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生命ができたよー!

神様って大変だと思うの。、

アースの意志となるその子はテラと言う名前がつけられた。

テラはオリジンの願いをうけて、生命を誕生させようと実に多くのものを生み出していった。

空と海と陸。姉妹の衛星であるルナと協力して、海と空に動きを作った。それぞれの概念たちも意志となって権能を持つようになって活躍していく。

そして舞台が整ったところで、彼女は生命を作り出そうとした。しかし難渋してるようだ。

涙ぐみながら、海で核酸と細胞膜になる泡を作り出しては組み合わせていくが分裂するどころか、力なく分解されていく。

「いい線いってるのだけど、なぜかしら。」

自身の権能で検索してみるが、物質自体は問題がない。オリジンたる自分に解決できないとなると、神がその権能を渡しそびれた可能性がある。


「マクスウェル、神をたたきおこすわ。」

「ついに!ですが、あまり騒ぎにならぬよう…」

後ろに居る兄弟達に悪影響が出ないか心配なのだろう。

「うーん、ただねー。これまでどんなことしてもダメだったからね。」

「…あの…もしや…」

「あの封印、核分裂で宇宙に放つわ。」

「…やはり…アトムとステラに他の兄弟に影響が出ないように守らせます。」

「ええ、ついでにあのベッドも壊しておくわ。」

「」

「さぁて!やりますかぁ!」

オリジンは腕まくりをして、力を貯めている。

慌ててアトムとステラが集まって、放出されたエネルギーが神殿を壊さないように力場をいじっている。

「神様まで、燃えてしまわないか…」

「お兄様、もはやしょうがありません。ここまで寝ていたのだから力は蓄えているでしょうし。」

「私が皆を守ります。この神殿だけは物理法則をめちゃくちゃに出来ますので。」

マクスウェルは集まってきた兄弟達を自身の後ろへと集める。


「よし!おきろーーーーー!!!!馬鹿野郎!!!!」

「オリジンお母様…」

その瞬間神殿に光が満ちた。

アトムは分裂されたドアだった原子と放射線をひたすら宇宙に放出させている。


「うああああああああああ!」

ベッド毎爆散させられた神は床にべチャリと落ちた。

そして、ツカツカと近付いてきたオリジンに胸ぐらを掴まれてぐいっと持ち上げられた。

「お久しゅうございます、神様?」

「…おはようございます」

「ええ、130億年も寝ておられて気持ちよかったのでは?」

「あははー、でもいい感じに出来上がってるみたいで、流石じゃん!」

「アトム、ステンレスの金棒を出しなさい。」

「あっ!やめて!やめて!ごめんなさい!」

「こちとら、必死に130億年も仕事し続けていたんですよ。しかもあなた、何か渡しそびれましたでしょう。」

「えー…えーと、えーと…あっ」

「…」

「マナの存在を教えてなかったみたい。君の知識にあるものはスルスルと吸収されたんだけど、流石に知らないものは上手く移せなかったか。ごめんごめん。」

「…では、生命の兆しはないのは…」

「マナありきの生命の創造を予定してたからね!オリジンが知らないんなら出来ないね。」

「…いっぺん全権能私に渡してくださいます?貴方を冥界の神にして差し上げますので」

「やーめーてーーーー!さすがに創造神なんだけど!」

「…はぁ」

コイツは本当に軽いやつだと再認識させられる。

「じゃあ、権能委譲するから」

はぁ、とため息をついたその口に再びディープキスをされる。と同時にマナや他のダークマターのあらゆる知識が溢れてきた。

「ぷはあーーー!君は本当に有能だなぁ。スルスルと吸収しちゃうんだもの。」

固まるオリジン。2回目のキスが奪われた。


子供たちがそのキスを見ていた。

「お母様…それは…?」

しまった、情操教育というのをしていない。

すると、神はするりとオリジンの手から逃れた。

「あれはねー。キスといって愛し合う仲のもの達が行うものなんだ。僕らの場合権能の受け渡しにも使ってるけどね!」

「…あい?」

「おや!知らないのかい?ああ、そうか。生命が生まれてないからねー!そもそも生命が発展するためにはオスとメスが…」

言わせるか!と首根っこを再度掴む。

「まずは生命を作ってからにして下さいますか?雌雄は生命の進化ありきです。始まってからゆっくり教えていきますので。」

「ひぁ。」

「はやく。」

ガン飛ばしていると、そそくさとアースに向かう神。テラもとととと着いていく。

「はぁ、なんでこんな権能の渡し方をするのかしら」

隣でマクスウェルは訊ねてくる。

「神はオリジンお母様の事を愛してるということでしょうか?」

「愛してくれていたら130億年も放置しないわね。そもそもまだこの宇宙に愛という反応が起きてないから、概念すらないわ。」

「…そういう物なんですね。」

マクスウェルはふむふむと頷く。そう言えば法則を司るこの子にマナの法則を教えておかねばならない。

「マクスウェル、少し権能のコピーをするわよ。ああ、あのキスではやらないわ。頭をコツんとするだけよ。」

「…!はい!お母様!」

知識に貪欲な彼女はマナの法則を学ぶ。それは一瞬のこと。

「…お母様、このマナというものですが、だいぶ無理が…」

「ええ、だから世界を作る時に力を使い果たしたのね。全てのものにマナが通い、マナを用いることで物理法則を自在に使えることになるなんて。」

「マナを使いだした時のためにストッパーが必要です。マナの概念と使用制限を司るものが。」

「ええ、そうね。できる?」

「ええ、テラに負けてられません。私も私の眷属を作りましょう。」

そう言うと彼女はマナの法則を司るマナの精霊マギカを作り出した。

「へぇー、精霊と名付けたのね。確かにこれだといちいち概念が生まれても精霊と言う括りに囲い込めば簡単だわ。」

「ええ、生命が産まれたらそれこそ、あらゆるものにお母様が対応しなければなりません。私達のように大きな権能を持つものであれば名前をつける必要があるとは思いますが、そうでは無い微細なものであれば我らが精霊を作るだけでよいかと。」

「そうね、命は多くの可能性を含んでるものね。進化が進めば…」

それこそ、その把握のために全く休む暇が無くなる。現にマナの精霊が出来た今フィードバックがきた。ダウンロードされたという感じ。あれ…

まずい。生命に関わるものといえば、数多くある。哲学から何まで。それが今から一斉に?


