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太陽のような君  作者: 陽緋
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新しいこと

さっきの男の子はなんだろう。

太陽みたいな笑顔だった。彼の名前にぴったりな気がする。

そして何よりも、あの胸の苦しさはなんだろう。苦しいけど、嫌ではない苦しさ。初めてだ。

4月6日。今日から新学期。3月に中学を卒業した私は今日から新しいことだらけ。まあ、当たり障りなくなんとなく過ごそう。人生長いんだから時が来たら楽しめばいい。


ガラッと教室の扉を開ける。みんな話していて中は騒がしいはずなのにみんな私を見る。なんにかしたか?いや、どちらかというと興味を示されている気がする。まあそんなのも最初だけ。

目立つのは嫌いだ。そんなやつが太陽になりたいだとか向日葵になりたいだとか桜になりたいだとか。よく良く考えれば馬鹿だと思う。

こんなに注目を浴びるくらいだったら後ろから入ればよかったな。でも後ろの扉では男子が戯れているからそれは難しいだろう。

「……成瀬さん?」

「はい?」

満面の笑みで一人の少女が駆け寄ってくる。なんだろう。

「あ、成瀬さんだ!私ね成瀬さんの隣の席なの!向井奈々よろしくねえ!」

「そんなの。よろしくね」

随分とテンションの高い人だ。これは疲れそう。

「成瀬さんって結構クールなんだね。奈々と違って頭良さそー」

「そう?」

クールなのだろうか?というかこの高校に入れたなら向井さんだって馬鹿ではないだろう。

「あ、いま成瀬さんこの高校入れたなら馬鹿じゃないだろとか思ったでしょ!奈々ね、感がよくきくの!中一の頃から感だけを頼りに解いてるから磨きがかかったのかな?そのうち超能力でも使えたりして」

超能力?そんなものが使えたら苦労はしない。何故か笑ってしまった。

「あ、笑った!なーんだ可愛いじゃーん。ま、笑わなくても美人さんだけど!あとさ、成瀬さんじゃなくて陽和って呼んでもいい?」

次から次へと話が絶えない人だ。私と違うタイプだなと思う。

「そんなことないよ。うん、大丈夫だけど」

「やったぁよろしくね!私のことは奈々とか呼んでね!」

「よろしくね奈々ちゃん」

なんとなくちゃん付けで呼ぼうと思った。特に意味はないけれど。


「はーい席についてくださーい」

担任の先生か。随分と適当そうな先生だ。

「これからー、そうですね。清掃…あ、違ったわ1年は入学式?あっいけない!すぐに廊下に並んでください!並び順はてきとうで!」

第一印象は外れていなかったようだ。

入学式か。帰りたい。帰ってもあんな母親しかいない。今日は祖母もいたかな。祖母も祖母で弟のことしか考えていないから母親と同じようなもんだ。

ああ、私の居場所は一体どこなんだろう。



そんなこんなで入学式も無事終わり。今は帰りの学活中。

「えー、隣の席のやつの顔だけはしっかり覚えとくように!それじゃぁ元気でな!」

相変わらず適当だ。隣の席の人か。右隣には奈々ちゃん。左隣は池田君だ。何故だろう、君を見ているとやっぱり苦しい。

「あ、君朝の!ごめん。成瀬…だっけ?」

「う、うん。こちらこそごめんなさい」

「いや、俺が寝ながら走ってたのが悪いから」

寝ながら?またここにもよくわからない人がいる。このクラスには謎の才能を持った人が多いのかもしれない。思わず吹き出す。

「えっ、わやば」

そう言って君は顔を逸らしてしまう。私が吹き出したから機嫌でも悪くなってしまったのだろうか。

「ごめんなさい!悪気はなくて面白くて…」

「え!あ、謝んなくていいよ!ありがとう。じゃあな!」

なんだろう。とりあえず、両隣はいい人そうな人達で良かったななんて思う。

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