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四角い星

作者:

初投稿です。よしなに。



これは、遠い遠い星のお話。

お月様が青くて、太陽は四角い、そんな星のお話。


この星には1人の女の子が住んでいました。


ある日、女の子は一冊の本を見つけました。

『この星は四角いのか丸いのか』

「たしかに!星の端っこってどうなっているんだろう?」

女の子は旅をすることにしました。


とんとんとん。とんとことん。


女の子はわくわくしながら歩いていきます。


ガサッ


女の子は音のした方をこっそり覗いてみました。


「あらコウモリさん、こんにちは!」


「こ、こんにちは。ど、どこに行くんだい?」


「ずーっとあっちよ!星の端っこがどうなっているか知りたいの!」


「ほ、星ってのはな、丸いんだ。は、端っこなんてありゃしないよ。」


「じゃああなたは、この星を一周した事があるの?」


「い、いや、それはないけど…」


「行ってもないのにどうしてそう決めつけるの?見てみなくちゃわからないじゃない!」


「…」


コウモリは黙り込んでしまいました。


「私は星に端っこがあると思うの!だからこのまま真っ直ぐ進んでみるわ!あなたはどうする?」


「お、オイラもいくよ。」


女の子はにっこり微笑むとまた陽気に歩き出すのでした。


とんとんとん。とんとことん。


軽やかなリズムを立てながら、女の子とコウモリは進みます。


「ねえ、コウモリさん?どうして星は丸いって思ったの?」


「そ、そうやってオヤジに言われたからだよ」


「お父さんがいるのね、素敵!私はずっと独りだったから、羨ましいわ。

でも、今は話し相手がいて幸せ!」


「そ、そうかい」


ぽつ。ぽつ。


「あらやだ!雨が降ってきちゃった!

あの洞窟にいきましょう!」


「う、うん」


突然の雨に、2人は洞窟に急ぐのでした。


「あちゃ〜、けっこう濡れちゃったわ。」


女の子は袖を搾ります。


「だ、だいじょうぶかい」


「うん!こんなのへっちゃらよ!

