第1章 3
さて、始まりました!説明回その1です。こっからどんどん人が登場するので、気合いをいれて書いていこうと思います!!拙作ですが、今回もお楽しみ頂けますと幸いです!それでは、始まり始まり~♪
side;[毘沙門天]操縦席内
『お初にお目にかかります、操主様。当機の基幹AI、[伯狼]と申します。今後末永いお付き合いとなりますので、[毘沙門天]様共々宜しくお願い致します。』
……ぉおうっ!やたらと執事っぽいAIに挨拶されてしまった!?
「エエーッと…。こちらこそヨロしくお願イしまっすワ。」
流暢な日本語を駆使するAIにビビって日本語がおかしくなるとか……(泣)。
『早速では御座いますが、操主様に簡単に当機についてのご説明と、具申したき件が御座います。』
(この機体の使用者は俺なんだから、しっかりしろっ!)と内心で自分自身を叱咤しつつ、努めて冷静に、
「そんじゃ、説明からお願いしてもいいかな?」
と答える。『それでは…』と[伯狼]が話す事には…………。
① 現在、当機[毘沙門天]は建造当初の目的通り、天将級のDCを組み込み想定通りDMとして起動が確認できたとのこと。
② 基幹AIとは、素体側の保守、点検及び操縦者のヘルプ機能として日本地区に現存する4体(本機含む)全てに搭載されているとのこと。(DMTは未実装)また、DCにもそれぞれに人格があり、[心力]の総量次第でDC内の人格を実体化させる事が可能であるとの事。
③ 機体発動時に[神力]を使用したと伝えたが、[神力]とは、操縦者が生来持っている精神エネルギー=[心力]に応じてDCが放出するエネルギーだと言う事。特に戦闘時など、有事には[心力]、[神力]共に保有量が多いほど有利になることが多いそうだ。
ひとしきり説明を聞き終わり、一息ついた後、[伯狼]から具申したい件についての説明があった。
『先ほど申しました通り、当機体を十分に操る為には現象発動のトリガーたる[心力]と現象発現のエネルギーたる[神力]が必要になるわけですが、操主様の[心力]、[毘沙門天]様の[神力]共に途方もなく大きい為、戦闘時など素体側のAIにも相応の負荷がかかる事になり、行動不能に陥るリスクが御座います。』
おいおいっ……。ドンパチの最中に行動不能とか即死一直線やないかいっ!!
『つきましては[毘沙門天]様の実体化に先駆けまして、素体側AIの処理能力向上及び兵装管理用サブAI[眷属]の召喚を具申致します。』
即死一直線回避には、その手しか無さそうだしなぁ……。
「質問なんだけど、[伯狼]の処理能力向上は当然として、[毘沙門天]の実体化と[眷属]召喚を全て行うとして[心力]の使用量はどの程度変化するの?[心力]のリソースはある程度持っておきたいんだけど…?」
少し間をあけて[伯狼]が答える。
『分かりやすく例えますと、琵琶湖から汲み上げる水の量がコップ1杯からバケツ1~2杯に変わる位かと思われます。』
…………俺の[心力]どんだけあるんだよっ!!色々びっくりだよっ!!
「それじゃ、ちゃっちゃと済ませるか……。」
驚き疲れつつ、[伯狼]にそう答えると、
『承知しました。』と言う返事と共に
操縦席に青い光が集まり10秒ほど待つと、そこには真っ白な狼がお座りしていた。
『操縦席の外にも[眷属]は移動可能ですので護衛がわりにもお使い頂けます。また、名前をつけることで、いつでも召喚可能になります。』
とのことだったので、さっそく[白丸]と命名してみた。本人(狼だけど…)も名前を気にいった様にウォンと一吠えしてくれたので一安心だ。
ひとまず、ここまで作業を終わらせたところで、[伯狼]から、次は狼と違い人を1人召喚するような形になるので、操縦席の外で行う方が良いと言ってくれたので、機体の外に出ていき、おやっさんにあらましを報告した。
「なるほどねぇ、流石は天将級と言った所かね。」
若干あきれ気味のおやっさんを尻目に、近くに居た人物に俺は話しかける。
「やっぱりこいつのAIソフト設計は絵莉の仕事か。」
そこには、肩まである髪をポニーテールに纏め、ツナギ姿のメガネ美少女が立っており、驚いた表情でこちらを見つめていた。
「何で分かったのっ!?」
「幼なじみの勘と、今時、兵器のメインOSにナイスミドルの執事みたいな性格パターンをぶち込むエキセントリックなお方は、貴女さましかいらっしゃらないと小官は愚考した次第であります!。」
そうなんです!この子は幼なじみの中山 絵莉。なんと言う神のいたずらか、あの熊みたいなおやっさんの愛娘なのです!!くりっとしたちょっとたれ目の女の子で、150センチじゃすと(自称)と小柄ながらもメリハリのあるボデーライン(上から蜂蜂、GOGO、菜名納奈:壮一の目視の結果)とアイドル顔負けのルックスの持ち主で、弱冠15歳で工学系の大学を飛び級で卒業し、現在はおやっさんの助手を勤めており、『整備の神様の後継者』と言われる程の才媛である。
「いやはや、おにいにそんなに誉めて頂けるとは……(ニコニコ)。あっ!(゜ロ゜;! 不具合とかはなかった!?作業しててやりにくいとことかも大丈夫だったかな……?」
「問題があるとすれば、俺の方が[伯狼]に緊張して、日本語が変になるくらいかな?後は完璧だったよ。[伯狼]作ってくれて、ありがとな!」
絵莉にそう伝えると、俺は[毘沙門天]人格召喚の準備にはいる。
右手を[毘沙門天]側につきだして、召喚の口上を述べる。
「天将機が1柱[毘沙門天]の操主が命じる。我が[心力]を使い現世へ顕現せよ!『召喚』!!」
さーて、お次はどんなヤツが出てくるかなぁ……?