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探偵カナタと白黒館の殺人  作者: 藤宮ハルカ
3/7

転化

続きです。

 十八時十分になった。食堂の机は長方形の長い十人掛けで、椅子も十脚見られる。物の価値など私はあまり分からないが、この椅子と机はかなり高価な物だと思う。椅子など座り心地が抜群だ。お誕生日席といっただろうか。主役が座ると思しき席は未だに空席である。が、館の雰囲気が合わさり、その席からは妙な威圧感が感じられた。果たしてこの席に座る人物はどんな人間なのだろう。

 お誕生日席を右手に見て、最もその席に近い場所に座ったのがカナタ。その正面が私で、カナタの左手には三輪さん。私の右には佐野さんが座っている。最初から席が決められていた訳ではなく、食事の準備をしていたシノさんが「どうぞ、お好きな席にお座りください」と言ったのでこの席に落ち着いた。私などはそう言われると、反射的に必ずメインから一番遠い所に座ってしまうのだが――流石は我が姉、さっさとメインに一番近い席を陣取った。最初にそんな席に座られると、後続の私達は思い思いに好きな所に座る事が出来なくなってしまう為に仕方なくカナタの周辺に腰を落としたわけである。

 前触れも無く食堂の扉が重々しい音を立てて開いた。私達は一斉にそちらを振り向くと、そこには男二人と女一人が立っている。

「これはどうも、遅くなってしまいました」

そう切り出したのは一番手前にいる男――年齢は三十代後半くらいだろうか。身長は百九十センチを優に超えているだろう。そしてかなりガタイが良い。組み手なぞ一緒にやったら私などは粉々になってしまうだろう。しかしそんな体形に似合わず、声と表情はかなり柔らかい。大きく垂れた目がそんな印象を強くする。

「見たこと無い人が…三人か。人が増えるのはいいことだ。なぁ?」

 大男の隣に立っていた男――年齢は正直分からなかった。見た目だけなら四十代に見えるが何より声は二十代、いや聞き様によっては十代にも聞こえる。張りの良い好青年の様な声だ。身長はシノさんと同じくらいだろうか、かなり痩せ型の体形をしていて、愉快そうに隣にいる女性に笑いかけている。

「そうだね、しかも女性が二人、若い男が一人。今夜はハッスルできそう」

 男二人の後ろにいた女性も細い男性に釣られて笑っている。年齢は二十代後半程でカナタより少し上くらいに見える。かなり背が低く、もしかしたら百五十センチも無いかもしれない。零れ落ちそうな程大きい猫の様な目が印象的で、艶の良いショートカットの黒髪がよく似合っている。文句なしの美人だ。

 大男は佐野さんの右、細めの男は大男の前、小さな女性は細めの男性の左に座った。最初に席に着いていた私、カナタ、三輪さんが簡単に自己紹介をする。

「はぁー横浜からいらっしゃったんで。こりゃまた遠いところからいらっしゃいましたのう」

 大男はその喋り方も柔らかかった。人は見た目によらないとはよく言ったものである。もっとも私の正面でつまらなさそうに煙草を吸っている女の中身は見た目通りだが。

「ご丁寧に紹介しくださってありがとう。僕は「今野タダシ(こんの ただし)」と言います。静岡で柔道のインストラクターをしておりまして」

 やっぱり格闘技の経験者だったか。相当の腕前なのではないか、と予想しているとカナタが口を開く。

「あら、名前なら聞いた事あるわね。確か前回のオリンピックで代表に選ばれてメダル確実、と言われていたけど直前で故障。泣く泣く代表を諦めた選手が確か――」

「いや、お恥ずかしい。その泣く泣く代表を諦めたダメな男がこの僕でして」

 今野さんは恥ずかしそうにその短髪の頭を掻いた。オリンピックの代表に選ばれただけでも私から言わせればとんでもない事である。

「タダシ君は昔からちょっと運が悪かったからなぁ。おっと、次は俺かな」

 細めの男は深めに座りなおすとコホンと咳払いをした。

「紹介の前に、誰か俺の声を聞いた事は無いかい?」

「まーた始まった」

 小さな女性がやれやれと言う様に肩をすくめて笑った。今野さんも愉快そうに笑っている。彼の声は確かに特徴的な声ではあるが…はて、どこかで聞いた事があっただろうか。しばらく私、カナタ、三輪さんの三人は思考を巡らせる。やがて痺れを切らせたのか、質問者は広い食堂に良く通る声でこう言った。

