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友達

なんだかフリーゲームのような作品になっています。かぎ見つけたり、捕まったら即ゲームオーバーな少女に追いかけられたりと。謎解きや探索、完全にフリーゲームですね。しかしそういうものだと思って読んでもらえたら幸いです。

 私は黒川 美月。

 この日は久しぶりに友人のなぎさの家を訪れた。

 八月八日。今日はなぎさの誕生日。


 なぎさとはクラスが分かれてから話す機会は減り、どこか疎遠になっていた。

 

 去年にお互いの誕生日を毎年祝える仲であり続けよう。これはなぎさの発した一言。

 正直私は忘れていたが、なぎさはきちんと覚えていたのだ。きっと今日はなぎさの誕生日会に招待されたのだ。

 

 また、去年みたいに一緒に買い物に行ったり、映画にいけたらなぁ。


 私は小さな橋を渡り、なぎさの大きな家を見渡した。

 なぎさの父親は医者で、そこそこの金持ち。家はかなりでかい。


 ん?


 なんだかいつもよりも暗いような気がする。半年ぶりだからかな。


 私はベルを鳴らした。

 玄関は明かりが灯ってなく、さらに奥にも明かりは見えない。

 音が返ってこないので私はもう一度ベルを鳴らした。


 …………おかしい。


 物音一つ返ってこない。

 まさかなぎさ、からかってるの? 


 きぃ。

 冗談半分でドアノブに手をかけると、ドアがあいた。


「鍵をかけてないなんて、無用心ね」


 念のためにもう一度ベルを鳴らしたが、反応がない。


「おじゃましまぁす」


 少し小さめな声でそうつぶやく。

 私を呼んだのはなぎさだもんね。きっとおじさんとおばさんにも伝えてるよね。


 私は玄関で靴を整えてから、泥棒にでもなったかのような足取りで中に入った。



 おかしい。



 以前来たときに、私は夕飯をごちそうになったことがある。しかし、その部屋の明かりはついていない。


 そうか、サプライズのつもりか。

 なぎさは人を喜ばせるのが好きだし、そうだ。そうに違いない。

 私は食堂に足を踏み入れた。食堂と言うには小さな部屋だが、私が普段食事をする場所よりも大きい。


 人の気配がない。

 電気をつけたが、誰もいない。

 テーブルの上に食事が並べられているということもなかった。

 


「なぎさー、いないの?」


 やはり返事はない。


「もう、どこいったの。本当に」


 と、ため息をついたときだった。



 くちゅ、くちゅ。



「えっ、なに?」


 二階から奇妙な音がした。

 なにか液体が飛び散るような、あまり見に覚えのないような音。

 思わず背筋が凍りつくようだ。


「なぎさ、いるの? ねぇ、冗談はやめてよ」


 こんなにも静けさが怖いと感じるのは今日がはじめて。

 何か後ろを振り向けば、誰かが見ているのではと感じてしまう。

 もちろん振り向いても、誰かがいるわけでもない。


 もう! 私を馬鹿にしてるの!


 私は食堂を飛び出し、階段を駆け上がった。

 音がだんだん大きくなる。私は音を頼りに、音源のする部屋まで来た。

 この部屋は明かりがついていた。


 きっとここになぎさはいるに違いない。

 この部屋に入るのは初めて。確かおじさんとおばさんの寝室のはずだ。


「なぎさ、いるの?」


 鈍いドアの開く音。

 それと重なるようにはっきりと聞こえる。



 くちょん……………くちょん………………。



「…………なぎさ? な……に、して………………えっ?」


 私の視線に入ってくるなぎさ。手には血まみれの包丁。それを地面に向かって何度も振り下ろしている。しかしちょうどベッドと重なって、何をしているかちょっとよくわからない。


