第1章 1
やっと本編スタートですぅ~。生暖かぁぁぁく見まもっていただけたら幸いです‼️( *´・ω)/(;д; )
side; 南雲 壮一
「何ゆえ、どぉーして、こーなった?」
桜が咲き乱れ、新しい出逢いに胸踊らせる季節だと言うのに、くそあつい詰襟の軍服を着て、何故こんなところに俺はいるのだろうか?
ふと、視線を自分の目の前の門扉に掛けてある板に向けると、
『国連統合軍 新設DM特化機甲連隊
発足式』
………なんとも達筆な字で大書されたソレに多少の違和感を感じつつ、小さく愚痴をこぼす。
「こちとら、一週間前までフツーの高校生で一般人だったのに、こんなところで何をせよとっ!?」
………まぎれもない事実なのだが、俺自身先週末に卒業式を終えたばかりの元高校生の18歳で、卒後の進路も地元の大学に進む事が決まっていたはずなのだが……。
「まさか、適合するDCを自分で見つけて拾っちまうとは…。」
DCとは、『ディメンションコア』の略で、本来は軍の施設で厳重に保管されているべき物で、たまたま海岸沿いの国道をバイクで走行していた時に、偶然発見し拾ってしまったのだ。軍の機密に偶然とはいえ触れてしまったことから機密保持やら安全保障の観点から事情聴取とDC適正検査(と言うよりただのお説教だったが…。)を受け、そのままこちらの部隊の発足式に参加と言うことになっていた。
「まぁ、下手の考え休むに似たりとも言うし、そろそろいくか…。」
ともすれば憂鬱になりそうな気持ちを鼓舞して、衣類等入った鞄を肩にかけ直し、俺は建物の中へ足を踏み出すのだった。
建物の入り口で、守衛の人に『連隊司令執務室』の場所を確認した後、司令室付の下士官に連れられ、執務室の扉をたたく。
「どうぞ。」
力強く、強固な意思を感じさせるその声に気後れしそうになる気持ちを奮い立たせ扉を開く。
「本日付けで国連統合軍新設DM 特化機甲連隊に配属されました、南雲 壮一伍長、着任致しましたっ!」
挨拶の後に敬礼を決めて、
(よっしゃぁぁああ!!!噛まずに言い切ったぁ!!!!
正直、慣れない言葉に噛まずに言い切れるか不安だったんだよねぇ~。……って、そんな場合じゃねえか。)
「長時間の移動は大変だったろう、君の話は上から聞いている。当基地の司令、世良 雅比古准将だ。貴官の着任を了承する。」
そう言って、右手を差し出した准将に、
「若輩者ですが、宜しくご指導お願いします。」
と返して差し出された右手を握る。
………………ワァ~オ、准将超イケメン!
(ロマンスグレーの髪をオールバックにまとめた、二枚目俳優顔負けのナイスミドルの優しげな笑顔に隣の女性秘書官も1発KOですよ!!)
「立ち話も疲れるだろうから、ソファーに掛けて話をしよう。伊川君、珈琲を頼めるかい?」
そう言って執務室の傍らに移動して、ソファーに座ると、早速准将から、
「大学への進学が内定していたのに、災難だったねぇ。特一級の機密とはいえ従軍経験のない素人をいきなり新設部隊に放り込むなんて、ちと無謀じゃないかと上申はしたんだがね。力及ばず、申し訳ない。」
そう言って頭を下げる准将にかなり動揺してしまい慌てていると、
「とまぁ、軽々しく頭を下げるのも明日からは出来なくなってしまうからな、それで、他の者より君には1日早く着任するよう手配させてもらったんだよ。」
さすが、ナイスミドル司令。カッコいいわぁ……。
「と言うわけで、南雲君には特別に質問タイムを設けようと思う。機密等は答えられないが、聞きたい事は聞いてくれて構わないよ?」
とまぁ、表面上おりこうさんにしていたお陰か、思わぬところで貴重な情報を得られるタイミングか回ってきた!!
何を聞くべきか、少し考えて俺は答えた。
「それでは、2つ質問させていただきます。まずは新設部隊設立の目的は何か?二つ目が、なぜ、厳重に管理、保管されている、それも適合可能なDCがあの海岸にあったのか教えて頂けますか?」
「うむ、まずひとつめの質問の答えだが、開発部で開発された新技術の実証実験と稼働データ収集が主目的の実験部隊と言うことになる。明日には他の隊員にも通達されるが、簡易型DC対応型DM……DMTの稼働データ取得が主任務となる。南雲伍長には専用DMの調整とDMTパイロット候補生と共に機体操作について学んでもらうことになる。」
なるほど……。DMの操作訓練がしばらくは主目的な訳か。
「そして、二つ目の質問についてだが、分かっている事としては、伍長の拾得したDCの生産場所とDCに刻まれた[銘]が判明したことくらいだね。」
DCと言う物質を一言で表すならば、『ポケットサイズの持ち運べるクリーンな原発』といったシロモノであり、適合者のヒトとしての感情の揺らぎや意思といった部分に反応して目覚め、DMTの原型でもある、10mほどのヒト形兵器『DM』(ディメンションマシンナリー)の動力源に使用したり都市防衛のために設置されている対『異獣』防壁『アマノイワト』のエネルギーとして使用されるものだが、[銘]が分からなければDMを展開出来ないため聞き逃せない。
「生産されたのは旧日本軍の所有していた、玄海沖ノ島プラントで、最初期に生み出されたオリジナルコアのひとつ[銘]は毘沙門天だそうだ。」
ぶっ……!!
危うくもらった珈琲吹き出す所だったわ!
「天将級のオリジナルコアって…!。」
「ああ、現在の日本列島のライフラインを軽く200年位持たせられるDCだな。」
(ガッツリ国宝級のお宝じゃねえぇぇか!)
「一応、機密情報だが機獣大戦の最中、『異獣』の攻撃で沈んだプラントにて生産された最上位の物の一つで移送に失敗し、沖ノ島プラントと共に海中に没したものと確認された。」
うわあぁぁぁ…。
色んな意味で重大な情報ばっかりだった為か、俺の脳はこのあと盛大にフリーズした…………。