『全く、僕を知らないなんて酷い子達だなぁ』

「あっ!」

 思わず私の口から声が出た。この声は――

「もしかして「安楽椅子探偵ユウキ」の声の弥勒シュウさんですか?」

「正解!『大正解だ、悪くない』」

 まさかこんな所でこんな人に出会うとは。彼は「弥勒シュウ(みろく しゅう)」。アニメ、ナレーターを主に様々な作品に出ている大物声優だ。「安楽椅子探偵ユウキ」とは深夜にやっている小説が原作となったアニメで、今現在、世間の注目を大きく集めている。『大正解だ、悪くない』というのは「安楽椅子探偵ユウキ」の主人公、ユウキが事件を解決したときに自身に言う決め台詞である。

「へぇ、有名なんだ。声優さんかしら」

 そう言うや否やカナタは二本目の煙草に火を着けた。

「自分でこんなこと言うのも何だけど、そこそこ売れてはいるよ。よかったらお姉さんも「安楽椅子探偵ユウキ」を見てくれよな」

「覚えていたら是非。それにしても見事なものね。そんなにコロっと声色を変えることができるなんて」

「声色と演技力は声優の要であり、メシの種ですぜ」

 弥勒さんはユウジの声、ユウジの動作で大げさに笑った。

「この人、前回も私達に同じ質問をしたんだよ。その時は私も今野さんも佐野さんも、みんな彼の名前は知ってたんだけどそのアニメは知らなくて」

「あの時の事は言わないでよアヤメちゃん、恥ずかしいったらないやね」

 アヤメと呼ばれた女性と弥勒さんは肩を小突き合っている。今野さんも「そう言えばあの時の空気は酷かったな」などと言って弥勒さんとじゃれ合っていた。佐野さんも「そうだった、そうだった」と笑っている。どうやらこの四人は四人とも、前回の集まりに呼ばれたらしい。

「さーて最後は私かな。「御堂アヤメ(みどう アヤメ)」だよ。私もそこそも名前が通ってると思うんだけど…「御堂美容プロジェクト」って言えば分かってくれるかな」

 さっぱりである。と、思ったが三輪さんが目を煌かせて身を乗り出した。

「やっぱりあの御堂さんですか!十八歳で起業して、数年でエステ業界を牛耳ったっていう!」

「おっ、やっぱり若い子は知ってくれているのか。嬉しいな」

 御堂さんは大きな目を細めて笑っている。本心で喜んでいるようだ。

「私も名前だけなら。エステに留まらず化粧品、美容サプリメント、健康食品なんかの美容に関する全般のコンテンツに必ず名前を連ねている会社よね。その創始者にして現取締役がこちらの御堂さんという事でよろしいかしら」

御堂さんは腕を組んで満足げに数回、頷いた。

「うんうん、その通り。是非カナタさんもウチの商品をご贔屓にね」

「ええ、興味が沸きました」

 本当かよ。しかし美容に疎いカナタも知っているのか。まるで知らない私が恥ずかしい。そんな私の胸中を察したのか「大丈夫だよハルカくん、僕も全然知らなかったから」と、今野さんがそっと私に囁いた。が、運悪くそれは御堂さんに聞こえてしまったらしい。

「あーら今野さん、今は男だって美容にオシャレに真面目な時代だよ。少しはお洒落しなきゃダメなんだからね」

 御堂さんは今野さんにビシッと人差し指を衝き立てた。今野さんはその巨体を狼狽させながら苦笑いする。

「えー僕は遠慮しておくよ。そういうのは顔立ちのしっかりした佐野さんみたいな人に勧めるべきだと思うな」

「俺か?よしてくれよ、殺人現場で「やだ、お化粧が崩れちゃった」なんて言うのか?」

 佐野さんがオカマの様な口調でそんな事を言うものだから、食堂に大きな笑い声が反響した。

 そして待ち侘びたその時が訪れる。



「お楽しみの中、悪いのう」

 笑い声の中に扉が開いたので気が付かなかった。キッチンへと続く扉が開かれていて、そこに二人の人物が立っているのだ。一人はシノさんだ。手には何やらピンク色の液体が入った透明の大きなポットが持たれている。その隣に立っているのが――子供?

「準備に少し手間取ってしまった。悪く思わないでくれ」

 声も子供そのものだ。しかしその声に幼さはあるものの子供特有の鼻声や、物怖じした様子は一切見られない。

「今回は新顔が三人もおる。前回来てくれた皆には悪いが、自己紹介をさせてもらおうかの」

 そう言うとその子は優雅な仕草でお誕生日席に座った。この子が主催者なのか?それにしてはあまりにも――

「あまりにも幼すぎる、かや?」

 その子の真紅に染まった眼が私の眼と心中を貫いた。息が出来ない。眼を離す事が出来ない。まるで心を鷲掴みにされ、目の前にかざして鑑賞されているような――

「そう思うのも無理は無い。“この体”では、な」

 やれやれと彼女は意味深な言葉を放ち、首を振った。

 シノさんは皆の前に置いてあるグラスにピンクの液体を注いでいる。立ち上る匂いからするとどうやらこれはお酒、食前酒の様だ。

「私の名は「アリス・フロンティア」と言う。疑問に思うやもしれぬが、この館の主人であり主らを招いた張本人じゃ。「フロンティア」と言えば、もしかしたらピンとくる者もおるやも知れぬ」