 私の足は勝手に動き出していた。


 ゆっくり。ゆっくりと。


「…………なぎさ?」


 ちょうどなぎさの後ろから、覗き込む。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー」


 思わず口から飛び出す、甲高い悲鳴。

 どたん、と私は思わずしりもちをついた。



 怖い、怖い、怖い、怖い、怖い。



 それはちょうどなぎさと重なる位置にある。だがそれでも鮮明に脳裏に訴えかけてくる。

 …………………………あれは人だ。

 それも血が大量に散らばっていて、うっ。



 気持ち悪い。



「あれ? 美月来てたの? いらっしゃい」


 なぎさの手は止まり、ゆっくりと首だけが私をにらむ。まるで首に骨などないかのように、首はぐるりと回った。

 そして気味の悪い笑顔が私をみつめる。


「な、なぎさ………………何をしてるの? そ、それは人形かなにか?」

「んふふふふふふふふふふ。








ソウミエル?」


「ひっ、じゃ、じゃあそこにいるのは」

「お父さんとお母さんだよ」


 なぎさがゆっくりと立ち上がる。右手には血がべっとりとついた包丁。

 なぎさの好きだといっていた白のワンピースは、返り血ですっかり赤く染まっていた。


 私はとっさに立ち上がろうとしたが、すぐにに力が入らない。

 立ち上がらずに後ろに下がるが、それを追うようになぎさはゆっくりと歩みよってくる。


「なぎさ、きょ、今日はどうしたの。急に私を呼んで」

「美月にお願いがあるの」


 なぎさは包丁を持つ右手をかかげ、小さく微笑む。

 包丁の先っぽから、ぺちょん、ぺちょんと血が地面に落ちる。


「な、なぎさ。私たち友達…………だよね? そ、そんなもの捨ててよ」

「美月は友達だよ。だから、お願いきいてくれる」

「も、もちろん。なんでも聞くよ」


 私はゆっくりと立ち上がった。

 隙をうかがってすぐにでもこの家から飛び出したい。

 これ以上、ここにいるとやばいような気がする。


 そんな私の心理を読み取るかのように、赤色に輝くなぎさの目が私をにらむ。



「じゃあさ、シンデクレナイ?」

「…………………………………………えっ?」


 なぎさが笑う。

 そしてすぐに包丁をつきたて、


「きゃぁぁぁぁぁぁー」


 私はすぐに部屋を飛び出した。

 なぎさが包丁を向けこちらに走ってきたからだ。

 階段を降り、すぐに玄関に手をかける。


「どうして! どうしてあかないの」


 鍵はあいてる。だが扉が開かない。


「あいてよ! お願いだから、あいてよ!」

「無駄だよ」

「ひぃ!」 


 突如後ろから聞こえてくる声。

 私は飛び上がり、駆け出した。

 どこでもいい。なぎさが追ってこない場所に。


 後ろからはなぎさの不気味な笑い声が聞こえてくる。


 狂ってる。いつものなぎさじゃない。


 私は食堂の中に入った。

 そして私が入ってきたのと反対側にある扉を開け、すぐに食堂のテーブルの下に身をひそめる。


「みづきぃ、そっちはいきどまりだよぉ。ふひひ」


 ちょうどなぎさが姿を現す。ちょうどテーブルクロスの陰から血のついた包丁が見える。

 思わず悲鳴が出そうになったが、なんとか思いとどまれた。


「美月は馬鹿だなあ。昔鬼ごっこしたときも、そこに入って私が捕まえたよね」


 きぃ、きぃと小さな足音が近づいてくる。


「また私が鬼だよ。でも、今度はコンティニューはできないからねぇ」


 早く通りすぎてよ。早く早く早く早く早く早く早く。

 私は耳をふさぎ震えていた。

 

「美月、すぐに楽にしてあげるからね♪」


 音が遠のいていく。

 そして慎重にテーブルから少し顔を出す。

 なぎさが扉の向こうに行くのを確認し、私は入ってきた扉から食堂を飛び出した。

 なぎさにばれないようにゆっくりと。足音をたてないように。


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