でも、今日はもう先には進めなさそうね

泊まる準備をしましょ!」


女の子は落ちていた枝を集めて火をつけるのでした。


2人はずっと揺れる火を眺めています。


とんとんとん。とんとことん。


ふと、女の子がいつものリズムを口ずさみます。


「い、いつも口ずさんでるけど、そりゃあ一体なんなんだい?」


「これはね、なんだろう。胸の奥でずっとあったかくいるの。気づいたら口に出ちゃうんだ〜」


「い、いつかわかるといいね」


「ふふ、ありがとう!」


気づくと雨は止んで、リンリンと心地よい虫の合唱が響いてるのでした。


「ふぁーあ、それじゃあわたし寝るね、おやすみ」


「お、おやすみ」


女の子はすっかり寝てしまいました。


コウモリはお腹が空いて寝付けずにいました。じゅるりと女の子を眺めます。


「い、いや、ダメだ!な、何を考えているんだ僕は!で、でも少しくらい…」


そのとき、コウモリはお父さんに言われた言葉を思い出しました。



「俺ァな、昔、ニンゲンと旅をしたことがあったんだ。だけどな、ある日食べ物に困ってな。」


「そのニンゲンに相談したら、さすがに食べられるのは困るけど俺の血を吸ってもいいよって言うんだ」


「あいつも腹が減ってるはずなのによォ。俺ァ、酷く腹が減っていて、我慢できずに吸っちまったんだよ。」


「するとな、そのニンゲン苦しそうに言うんだ。これでお腹が膨れるといいんだけどって」


「最後に一言、もし良ければあの子に…そう言ってニンゲンは動かなくなっちまった。俺ァ悲しみに暮れながら帰ったさ、俺たちゃァ毒コウモリなんだよ」


そう言って、ボロボロ涙を零すオヤジはとても小さく見えたんだ。



コウモリは、我慢することに決めました。


「だ、ダメだ、ダメだ。ぼ、僕は…」


そう思ったのもつかの間、コウモリは気を失ってしまうのでした。


眩しい光が洞窟を照らします。


「うぅん、おはよ〜」


まぶたを擦りながら女の子は起き上がりました。


「え!コウモリさん!?」


コウモリが倒れているのを発見した女の子は、コウモリの体を抱えて走り出します。


「だれかー!!コウモリさんを助けてー!」


どれだけ走り回ったでしょうか。周りに見えるのは木ばかりで、動物の気配はありません。


「だれかー…、だれか、、」


そのうち女の子も疲れて倒れてしまうのでした。


ふといい匂いが鼻をくすぐります。


「ん…コウモリさん!」


そう言って、女の子は飛び起きました。

するとそこには、とても優しい顔のおじいさんが料理を作っているのでした。


「わぁ、すごい…、じゃなくてコウモリさんは!」


「ほっほっほっ、大丈夫じゃよ。彼ならあそこで眠っているよ。」


おじいさんはニコニコとこちらを眺めてそう言うのでした。


「よかったぁ〜!」


ヘトヘトと安心したように座り込む女の子。


「懐かしいのう。儂の親友も彼と同じようなコウモリじゃった。」


遠くを眺めるようにおじいさんは語り始めました。


「あいつは大層優しいやつでな、自分の腹が減っても決して口に出さなんだ。いつも儂にばかりご飯をくれてな。」


「だが、無理が祟ったのか、あいつは空腹で倒れてしまったんだ。食料もなくて、儂はあいつにできることと言ったら血をあげるくらいでな。」


「しかし、あげすぎてしまったのか、儂は情けなくも気を失ってしまってな」


「起きた時には誰もいないし焦ったもんじゃ。もう何年も前のことだ。彼はきっと死んでしまっただろうな」


悲しそうな顔をするおじいさん。


「特にすることもなかったから、儂らと同じように、お腹が空いて困っている者を助けようと思ったんじゃ。お主らを見つけたのは偶然じゃったがな。」



「よく頑張ったのう。偉いのお」


女の子の頭を、シワシワの手が優しく撫でるのでした。


女の子は心地よさそうに身を委ねて、安心したのかまたスヤスヤと寝てしまいました。


「全くこの子は相変わらずじゃのう」


ニコニコとおじいさんは女の子を運ぶのでした。


とんとんとん。とんとことん。


女の子が目を覚ますと、そんなリズムが聞こえてきます。


「あれ?この音は…?」


不思議に思った女の子は音のする方へ歩いていくのでした。


とんとんとん。とんとことん。


とんとんとん。とんとことん。


リズムに合わせて、ステップを踏みながら進みます。


「あ!コウモリさん!無事だったのね!よかったぁ〜!」


「き、きみも無事でよかったよ」


そう言って抱きつく2人。


「この音はどこからしているの?」


「さ、さあ。で、でも君が口ずさんでいたのと同じだね」


「そうなの!あっちかなぁ」


2人はある部屋にたどり着きました。

そーっとお部屋を覗きます。

そこにはおじいさんが木を組み合わせて、椅子を作っていたのでした。


とんとんとん。とんとことん。


小気味よいリズムに合わせて、椅子が出来上がっていきます。


「わぁ!」


目を輝かせて女の子はそれを見つめます。


「魔法みたいだねぇ!」


「う、うん」


「なんじゃなんじゃ、もう起きたのかな」


おじいさんはゆっくりとこちらへ向かってきました。


「おじいさんのリズム!私の知っているのと同じなの!」


目を丸くするおじいさん。


「そうかそうか… それは忘れなかったんじゃのう。」


「忘れる?どういうこと?」


「どちらにせよ、これは話しておかねばならぬか。驚かないで聞いて欲しい。

お嬢さん、お主はわしが作ったんじゃ」


「え…?作った?え…?わたし…」


「そうじゃ、お主は実は人形なんじゃよ。


全てを話そう。」




儂が幼い頃、ひとりぼっちでな。友達が欲しくて木で人形を作ったんじゃ。するとその人形が喋り出したのじゃ。


「こんにちは!」


わしは慌てたさ。どうして人形が喋り出すんだと。まるで魔法みたいじゃないかと。


「…え、こ、こんにちは」


「うじうじしないの!」


「はいっ!」


恐る恐る声をかけたよ。本当に驚きじゃった。


それから儂たちはずーっと遊んだ。朝も昼も。毎日な。何年か経ったある日、儂は怖くなったんじゃ。


儂も背が伸び、同じだった頭の高さはもう見下ろすばかりだ。でもおぬしはずっと変わらないままだった。


一体いつまで一緒にいれるのじゃろう。儂が死んだ後、この子はどうなるのじゃろう?