 フロンティア…ピンとくる、などというものじゃない。フロンティアと言えば――

「戦後直後に豚肉を食肉用に加工した缶詰を破格の値段で市場に卸し、莫大な資産を築いた。その資産を脚掛けに、食肉様缶詰に留まらず食品、服飾、アクセサリー、果てには航空会社等、ありとあらゆる市場にその名を世界に轟かせる超一流起業「アトランティス」…間違いないかしら?」

 そう言うカナタの顔から、さっきまでのつまらなさそうな表情は消えていた。今はまるで新しいオモチャを手に入れた子供の様に輝いている。

「うむ、概ね間違いは無い。私はそのアトランティスの関係者、と言っておこう。アリスと呼んでくれ」

 そう言うとアリスはニッコリと微笑んだ。喋り口調に似合わず、その笑顔は歳相応である。

「さぁさ今宵は無礼講。皆も腹を空かせておるじゃろう。良い宴を楽しもうではないか。それに私に敬語は使わないで良い。ここの唯一の“仕来り”と思ってくれ」

 アリス、カナタ、佐野さん、今野さん、弥勒さんが揃ってグラスを取った。私と三輪さんも慌ててグラスを取る。

「この場に集まった全員に感謝と、これからの健闘の祈願を――乾杯」

 グラスが軽くぶつかり合う軽い音と共に、ピンクの鮮やかな食前酒が揺らいだ。



 この場に集められた理由は驚くほどに単純なものだった。アリスが新聞、インターネット、個人的な噂などで知り、気になった人物を調べて招待状を送ったと、ただそれだけの事らしい。

 食事はメインディッシュが運ばれて来た所だ。鶏肉のソテーに、これはシソのソースだろうか。あっさりとした味にも深みがある。コンソメのゼリーの上にキャロットソースがかけられた付け合せは、見た目も美しく味も相応に格調高い。

「私を呼んだのはどういう理由かしら。皆に比べて、新聞なんかに載るほど有名な人間じゃないわよ」

 上品に鶏肉を切っているカナタだが、食べるペースは皆の中で一番早い。外見を取り繕っても内面がにじみ出てしまう良い例だ。いや、悪い例か。

「世間は狭い。それに面白い情報が手に入ったら私に伝えろと“その手の者”に言っておる」

 アリスはあまり酒に強いわけではないらしい。食前酒を飲み干しただけで、その頬は薄い桜色に染まっていた。というか見た目は明らかに小学生くらいなのに酒を飲んでもいいのだろうか。

「それにあの事件を解いたのはベテラン刑事なんかではなく、若い女探偵というではないか。しかも本格的に捜査するわけではなく、事件の概要をざっと聞き、アリバイ調査を行っただけで事件を解決。興味を持つなという方が難しいとは思わぬかえ」

 要約すればそういう事になるか。しかし私の名前が出なかったのが少し悲しい。

「ふん、確かに。けどそんな事よりアナタの事がもっと知りたいわ。ねぇハルカ?」

 ふいに私に話が振られた。カナタは三杯目のブランデーを空にし、「お飲み物は?」と即座に聞きに来たシノさんに「焼酎はあるかしら」と問う。

「焼酎ならば「魔王」などいかがでしょう」

「芋か。このブランデーといい、良い物を揃えているのね」

「恐縮です」

「じゃあ魔王をロックでお願い」

「かしこまりました」

 彼女は深くお辞儀をする。飲み物を聞きに来る度に、そこまで礼儀正しくする事もないのに、と少し思った。

「おっとシノ、私も同じものを貰おうかの。ハルカ、アキナも同じ物でよいか」

 私は二杯目のビールをちょうど空にした所で、三輪さんのグラスにはまだオレンジジュースが残っている。

「えーっと私はお酒はもう…」

 三輪さんの顔は真っ赤だ。食前酒の一杯でかなり酔いが回ってしまったらしい。というか彼女は未成年だ。

「そうか、無理をさせるのは本意ではない。ゆっくり食事を楽しんでくりゃれ。ハルカ、主はどうするかえ」

「じゃあ貰おうかな。良い酒だし」

 シノさんは再び「かしこまりました」と言い、頭を下げるとキッチンへ消えた。会話は私、カナタ、三輪さん、アリスのグループと、佐野さん、今野さん、弥勒さん、御堂さんのグループで自然と分かれている。

