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01 仔猫へ転生。



ハロハロハロウィンー!

仔猫ちゃん飼いたい気持ちを込めて書き上げました!


仔猫ちゃんライフをどうぞ!


20181023




 仔猫ちゃんが飼いたい。


 めちゃくちゃ可愛い黒い仔猫を飼う夢を見てから、取り憑かれたかのようにそのことで頭がいっぱいとなってしまった。


 うん、でも元々猫は可愛い生き物だ。あざと可愛いというのだろうか。

 幼くても大人でも、あざと可愛い。

 猫科全般が可愛い。猫科全ての生き物が可愛い。

 ライオンですら、可愛いと思う。もう抱き付いてしまいたい。

 オセロットという猫科を知っているだろうか。もうビューティフルキャットである。


 一回でいいから、ライオンかオセロットをひともふりしたい。


 うん、私の夢である。人生を終える前に、是が非でも叶えたいものだった。


 叶わないと知ったのは、どの場面だろうか。

 信号は青だった。だから、携帯電話で音楽を聴きながら歩いていた私は、信号を渡っていたのだ。

 横から迫るトラックを見た。

 時間が止まった気がする。


 もう一度言うが、信号は青だった。


 私の好きな赤ではない。

 でも、きっと私の好きな赤が、現場に散らばったことだろう。


 暗転。


 ライオンやオセロットどころか、仔猫すらもふれないと理解したのはきっとそこだ。

 真っ暗な闇の中。

 怒りも悲しみもない。放心していた。


 うん、私は死んだのだろう。


 その事実を飲み込む前に、光が見えた。カッと眩いもの。

 瞬きをしたけれど、よく見えない。


「ほら」


 優しい声が聞こえてくる。でもちょっと声量が大きすぎるかな。

 男性の声だ。若そう。


「飲みな」


 飲み物を差し出されている?

 いやそんな状態じゃないはず。だってあんなに大きなトラックに轢かれたのだから、落ち着いた優しい声で話しかけてくる場合ではない。そう思ったけれど、口に押し付けられた。


 乳臭い。牛乳だ。


 私、牛乳好きじゃない。

 てかこんな時に牛乳を押し付けないでほしい。

 って、あれ?

 意外といける?


 ペロペロと舐めてみれば、声の主が満足げな息をついた。


「いい子だね」


 あれ、よく聞いたらイケボじゃないか。


 そんなセリフに、ときめいてしまう。

 いや待てよ。私は牛乳を飲まされている状況だ。

 どんな状況?


「みゃあ」


 お腹が満たされたことを言おうとしたら、甲高いそんな声が漏れた。


 いやだ。みゃあって、恥ずかしい。


「みゃあ、みゃー」


 でも出る言葉はそれだけ。

 まるで仔猫じゃないか。

 何度も瞬いても、視えない。

 それから温かいものに包まれた。なんだかわからない。

 口元が拭われる。それで気付く。これは布。そして手だ。

 私よりも、大きな大きな大きな手。

 というか、その手に包まれてしまっている。


 んん? もしや私が小さい?


 その答えは、時間がかなり経ってからわかった。

 私は猫だ。仔猫だった。

 私は死んで、仔猫に転生したのだ。


 仔猫が飼いたかっただけなのに、仔猫に転生してしまった。


 やっと視界がはっきりして、自分の手足を見たのだ。キュートな猫の手足だった。黒い肉球。初々しい真っ赤なうぶ毛がある。

 尻尾まであるのかと覗き込んだら、ゴロンと転がってしまう軽い身体。


「何をしているんだい?」


 飼い主の若い男は笑ったが、私はそれどころじゃない。

 起き上がれないのだ。

 尻尾。あった。意識すれば、お尻の方にある。動く。

 仰向けになってジタバタする私のお腹を、コショコショする。


 くすぐったいったらありゃしない。

 やめてー。


「ローサ」


 彼はそう名付けた。

 ローサ。それが私の新しい名前だ。

 グルン、とひっくり返される。

 ちゃんと立たせてもらった。と言っても四足歩行だ。それもまだ覚束ない。


「おもちゃがなくても楽しそうだね」


 クスクスと笑うそんな彼は、ペリドット色の髪をしていた。右肩から長い髪が、三つ編みで垂らされている。


 きっとここは異世界なのだと思う。だってペリドットのように輝く髪色をしているイケメンが、地球に存在する?


 でも彼は人間のようだ。色白の肌。顔立ちは、西洋に見える。高い鼻。厚くて形のいい唇。瞳は、一際明るいオリーブグリーン。アーモンド型で優しく細められて、微笑みを寄越される。

 キュンとしてしまう。面食いなのだ。前世から。

 それにしても、日本語を話しているように言葉が理解出来るのはどうしてだろうか。猫だし、異世界だろうし。

 私は、どうやらこの飼い主に拾われたようだ。

 だって、親猫がいない。そう推理するのは妥当だろう。

 この彼に……ご主人様と呼ぼうか。

 ご主人様が私の面倒と見てくれている。ミルクを与えたり、身体を拭き取ってくれた。正直恥ずかしい。イケメンにあんなところやこんなところに触れられたり、見られたりしている。


 クッ……ただの猫なら、こんな羞恥心抱かなかった。

 何故前世の記憶があるのだろうか。

 ただの猫じゃあ役に立たないじゃない。


「ほら、ローサ」


 とびっきり甘く呼ばれる。

 私にとって大きな人差し指が、顎をくすぐった。


「可愛いね」

「……みゃあ」


 まぁ、イケメンに愛でられるにゃん生も悪くはないか。

 いやむしろ、最高じゃない。

 このまま愛でられよう。

 まったりとにゃん生を送ろうじゃないか。



 

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