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「は、初めまして
こ、こんばんは
夜分遅くにお邪魔します
寝てたんですか?起こしてしまってすみません」
「寝る?起こしたですって?奇妙なことを言う子なのね
なにそんな怯えちゃってるわけ借りてきた子猫みたいじゃない」
「誰のせいだか•••」
「何ですって!?」
「別に〜?」
「そういえばアナタ名前はなんて言うのよ?」
私の•••名前•••
名前は大丈夫、覚えている
「私の名前は、あいです」
「あら、可愛らしい名前ねアナタにぴったりじゃない!」
「へぇ〜!あいちゃんっていうんだね
そういえば僕ら自己紹介してなかった
お互い名前も知らないままだったなんて笑えるね」
「はぁ!?名前すら知らない子を連れてきたの!?アンタそれ本気!?」
「まぁまぁ、いいじゃんか!あいちゃんが可愛かったからね」
「全くいつまで経っても変な奴だわ」
「はははは」
「僕はノーア、よろしくね」
「そしてこっちのうるさいのはギルだよ」
「誰がうるさいですって!」
「じゃあオカマ?」
「オカマのなにが悪いのよ!」
「別に悪いだなんて言ってないだろ」
「アタシはギルバートっていうのよ、お嬢さん
長いからギルって呼んでちょうだい
アンタよくこんな胡散臭いやつに付いてきたわね〜」
「誰が胡散臭いやつだよ!」
「あーら、まだ認めてなかったのかしら?」
「ふふふふ」
知らない場所
知らない人たち
記憶も曖昧でずっと不安で心細かった
でも2人のやり取りを見て少しだけ不安が消えた
この人達なら信用してもいいのかな•••
「それよりアンタ家出でもしてきたわけ?どこから来たのよ?」
「ギル、この子はちょっと記憶が曖昧みたいで」
「あら、大変ね」
「バックアップはとってないわけ?」
「••••••••••」
「その•••この子はさ•••」
「回路のショートなの?」
「えっと•••だから•••」
「バク起こしちゃったの?」
「なんて言うか•••」
「もう!何なのよ!はっきり言いなさいよ!」
「••••••••••」
「あいはさ、人間なんだよ」
「••••••••••」
「•••は?」
「にんげん•••?」