「さてハルカ、私の事を知りたいのかや」

 アリスがにやりと笑って私に問いかける。参ったな。シノさんが来た事で話が終わるかと思ったがそうはいかないらしい。勿論、興味が無いわけではないが…あまりに聞きたい事が多すぎてどこから聞いてよいものか。

「うーん、じゃあアリス、歳は幾つなんだ?」

「女に歳を聞くとは、主の弟は無粋な奴じゃの」

 アリスはカナタを見てくっくと笑う。それを受けたカナタは肩をすくめて小さく笑った。

「想像に任せるぞ。何にせよ、歳の話はこれで仕舞いにしようではないか」

どうやら触れてはいけない話題らしい。年頃の女性に年齢を聞くのとは勝手が違う気もするのだが…間違い無く“なにか”があるのだろう。

 アリスの見た目は、どう見積もっても十歳くらいにしか見えない。金色の髪は定規で引いたようなストレートのセミロング。身長は百四十センチ程か。黒と赤で仕立て上げられた、まるで絵本から出てきたような美しいドレスに身を包んでいる。ウエストを絞っているコルセットが彼女の華奢さを物語っていた。釣り眼がちの大きな真紅の眼はまるでルビーの様に底無しに深い。小さな顔に細い顎、首。色白の肌。「フランス人形」という表現がしっくりくる。

「アトランティスの関係者と言ったが…どういう関係者なんだ?」

 アリスはしばし小首を傾げて思案した。

「ふむ、とても重要なポストに就いている、とだけ」

まるで答えになっていない。しかしこの子の雰囲気は突っ込んだ質問をさせない様な、何か特異なものを感じる。さっくりと質問が答えられてしまったので矢継ぎ早に次の質問をする。

「じゃあ、生まれは何処なんだ?」

「こう見えて生まれは日本じゃ。血縁者に関しては…分かるな?」

 ニタリと笑って見せた。はいはい、これ以上は聞くなって言うんだろ。

 そこにシノさんが「お待たせしました」とトレイを持って表れる。芋焼酎「魔王」のロックが三つ、私達の前に置かれた。

「シノ、お前もデザートを運び終わったら混ざれ。珍しく歳の近いゲストがおるのじゃ、お前もウズウズしておるじゃろう」

「ウズウズなんてそんなはしたない事は…」

 どうやら図星らしい。彼女は真っ赤になった顔をトレイで隠した。そんな動作が小動物の様で可愛い。

「くっくっく。コイツはこういう奴での。一緒にいて退屈せんのじゃ」

「アリス様、またそんなお戯れを…」

「来たくないのかや?」

「い…行きます!」

 そう言うと彼女は小走りで厨房に消えた。面白い子だ。とりあえず運ばれて来た魔王に口を付ける。

 この「魔王」は天使を誘惑し、魔界への最高のお酒を調達する悪魔達によってもたらされた特別な酒という意味で命名された。まず意識がいくのはその匂いである。焼酎は臭い、というイメージを持つ人が多いがコイツは別格だ。味はかすかに甘みを感じ、喉越しはスムーズで焼酎が苦手な人にも勧められる。こんな良い酒が飲めるとは、良い夜である。

 しばらくこの魔酒を舐めていると、ガラガラとワゴンを押したシノさんが現れた。

「お待たせ致しました、デザートでございます」

 運ばれて来たデザートはザクロのジェラートだった。鮮やかな赤い見た目と微かに感じられる酸味が、メインディッシュの鶏肉の油濃さを拭って、口いっぱいに爽やかな風味が広がる。酒で火照った体にも丁度良い。

「ねえシノちゃん、適当にその辺にお酒出しておいてよ。私達でそこから勝手に持っていくからさ。そんでシノちゃんも混ざりなさいよ」

 御堂さんが大声でデザートを運び終わったシノさんにそう言った。彼女の顔は酔いで真っ赤だ。

「そうさせてもらえシノ。ほら、余ってる椅子を持ってくるとよい」

 主にそう言われたシノさんはそそくさと厨房に駆けて行き、ありとあらゆる種類の酒を乗せたワゴンを持ってきた。それを適当な位置に置き、余った椅子をアリスと私の間に置いて腰を下ろす。

