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「……っと、だいぶ数が減って来たな」
「もう少ししたら移動出来るかもな」
「えっ、本当?!」
うつらうつらしていたが騎士とノヴァの会話にがばりと起き上がった。
日はとっくの昔に沈み、というか、多分もうすぐ夜が明ける時間のはずだ。
この時間まで起きていることはあまりないためによく分からないが、うですらと周りの様子が見えなくもなくなってきた。
魔獣だから夜に向かって活発になって朝は活動しないとかはないわよね?
「ああ、もう少ししたら移動を始めるからみんなを起こして移動の準備を始めてくれ」
「分かったわ」
あたしが起きてるとは思ってなかったのか二人共びっくりしていたけど、異能を維持するために起きていましたとも。
アマンダとモンスパルを起こしてカナリアの様子を見る。
少し熱は下がったみたいだけど寝ているためにカナリアはモンスパルが運んでくれることになった。
「全員起きたわよ」
カナリアに掛けていた毛布は移動中邪魔になるので偽装のためにも小さめに畳んで仕舞った。
「じゃあ、合図したら走り出してくれ」
「分かりましたわ」
「聖女様、申し訳ありませんがカナリアが落ちないように後ろを支えてくれませんか」
「あ、はい。分かりました」
カナリアを支えると騎士の人が「今だ!」と叫んだのであたしたちは一目散に走り出した。
確かに魔獣の群れに突っ込んで行った時と比べると確かに少ないっちゃ少ないけど魔獣はまだあちこちに居る。
こんなところを突っ切ろうって最初に言い出したノヴァは絶対に馬鹿だと思う。
「全員頭を下げてくださいまし!」
アマンダの言葉に頭を下げると風切り音ともの凄い勢いの風? 風よね多分。風が飛んで行った。
危ないじゃないの! って文句を言いたかったけど、アマンダは第二第三とどんどん魔法を飛ばしていくので文句を言う暇もない。
魔獣の群れを抜け切る頃には息も絶え絶えで足も震えて動けそうにないけどまだ魔獣は近くに居るからと言われるてへたり込まないようにと歩き続ける。
休憩が言い渡されたのは魔獣の群れからだいぶ離れてからだった。
「……ここらで休憩するか。モンスパル、聖女の嬢ちゃん、カナリアの様子を見てくれ」
「も、もうちょっと待って……」
水。水が飲みたい。
手持ちの水はなくなってしまったからアマンダに魔法で水を出してもらってそれを飲む。やっぱり異能より魔法の方が便利な気がする。
「カナリア起きてください。薬飲ませますよ」
「用意します」
モンスパルがカナリアを起こしてくれているので薬を出して飲ませる。
そういえば魔獣の群れから離れるのに必死でまわりの様子を見る暇がなかったけど、トールたちは無事なのかしら?
「あたくしたちもそんな暇ありませんでしたわ」
「そうだな。俺らだって忘れてたんだから嬢ちゃんが気にする必要はねえ」
気になって聞いてみればみんな逃げるのに無我夢中で忘れてたとのこと。
いいのかそれで。




