大きかったか」
「いや、でも動きやすいぞ」
丈が合ってなくて見苦しい気がしないでもないが、本人は気にしてなさそうだ。
元々着ていた服はどうしたのか聞いてみたらどっかの村に行ったら捨てるとのこと。それまでは俺の服を借りる気だとか。貸すべきじゃなかったか。
「クロッチェの準備も整ったみたいだし行くぞ」
勇者の言葉にそれぞれ返事をして歩き出した。