「お疲れ様です。大変だったでしょう」

 私は彼女に労いの言葉をかけた。

「ありがとうございます。でもお仕事ですから。それに皆さんお優しい方ばかりだし」

 彼女の顔には確かに疲労の色は見えない。慣れているのだろうか。

「そういえばシノさんって幾つなの?」

「アンタ、女性に歳を聞く性癖でもあるの?」

 カナタが絡んでくる。いつの間に持ってきたのか、カナタの傍には魔王の一升瓶が置かれていた。一人で飲み切るつもりじゃないだろうな。

「いえいえ、年齢くらい構いませんよ。今年で二十二になります」

「なんだ、じゃあ俺と同い年だ。タメ口で話してくれよ」

「そ…そんな無礼な事は!」

「無礼じゃないさ、俺が良いって言ってるんだし。なぁ主様」

 アリスは上機嫌に頷いた。

「お前も同年代の友達が欲しいじゃろう。好意に甘えさせてもらえ」

「わ…分かりました。じゃあ、その…よ…よろしく…?」

「うん、よろしく」

 思わぬ所で同年代の友達が出来た。こういった場所での出会いはなんだか嬉しい。おい馬鹿、カナタ、やめろ。シノさんにどストレートの魔王を飲まそうとするな。

「ちょっとくらい良いじゃないの、シノちゃん?お客様のお酒が飲めないのかしら」

 かなり酔いが回っているらしく呂律が怪しい。首が上がらないのか、無理やり目だけをシノさんに向けている。しかしシノさんは「では頂きます」とコップになみなみ注がれたストレートの魔王を一気に飲み干してしまった。

「カナタよ、シノの方が一枚上手じゃったの。コイツはかなりの酒豪でな」

「いい飲みっぷりじゃないの。それじゃあ私と飲み比べといきましょうか」

「おい、呂律が回ってないぞカナタ。飲み比べなんてやる前から惨敗だ」

「ふふふ…アリス様に付き合ってよく飲んでいますので」

 それにしてもアルコール度数二十五パーセントの芋焼酎をストレートで一気に飲み干すとは、恐ろしい子である。

「シノさんは、ずっとここで働いているんですか?」

 そうシノさんに話しかけた三輪さんの酔いはすっかり醒めたらしく、健康的な顔色をしている。先程から小さくなったジェラートを名残惜しそうに小さくすくっては口に運んでいたのが、私の視界の端に映っていた。

「はい、小さな頃にアリス様に拾って頂き、アリス様の身の回りの世話を。十歳の頃からはお客様のお世話とお食事もやらせて頂いております」

「え、もしかして今日の食事も全部シノさんが?」

「はい、そうですが…お口に合わなかったでしょうか」

 しょぼんとしてしまったシノさんが可愛い。感情の表現が極端で、アリスが言ったように見ていて飽きない。

「いえいえ凄く美味しかったです。あんなに豪華な物を一人でなんて…凄いなぁ」

「そんな事はありません。まだまだ精進してもっともっと頑張らなければ」

 このディナーは文句無く美味しかった。見た目も鮮やかで華やかだったし、次の食事を出すタイミングも完璧だった。これを全て一人で作ったとなると、大変な作業だった事は想像に難くない。

「拾われた…と言ったわね。どういうこと?」

 おもむろにカナタが割り込んだ。両肘を机に着き、片手にはグラスを持って頭をガクリとうな垂れている。まるで寝言だ。

「私は孤児院の出身なんです。あの、お水をお持ちしましょうか?」

「なるほど孤児院ね…ハルカ、あそこから上等っぽいワイン持ってきて」

 まだ飲む気かコイツ。魔王の一升瓶はとうに空だった。

「カナタ、ワインを飲むのは一寸待て。夜はまだ長いからのう」

 アリスがそう言い切るのと二十時を告げる鐘が鳴るのは同時だった。誰に指示された訳でもなく、その場にいた全員が鐘の音の出所を探して虚空を見上げる。

「第二部の開始さ」

 佐野さんが私の肩をポンと叩いて立ち上がった。



 場所は娯楽室に移った。広いこの場所で皆それぞれが思い思いに行動している。

 私、カナタ、アリスの三人はダーツに勤しみ、シノさんと三輪さんはソファーに腰掛けて楽しそうに話し込んでいる。ガールズトークというやつだろうか。佐野さん、今野さん、弥勒さん、御堂さんはビリヤードに白熱している。全員酔いが回っているらしく、試合が一向に進んでいないのが面白い。

「はい18締めた。アンタ死ぬわよ」

「あっコイツ俺の生命線を」

「二人とも中々上手いのう。見ていて勉強になるぞ」

 ダーツには様々な遊び方がある。私とカナタがやっているのはクリケットというスタンダードなゲームだ。

 このゲームは簡単に言えば陣取り合戦で、ダーツボード上で使用するのは20、19、18、17、16、15、真ん中――「ブル」と言う。の、七箇所。一つのエリアに先に三本入れると「アライブ」。四本目からそのエリアの得点が入る。しかし別の人がそのエリアに三本入れるとそこは「クローズ」。得点は入らなくなってしまう。そうやってアライブとクローズ、点を重ねて、相手を妨害して、最終的に点の多い人が勝ちだ。

 私とカナタで勝負して現在20、19、17、16とたった今18がカナタによってクローズされた。これで私のアライブは無くなり、カナタのアライブした15と両者手付かずのブルが残っている。得点は私が79、カナタが119で40点差。私が勝つ為にはまずカナタがアライブしている15を次の三投以内にクローズし、カナタがブルを外すのを祈るしかない。

