105勇者の仲間アマンダ視点5
「おい、リュリュは?!」
「えっ?!」
ノヴァの言葉に振り返りましたら聖女の姿はいつの間にかなくなっていましたわ。
「どういうことなんですの?!」
逃げた? いえ、この森が危険なのは聖女がいくらお馬鹿だったといたしましても魔獣がうようよしている森で逃げるはずがありませんわ。
「セルジオとモンスパルは気付いていらして?」
「いや、全く」
「私もです」
その言葉にため息が出そうになりましたが、なんとか我慢してこんな時に勇者が居てくれたのなら聖女が居なくなることなんてありませんでしたのにと思わずにはいられませんわ。
「どうする?」
「どうすると言われても決まっていますでしょ」
気になる音にはだいぶと近づいて来ましたけれど、どちらを優先するかと問われましたら聖女を優先させるべきですわ。
「性格はどうであれあの方の能力はなくてはならないものですわ」
とは言え、どこではぐれてしまったのか分かりませんのでやみくもに探すしかありませんけど。
「それにあれは魔獣ですわ」
近付いたことによってはっきりと分かりました。セルジオとモンスパルも同じ意見なのかそれぞれ頷いただけですが、ノヴァにはそれで通じたみたいでした。
「分かった。で、どっちに向かって行くんだ?」
「それは……」
ここは迷いの森。一定の方角に歩いていたつもりでも気付けば同じところを歩かされていたり、全く違う方角へと歩かされていたりと面倒な場所。
本当に燃やしてしまいたいぐらいですわ!
「モンスパル、カナリアの様子は?」
「安定していますよ。薬は聖女様が後一、二回分を渡してくれましたからしばらくは大丈夫です」
「そんなに掛からなければいいけどな」
「そうですわよね」
どこへ行っても同じでしたら好きな方に行ってみるのも悪くありませんわね。
どこへ行こうかと話し合っているとガサリと音がして一気に臨戦体勢に。
「モンスパルは下がってな」
「三人共怪我しないでくださいね」
「ま、待って! 攻撃しないで!」
「トール様!」
聞き覚えのある声にノヴァが走り出したのであたくしたちも同じように走り出しました。
これでカナリアを治療できますわ!
「トール! ちょうどよかった! カナリアが病気なんですの! 治して……それは何ですの?」
トールと勇者が一緒にいるのはいいのですけれど、お二人の間を羽根の生えた生き物が行ったり来たり。小人? いえ、羽根があるから妖精ですわよね? あら、クロッチェまでも居ますのね。
どういうことなんですの?
他の仲間たちも困惑しているのが伝わってきますし。
「えっと、説明するからちょっと武器を下ろしてくれるとありがたいんだけど」
トールの言葉にまだ武器を構えたままだったと思い出して下げるとトールはホッとしたような顔をしていましたが、勇者の表情は変わらずでこの方は説明するつもりはなさそうだということしか分かりませんでしたわ。