テラと神に少しばかりスピードを落とすように言わねばならない。

「テラ!ちょっと待って…」

その時には既に頭の中に大量の情報が舞い込んできた。

原初の生物と誕生、生と死、進化と退化という概念が一気にできた瞬間だった。


黄金の机で必死にあらゆる概念に名前をつけていく。生命や、生と死を司るもの、進化や、退化などといった最重要なものであるが故に、さすがに精霊どまりではいられない。概念として働いてもらわねばならない。

テラから生まれでてきた生命にはアニマ、生と死を司る循環にはサーキュ、進化はエボル、退化はデジェネ。

それぞれを早急に名前と仕事を用意した。

そのアニマとサーキュから魂が行く末を決めねばならないと言われ、これは冥界の管理者が必要だわ、と急いで自身のコピーを久しぶり作り出した。プルートーと名付けられた彼に早速魂の循環を任せることにした。

冥界の場所はどうしようかしら、そんなものは知らないし…。

神殿のような、次元が高度な場所を作る必要がある。プルートーとマクスウェルとオリジンの3人で冥界の準備をしていたところ。


「おお、有性生殖ができたぞ!」

「これで単調な繁殖から可能性が溢れだします!」

テラと神がガンガン生命を進化させていくのである。

黄金の机から立ち上がり、神の元へと歩いていく。

「待ちやがれですわ。神様。何加速させてるんですか。こっちの状況を見ていただいてます?」

「え?生命に必要なものを作ってくれてるんでしょ?なら同時並行でいいかなって。」

「管理が出来ない状態で同時並行でいいかなって、どうかしてますよ。まず生命の加速は一旦ストップさせてください。冥界やら天国、ありとあらゆるものが足りないんですよ。宇宙を作って満足し出る場合ではありません。」

「えー、いい具合に進んでたんだけど…テラ、やっててくれる?」

「はい!やり方はわかりましたので!あとはお母様のタイミングで生命達は進化させますね。私も眷属を作らねば間に合わないなと思っていたところです。」

テラの笑顔にヒラヒラと手を振る神をみてチャラ男がなんでこの世界の神なのかと酷く嘆いた。


「で、何が必要だって?」

「魂の循環ですよ。いつまでもアースに置いておくわけにはいかないでしょう。特に誰かさんがマナというものを絡めたせいで、魂が勝手に動き出すなんてことになれば…生きているものたちは報われません。生きているからこそ、出来ることがある。次世代に託すということは、死して出来ぬことがあるからなのですよ?」

「なるほどー。確かにゾンビとかになってしまうかも。」

「…そういう捉え方もあるんですね。」

こっちは幽霊のつもりで話していたが

「よし!冥界と天国と魔界と地獄を作るよ!」

「まって。魔界?」

「うん。魔界。長生きしすぎたり、魂の循環から外れたやつでヤバそうなやつを突っ込んでおく。」

「地獄でいいのでは?」

「いや、死んでないやつに地獄って可哀想じゃない?」

「私の感覚では無駄です。地獄と魔界一緒にしてしまいなさい。」

「えー。」

「宇宙を作って寝込んだやつが、なんでロマンだけで魔界を作るのですか。省エネで働いてください。管理が出来なくなるのは困ります。」

「正論で返せないや!あはははは!」

プルートーがため息をついた。これから生命の管理をしていくにあたり、主神がこのザマである。頼りになるのか不安でしょうがなかった。

「主神様に申し上げます。魂の善悪で天の国と地獄に送りますが、力のある循環から外れたものに関しては私の判断では力不足です。その際は…」

「あっ、そこはオリジンちゃんに任せたらいいよ。」

「はぁ?!」

「そういう気概のある奴を運営側に回したらいいじゃん。そこは管理の鬼、オリジンちゃんでいいと思うな。」

パチリとウィンクをしてくるが、そのイケメンのウィンクは目を通り越してスルーされた。

「私はあくまであなたの補助役、あなたの代わりではありません!」

「えーーー、僕としてはもう精霊王並びに女神なんだけどなー。ちなみに僕の奥さんポジね!」

主神の言葉は世界を決める。それゆえ、私の立場がひとつ上にランクアップして女神になっていた。

「…お母様…気を確かに…」

「あ、火山活動が。」



なんだかんだ話はまとまり、高次元に天の国と冥界、地獄を作り魂の循環をさせることにした。

それぞれをカエルム、プルートー、インフェールヌに管理させることにした。冥界で一旦留まらせておいて、仕分けていく。天国と地獄で魂のリサイクルをしていくというわけだ。生み出すだけでは終わらないのが神の役目。

それを押し付けられたようで、悔しいオリジンがいた。


テラはその高次元の存在を感知し、仕事を進めていく。

大気や海、陸のあり方は大きく変わっていった。

天気ができて、地形ができ、藻だけだった陸地はシダ植物も発生していた。空気も酸素が増えてきた。

四季も整ってきた。

海に住む生物たちもいずれは陸に上がってくるだろう。

テラは毎日祝福の歌を歌い、子供たちが健やかに進化するようにオリジンに祈った。

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