「負けたら罰ゲームだからね」

 ダーツを投げようとする私の背後から、不穏な言葉が先に投げられた。無視だ無視。

 全神経を指先に集中させる。狙うは15のトリプル。そこに入れれば三倍で計算され、一投で15をクローズさせる事が出来る。息を殺し、投げた――

「むっ」

 意識したわけでは無いのだろう。アリスが声を漏らす。一投目が見事に15のトリプルに刺さったからだ。背後にいるカナタのしかめっ面が目に浮かぶ。残るは中心、ブルのみ。

「負けたら罰ゲーム、負けたら罰ゲーム、負けたら…」

うるさい。子供かお前は。

 結局、二投目と三投目を見事にブルに入れることに成功した。欲を言えばインブル――ブルのさらに中心。二倍計算。に入れたかったのだが、まあ良いだろう。

「ちっ、素直に死んでおけば良いものを…」

 ぶつくさ言いながらカナタが構えに入る。

「負けたら罰ゲーム、負けたら罰ゲーム、負けたら…」

「うるさい。ぶち殺すわよ」

 どの口がそれを言うのか。アリスをちらりと見やると、眉間に皺を寄せてカナタを凝視している。かなり集中して見学しているらしい。

 カナタの手からダーツが放たれる。小気味の良い音が鳴る。ダーツはインブルに刺さっていた。思わず舌打ちが出る。かなりまずい状況になった。これでカナタが残りの二投中、一投でもブルに入れてしまうとそこでゲームは強制終了、得点で負けている私の敗北となる。

「ハルカ、まずいことになったぞ」

「分かってる。外すのを祈るしかないな」

 私とアリスは互いに目線を合わさず、短い会話を交わした。目線は二人ともカナタに釘付けだ。そして二投目が放たれる。ブルから約1センチ右にずれた所にダーツは刺さった。ほっと息を吐く間も与えず、カナタは三投目の構えに入る。即座に三投目が放たれ――


「あっはっはっは!似合う!似合うよ弟君!」

「くくく…いや、ごめんハルカ君、うん、似合っているよ。ふふ…ふふふ」

 大爆笑する御堂さん。目を逸らして笑いを堪える(堪え切れてない)今野さん。三輪さんは下を向き、小刻みに震えて笑いを我慢している。

「くっくっく…いや中々どうして、悪くはないの。なあシノよ」

「み…皆さん、笑っては可哀想ですよ。笑っては…ふふっ」

 ええい、笑いたいだけ笑うがいい。佐野さんと弥勒さんも向こうで肩を叩きあいながら笑い転げている。

「良いザマねハルカ。でもあの御堂プロジェクトの社長様に直接メイクしてもらえるなんて貴重な体験じゃない」

「ああそうだな。世の女性からしたら羨ましいだろうよ」

 説明するまでもないだろうが、ダーツでカナタに負けた私は御堂さんにメイクを施してもらうという罰ゲームを行った。発案はカナタではなく、アリスだ。

「後でメイク落とし、あげますね」

 三輪さんの申し出はありがたいが、目を合わせるどころか顔も見ようとしてくれない。まだ彼女の体は震えている上に、笑い声が漏れている。

「でもメイクのお勉強になりました」

 御堂さんに向かってぺこりとシノさんが頭を下げた。

「あら、嬉しい。良かったら明日、シノちゃんにもしてあげるよ」

「ほ…本当ですか!」

「もちろん!シノちゃんみたいに元が良い子は触りたくなるんだよね」

「その発言は意味深じゃのう」

 女三人寄れば姦しい。早くも私のメイク顔には興味が無いようだ。鏡を見ていない為に自分の顔が今どうなっているのか分からないので、後でこっそり見てみようと思う。



 場所はカナタの部屋に移る。壁に掛けられた、いかにもアンティークでお高そうな時計を見上げると時刻は二十三時を少し過ぎていた。セブンスターの紫煙が薄くかかるこの部屋にいるのは私、カナタ、三輪さんだ。少し早いような気もしたが、大半の人間が酒に酔っていた為に解散の運びとなったのが約三十分前。ドアの外からは定期的に笑い声が聞こえくる。佐野さんの部屋に集まった弥勒さん、今野さん、佐野さん三人の声だ。アリスと御堂さんは早々と自室に引き上げ、シノさんは厨房で宴の後始末をしている。

「それで事件解決ってわけさ」

「へぇ、たったそれだけの情報で犯人が分かっちゃうんですね」

 ベッドに腰掛けた私は、カナタと向かい合って座っている三輪さんに横浜夫妻殺人事件の詳細を話していた。

「情報はね、一気に出てきてはくれないの」

 煙草を咥えたカナタが三輪さんにぽつりと言う。

「犯人は出来る限り、自分の情報を与えたがらない。けどそういう訳にもいかないの。警察の尋問、他人からの質問…それらに全く答えないという事は、例外はあれど自分が犯人だと言っている様なものだからね」

