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思ったより大変

「よし、次いくか、ゴブリン狩りだ!」


特にどこへ行くという目的無いが、とりあえずはモンスターの声がしないか適当に走り回った。どこからモンスターが出現するのかなど、知る由もないためひたすら耳を澄まして走るくらいのことしかできない。走りだしてから2分もしないうちにモンスターの奇声が聞こえた。


2分間走ったからと言って以前なら200メートルも走ることはできなかっただろう。それくらいに脂肪が付きすぎていて、普通に歩くのも結構しんどかった。しかし、今は400メートルほどの距離を2分で移動することができた。速度にステータスを振ったのは正解だったようだ。でも足が相当痛い。モンスターの奇声のする方へ向かっているが、正直今から戦う体力があるかどうかわからない。既に息は切れていて、肺がキュルキュルと鳴らしてはいけない音を発している。


「キョgユア!キィ!」


奇声が聞こえた場所まで来てみると、人が横たわっていた。今度はゴブリンが三匹。一匹ならまだしも三匹を相手にするのは無理だ。


一匹相手にしている間に残りの二匹から攻撃を喰らう可能性が高いし、純粋にゴルフボールの数が足りない。ポケットの中に入れてきたのは右左で3つづつ。合わせて6つだけど、ゴブリンは先ほど二回当てないと死なないことがわかった。しかも、二回とも頭に当てなければならないため、3匹相手に6回も正確に当てる自身はない。体に二回当てても死ぬのかもしれないが、今ここでそれを試すのはあまりにも危険すぎる。


俺はそっと、ゴブリンがいる場所から離れようとそれらとは反対方向へと歩き出す。


「くぎゃ?」


「げ、まずい、、」


なるべく静かに逃げようとしたつもりだったが、ゴブリンから気づかれてしまった。気づかれてしまってはもう仕方がない。逃げながらゴルフボールを当てるしかない。走りながらだと、ほとんどが外れるだろうけど仕方がない。


「くらえっ、」


ちゃんと狙ったが、距離があるせいかどこにも当たらない。


「おりゃ!当たれ!当たれよ!!」


連続で投げていくが、ゴルフボールはゴブリンとは違う方向へと転がっていった。そして、最後の一投。これも残念ながら、ゴブリンに傷を少しも与えることはできなかった。


「まずいな、こんなことならゴブリン探しするんじゃなかった」


早くもゴブリン探しを悔いている。何事も失敗したときはすぐに挫折する方だ。今回も同様。ゴブリンを一匹倒せた程度で調子に乗ってしまい、欲を出して自ら危険に飛び込んでしまった。自分の中では冷静に考えていたと思っていても、実際は違う。家の中を少し探してとっさに見つけたゴルフボールのような不確定要素の強いものだけでゴブリンと戦おうとせずにもう少し冷静になって、ちゃんとした武器となりえるものを家からよく探してみればよかった。不安と後悔と追われている恐怖に身を包み泣きそうになりながら逃げていたがついに体力が限界になってきた。


一か八かで戦うしかない。


覚悟を決めて後ろを振り返った。すぐ後ろには三匹のナイフやこん棒を手に持ったゴブリンたち。一番近くまで近づいていたゴブリンを足で蹴飛ばす。横からゴブリンが飛んできてナイフを振りかざそうとしていたため、これを避けた。


「あれ?なんかお前ら遅くね?」


いざ戦ってみるとゴブリンは想像上で想定していた動きよりも遅かった。余裕を持てるほどでもないけど、よく見て攻撃を躱せば普通に対処が可能だった。


「案外大したことがないんだな」


ついさっきまで泣きそうになっていたのに調子のいいことだ。蹴り飛ばしたゴブリンはまだ起き上がってこない。どうやら一発で死んでしまったようだ。小型動物を蹴り飛ばすと内蔵が破裂してしまうように、ゴブリンも体格が小さい為、成人を越した大人が全力で蹴った威力は相当なダメージを与えるようだ。


脅威は無いと理解したため、残りの二匹をなんなく対処した。ゴルフボールと違って、蹴り飛ばす時の肉を蹴る感覚は生々しい。命を奪っていることを理解するのには十分な重みだ。


『レベルが上がりました。ステータスを確認してください。』


- - - - - - - - - -

<ステータス>

名前:鈴木 相馬

レベル:3

経験値:10/40

HP:5/5

MP:0/0

力:2

速度:2


ポイント:1

職業:影稼業

スキル:身体強化

- - - - - - - - - -



どうやらレベルが上がったようだ。今回もレベルが2に上がった時と同じようにポイントが加算されている。どのステータスを取るべきか、悩ましいところだが今回も速度に割り振った方がよさそうだ。速度は重要。これは今回の戦いでかなり理解した。これからも生き残る確率を考えるとなるべく速度にポイントを回した方がよさそうだ。


通常の2倍もの速度で走り、2倍の速さで反応することができる。これは思っていたより何倍も重要なことだ。攻撃に反応できなければそもそも意味がない。モンスターが出現した今、まともに治療を受けることができるとは思えないし、できたとしても完治するには長い期間を要する。それまでに病院が襲撃されない保証はなく、より強いモンスターが出現し、完治した後で戦える可能性も低い。恐らくステータスに合わせてレベルを上げることのできるのは今だけだ。いずれはモンスターの量も質もあ上がる。アニメやゲームでは大体そういう流れになる。


「うぉ、いてぇ、、、」


体をさしぶりに動かしたせいか、または筋力が速度に追いついていないのか、理由はわからないが体全身が燃えるように熱く痛い。もう本当に戦える気はしないので、俺は家に帰ることにした。

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