自分だけが生きて、友だちはみんな死んでしまう、そんな悲しい運命なのじゃろうかと。


儂は決断した。お主の記憶を奪おうと。


儂はお主の頭のネジを1本取ったのだ。そうして儂はそのまま旅に出た。せめて、誰とも仲良くならないでくれと。幸せを知らないまま生きてくれと願いながら。

知ってしまったらもう戻れないから。




拳を震わせおじいさんは続ける。



失敗じゃった。旅をしても、どこにいてもお主のことばかり考えてしまう。後悔したよ。死にたいとさえ思った。


実は1度だけ様子を見に行ったことがあったのじゃ。声をかけようと思ったが辞めた。お主は楽しそうに過ごしておったからな。お主の幸せを奪っちゃいかんと思った。その代わり1冊の本を置いていくことにしたのじゃ。


本の名は『この星は四角いのか丸いのか』


これは儂が書いたものじゃ。誰も見たことないくせに星は丸いと決めつけよる。旅の目的も星の端っこを見つけることじゃった。結局見つかりはしなかったのだがの。



ふぅーっとおじいさんはゆっくりため息をつきました。


「すまなかった、このとおりじゃ。」


土下座するおじいさん。


「わしの都合で作って、わしの都合で見捨てて、本当にすまなかった。」


「…」


「もし良ければネジを戻そう。それで償いきれると到底思っておらぬ。わしにできることなら何でもしよう」


「おじいさん。」


女の子は静かに言いました。


「おじいさん、私はね、とっても幸せなのよ!」


満面の笑みでおじいさんに言う女の子。


「だって素敵な友達のコウモリさんがいて、色々な経験をして、実は私が人形で!」


少し顔を赤らめるコウモリ。


「こんなに面白くて楽しいことあるかしら!」


「し、しかし、儂は…」


「うじうじしないの!

私が幸せって言ったら幸せなのよ!勝手に決めつけないで!」


ハッとするおじいさん。


「そりゃあショックも大きいけどさ、私が永遠に生きれるなら世界が四角いか丸いか知れるしね!」


キョトンとしていたおじいさんはクツクツと笑い始めました。


「ふっふっふ、はっはっは、はーはっはっは」


「そうか、そうじゃのう。おぬしはそういうやつじゃったのう」


「それからネジもいらないわ!私には今の人生があるもの!ね!コウモリさん!」


そう言ってにこりとコウモリを見る。


「う、うん」


「…そうかそうか。わかったよ、ありがとのう。

それだけが気がかりじゃった。会えて本当に良かったよ…」


「いいのよ!」


「それじゃあ私たちは世界がどうなっているか知りに行くわ!おじいさんも来る?」


「はっはっは!わしはもう長くない。もうジジイのでしゃばる時代は終わったのじゃ。それにどうせ儂じゃたどり着けん。」


「だーかーらー!決めつけんな!あんたが始めたんだろう!あんたができるかもしれないと思ったから私が生まれたんだろう!私の生みの親が諦めてどうするんだって!」


「そう…そうじゃったな…。

よし、わしも行く。絶対に世界の果てを見つけるのじゃ!」


「うん!」



エピローグ


「あ、あと、お、オヤジは生きてるよ。」


「オヤジ?」


「き、きみの親友なんだろう?」


「えぇええぇぇえ!」


1番の叫び声と共に

「会いに行かなくては!」

と意気込むおじいさんを2人は宥めるのでした。

「お、オヤジも同じ反応しそうだ…」



そうして3人は寄り道をしながらまだ見ぬ星の端っこを目ざして歩き続けるのでした。



おしまい


稚拙で駄文だったとは思いますが、何卒よろしくお願いします。

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