「確かにそうですね。犯行時刻に何をしていたか、みたいな質問に答えられない人はやっぱり怪しいなって思っちゃいます」

「ええ。そして何より大切なのは情報の選択」

「選択ですか?」

「望んでいる情報がすんなりと入ってくる、なんて事は在り得ないわ。欲しい物はノイズの中に紛れている」

「何となく分かります。普通の何でも無い会話の中に、さりげなく欲しかった情報があったりとか」

「やっぱりアナタは賢いわ、その通り。それに後からそれが重要な情報だと気付く事だってある」

「それも分かります。思い返したら「あれってもしかして」っていう事は普段でもありますよね」

「そうね。私は――」

 そこまで言うとカナタは煙草を大きく吸い、紫煙を吐きながら続ける。

「私は、推理はジグソーパズルだと思ってる」

「ジグソーパズル…」

「必要な情報、証拠、人間関係…それら諸々のピースは、もしかしたら絵を完成させるのに必要の無いピースかもしれないし、ピースが足りないかもしれない。完成されるべき絵は、もしかしたら無地の様な難解な物かもしれないし、すんなりと想像出来る物かもしれない。しかしどんなに難しそうに見えたって、ピースが足りないように見えたって…完成させるしかない。一つずつ、これは必要なピースかどうかを見極めて、然るべき場所にはめ込むしかないの」

 三輪さんも私も無言だった。カナタが自分自身の事――取り分け“自身の考え”を話す事は極めて少ない。どこか口先だけでその場をのらりくらりと(かわ)し、自身の深い部分に触れる様な質問に答える事は無く、決して“自分”を見せたがらない。

 だからこそ私は少し驚いた。カナタが話した「探偵論」は色気の無い物ではあるが、カナタの心の深い所にある考え、自分が良しとする理論に相違無いはずだ。カナタからすれば今の話は何でも無い事かもしれない。酒に酔っていた所為なのかもしれない。しかしそれでも、私はカナタの深い部分に触れられた様な気がして嬉しかった。

「なにニヤついてるのよハルカ」

 カナタはそう言うとグシャリと音を立て、煙草を灰皿に押し付けた。

「いや、何でも無いよ。随分と酒が回ってる様だなって」

「少し飲みすぎたわ。私らしくもない」

 私らしくないのは酒を飲みすぎた事か、探偵論を語った事か。それは聞かないでおこう。


 時刻は二十四時。掛け時計が一日の終わりと始まりを鐘の音で告げた。取り留めの無い話に花を咲かせていた私達三人は、その音を区切りとして解散し、明日の朝七時までに娯楽室に集まろうという話になった。食堂を後にする時に、明日の朝食は八時からだと伝えてくれたシノさんとダーツをする約束を私達は取り付けたのだ。朝食の準備に手間取るのでは、と懸念していたのだが今夜のうちに仕込みを終わらせてしまうらしく、喜んでシノさんは参加表明をしてくれた。明日の朝はこの三人とシノさんで、カナタによる簡単なダーツレッスンが行われる。今から楽しみだ。

 自室に戻った私はシャワーを浴びるべく浴室に向かう。本当は浴槽に熱い湯を貯めて、のんびりと浸かるのが好きなのだが…明日も早いし、手早く済ませてしまおうという訳である。そういえば佐野さんの部屋から聞こえていた笑い声の合唱も、いつの間にか聞こえなくなっていた。私達より酒が入っている大人達は、さすがに限界を迎えて自室に戻ったのだろう。

 長い一日だった。意味不明な招待状、不気味な館、正体不詳の館主、その館主に招かれた著名人達…日常から一気に非日常に連れて来られた様なこの感覚に、最初は眩暈を覚えそうになったが――こうやって一人で落ち着いてみると、良いものだ。それは冗談でも謙遜でもなく、本心から出た私の気持ちだった。

 シャワーを浴び終わり、ベッドに腰掛けた。酒の所為だろうか、途端に眠気が襲ってくる。無理も無いな、と思う。携帯のアラームを六時三十分にセットし、乾ききっていない髪もそのままにしてベッドに寝転んだ。瞼が重い。明日が楽しみだ。アリスの正体は一体何なんだ。シノさん可愛かったな。カナタはもう寝ただろうか。とり止めも無い考えが頭の中を高速で走っては、消えていく。睡眠という深い闇が私を引っ張る。私はその誘いに素直に身を任せた。



