隕石が降ってきちゃったよ!
氷河期が始まります
その日は神々にとって最悪の日となった。
隕石がアースに落ちてきた。
その事をいち早く気づいたのは他の惑星達で報告が上がって来たものの、星団の中で最も重い重力を持つ惑星の力の及ばぬ方向から飛んできた事もあり、対処の仕様がなかった。
「ああ!やめて!やめてーーーーー!」
テラの嘆きを聞いて神々は焦る。
マクスウェルもあらん限りの知識を使ってシミュレーションしてみるが対処のしようがなかった。
「あれだけの質量が、マナの塊が落ちたら…この星のほとんどが凍る。」
「ステラの力で温められないの?」
「それだけの熱量を出せば、太陽線も異様に強くなってアースの磁場で守りきれない。」
「…そんな…」
「オリジン様は!」
誰が言い出したかは分からないが、先程主神に連れられ神殿の玉座に向かった彼女を頼ろうと神々は扉の前へ募る。だが、その扉は固く閉ざされていて、丁寧に封印まで。
「…父上は…母上ごと封印されたのか…」
アトムが爆発を起こすがうんともすんともしない扉を叩く。
「これは我々への試練かもしれぬ。」
長子たるマクスウェルは語った。
「母上が愛したこの星を我らの力のみで守って見せよ、と。」
「そんな…」
テラは泣き崩れた。同時に隕石が落ちたのだろう。
「痛い痛い!ああああ、体が!子供たちが!寒い!痛い!」
「テラに鎮静の術をかけよう。しばらく眠らせた方が良さそうだ。」
アトムは妹の泣き叫ぶ姿を直視出来ないでいた。
マクスウェルはテラの目を手で覆い、マナを操作して休ませる。
「これでテラは休めるだろう。だがその間の管理は誰もできない。」
「…精霊はいかがでしょうか?」
沈黙の中から神竜が答えた。
「私が暮らしていた頃、至るところに精霊が住んでおりました。それを体系化し、管理しやすくするのはどうでしょう?」
「なるほど、テラは眠れど精霊に何とか命が存続できるだけの力を与えるのか。」
「火を与えよう。寒さから身を守るため」
「水を与えよう。氷になるまえに水を確保しよう。」
「土を与えよう。強い植物が少しでも生き残れるように。」
「風を与えよう。せめて暖かな南風を」
これらの力は大きく力を与えられ、四大精霊となった。
「精霊達よ、我らの母オリジン様の愛したこの星の命を守りたもう。」
そうして、マナを効率よく使う精霊王達が生み出され遣わされた。
「我ら、神々も降り立ち生き残ったものたちへせめてもの祝福を。」
そうして、創世の神々を残して、神々は至るところへと散っていった。神竜も知性のある同族が心配で降りて行った。
「父上はお見通しだったわけだ。」
「私たちの自立を促すために、こうして試練を与えた。」
「テラには可哀想なことをしてしまったな。」
「プラネタがもっと早く気づけば…」
「とはいえ、無理に星を動かすわけにも行かないし、避けられようがなかった。それを知っていて、私たちの成長を見守ることにされたのであろうよ。」
「お母様、喧嘩してないかしら??」
「マクスウェルお姉ちゃん、そこなの?」
「いや、だって愛を語らう会の中でのこれよ、キレてるか泣いてるか。」
「どっちもありそう。」
「扉が全く開かない上、声もしないから眠らされてるのかもしれない。」
「随分と長い間、仕事ずくめだったから…」
「すんなり寝たんじゃない?」
「有り得る」
「この前ベッド作ったけど、めちゃくちゃ喜んで使ってなかったからな。」
「2人して寝てるんだろうね。」
「まぁ、それまでに星を回復させよう。」
そうして神々と精霊はアースの氷河期を乗り越えることを目標に進み続けた。