氷河期が何とかすぎたよー!
氷河期がどうだったのかなんて知りませんが、こうだったら面白いよね
神々はそれぞれの精霊に王となる中核を作った。
火のサラマンダー、水のウンディーネ、地のノーム、風のシルフである。
まだこの世界に元素や物理法則を獲得するだけの知性は発達していない。それゆえ、理解のしやすい状態で生物たちが使いやすいように心がけたのだ。
そうしてそれぞれの属性に属する微精霊を大量に放ち、地上で弱った生物たちを励ました。
寒さに凍えるドラゴンたちには火のマナを用いて、体を温めるように。
凍る湖で息が詰まりそうだった海の生物には凍らぬ水のマナを。
草食恐竜たちには草が少しでも生えている大地のマナを。
凍える風で飛べなくなった妖精に風雨から守る風のマナを。
そうして助けていったものの、光の届かぬ世界はやはり生物には厳しすぎた。多くの生命が失われ、冥界へ旅立っていった。
その魂は進化を繰り返し、恒温動物という哺乳類の前身になるものを作り出した。
恐竜達の魂は羽毛を得ることで鳥へと進化して、寒さから逃れた。
ドラゴン達は知性を発達させて、マナを扱う術をを編み出した。
妖精達もドラゴンに負けぬと、暖かな風を留めておく妖精郷を作り出した。
そうやって、命の取捨選択が行われていった。
アニマは生命たちに進化の祝福を与え続けて、励まし続けたし、プルートーは死んでしまった魂に次なる進化のアドバイスをして送り出した。
起き出したテラはエアという空の神と共に大気が安定するように努力した。
哺乳類の中には人ができて、知恵とマナを用いた精霊魔法でマンモスのような大型の獣を狩るようになっていった。
獣達もマナを用いるものが出てきていた。
鳥たちは寒さに耐える羽毛をもって、逞しく空を飛び安住の地を探し続けた。
海に生きるものたちも、同様であり大型になることで保温できるようになった者もいた。
妖精とドラゴン達は精霊を介さずに、知性を高めていき魔術の原型を作り出した。
6万年がたったころ、ようやく春が来た。
その暖かな陽気は生物たちに喜びを与えた。耐え忍ぶ時代は終わりを告げた。
「おはよう、オリジン」
「う…ん?」
「選定の時は終わった、子供たちも逞しくなった。」
「っ!私はどれだけ寝ていたのですか!?」
「うーん、6万年くらいかな。」
「あああ、世界はどうなってるのかしら。」
「まぁ、実際に見に行こう。」
そう手を引かれて、オリジンは主神と共に封印の外へ出た。
そこには逞しく大きくなった神々と精霊王が並んでいた。
「ああ、遂に降臨なさった。我らの神とオリジン様」
「お久しゅうございます。我らは試練を乗り越えました。」
「ああ、みんな苦労したのね…。伝わってくる。あなた方の苦労と試練の日々。」
「よく耐えた。突然で申し訳なかったね。だが、あのままオリジンありきの天界では行けないと思って、試練を与えた。」
「ええ、父上。よく分かりました。我らはオリジン様に頼りすぎておりました。試練を乗り越えた今、我らに全ておまかせください。」
「ああ、見守っているよ。」
目が覚めたら、神が神らしくなっていた。
「さて、下界に降りてみようか。」
「ああ、彼らも喜びましょう。」
そうして、彼に手を引かれるまま地上へ降りていく。雲が邪魔なので穴を開けた。
「おや、思い切ったことをするね、オリジン」
「早く見たいんですもの。」
「まぁ、いいか。」
降り立ったそこは氷河期の影響は残るものの、自分が開けた雲の切れ間からスポットライトのような光が差し込んで花々を美しく照らした。
そうして、周りには人と、ドラゴンに妖精、獣に鳥たち海獣まできていた。
どうやら先んじて連絡した精霊がいるらしい。
「ああ、神々しい。春の訪れに神の降臨とは。この星に残る歴史的なワンシーンになります。」
そうして星の代表として現れたテラは美しい女神となっており、挨拶をしてきた。
「テラは逞しくなったのね。本当に」