 音が聞こえる。それは規則的に聞こえるがよく聞くと不規則だ。調子の悪いそのリズムが半覚醒状態の私を苛立たせる。段々と目が覚めてくると、その音は何かを強く打ち付ける音だと分かった。枕元に置いた携帯で時刻を確認する。デジタル表記の時計は六時七分を私に知らせた。ふと「只事ではない」と頭の中で警鐘が鳴る。何が起きたんだ?音の出所は…そう遠くない様だ。恐らく部屋の扉を出たすぐそこで音は鳴っている。慌てて部屋を後にした。

「どうしました!」

「変なんです、何回呼んでも返事が無くて!」

 音の正体は、三輪さんが誰かの部屋の扉を叩く音だった。三輪さんの下に駆け寄り、扉に付けられた手書きのネームプレートを確認する。可愛らしい字で「弥勒シュウ様」と書かれていた。どうやらこの部屋は弥勒さんの部屋らしい。

「何があったんです」

 三輪さんは扉を叩く手を止めずに答えた。

「わ…私、早くに眼が覚めて、身支度をして娯楽室に先に向かおうとしたんです。そうしたら弥勒さんとすれ違って、酷く弥勒さん、顔色が悪くって、それで!」

「大丈夫です、落ち着いて!」

 何が「大丈夫」なのか分からない。双方がパニック状態だった。尚も三輪さんは扉を叩く手を止めない。

「弥勒さんが部屋に入って行ったんですけど、心配になってしまって…弥勒さんの部屋に行ってみたんです。でも、何回話しかけても反応が無くって、扉には鍵がかかっていて、もしかしたら部屋の中で倒れているのかもって思って、それで、それで…」

「分かった、分かりました。カナタを呼んできます!」

 こういう場合、先ずは館主のアリスかシノさんを呼ぶべきなのだろう。しかしこの時の私にそんな事を考える余裕は無かった。最も頼れる存在に、一刻も早くこの状況を知らせなければ――しかしその必要は無かった。カナタの部屋に行こうと踵を返した私のすぐ目の前にそいつは立っていたからだ。

「おはよう。朝から元気ね」

 欠伸を隠そうともせず、頭をぼりぼり掻きながら悠長に朝の挨拶をするカナタに、私は先程聞いた三輪さんからの経緯を話そうとする。が、それは片手で制された。

「聞いてたわよ。あれだけ大きな声で話していれば嫌でも聞こえるわ。ハルカ、シノさんの所に行って彼の部屋の鍵を」

 返事もせずに私は階下へと走った。食堂の扉を開け放ち、転がるようにして入場したが誰もいない。此処にいないとなると…キッチンか!無遠慮にキッチンへと続く扉を開くと朝食の準備をしていただろう、驚いた表情のシノさんの姿がそこにはあった。

「ど…どうなさいまし…いや、どうしたの?」

「シノさん、弥勒さんの部屋の鍵を貸してくれ!」

 彼女は呆気に取られている。当然だ。

「えっと…どうして?部屋の鍵は、昨日皆さんに渡したあの一本ずつしか――」

「マスターキーは!」

「それなら私の部屋にあるけど…本当にどうしたの?」

「持ってきてくれ!早く!大変なんだ!」

 どう大変なのかは分からない。しかし異常事態なのは確かだ。それを察したのかシノさんは一瞬で険しい表情になり、自室へと駆けて行く。「弥勒さんの部屋の前で待ってる」と、駆けていくシノさんの背中に向けて叫び、私もキッチンを飛び出した。

 三輪さんはまだ扉を叩き、弥勒さんの名前を呼んでいた。カナタは苛立たしそうに彼の部屋の扉を睨みつけている。

「おかえり。鍵は?」

「シノさんが今から持ってくる!弥勒さんは?」

「反応は無しね。扉にはしっかり鍵がかかっているし、簡単に破れそうな素材でもないわ」

 カナタがそう言い切った瞬間にシノさんの姿が階段から表れた。シノさんは息を切らして私達の下へと駆け寄り、カナタにマスターキーを渡す。それを受け取ったカナタは素早くキーを鍵穴に刺し込み、回した。ガチャリと重々しい音を立てて鍵が開く。カナタを先頭にして、私達は弥勒さんの部屋へと雪崩れ込んだ。いや、雪崩れ込もうとした。それが出来なかったのは、先陣を切ったカナタが部屋に入って二歩程で止まってしまったからだ。

「おい、どうした!」

 部屋の中はカナタの背中で隠れて見えない。そしてカナタは止まったまま静かに呟いた。

「全員、部屋から出なさい」

「何でだよ!」

「いいから早く出なさい!」

カナタはくるりと振り返り、私達に怒号を飛ばす。カナタが振り返るその刹那、部屋の中がちらりと見えた。これは…見間違えだろうか。


包丁を胸に刺し、血の海で仰向けに倒れている弥勒さんの姿が見えた。

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