ぼくのリュックネコ
ぼくのリュックは、ネコだ。リュックネコとよんでいる。
リュックネコに、ものを入れると、
「おい、あんまり入れんにゃよ」
とか、
「あー、おにゃかが、パンパンだにゃ」
とかいう。リュックネコは、生意気だ。
でも、どこに行くのも、いつもいっしょだ。
初めて、一人でおつかいに行った時も、リュックネコをせおって行く。
……ぼくは、道にまよった。
「おい、道、まちがえてるんじゃにゃいか」
リュックネコが、バカにする。
「うるさいな。口のチャックをとじるぞ」
「チャックをとじたら、にもつ入れてやんにゃいぞ」
リュックネコは、せなかでうるさい。でも、顔が見えないからいい。ふん……、なきそうだから。
「おい、にゃいてんのか? 鼻水たらした顔で歩くにゃよ」
「うるさい……、ないてなんかない」
でも、がまんした。
「……おい、はにゃたれにはわからないだろうけど、魚の匂いが、あっちからするんだけどにゃ」
リュックネコは生意気だけど、鼻がいい。ぼくは、魚屋を見つけて、おつかいが出来た。
リュックネコは、リュックだけどペットみたいだ。生意気だけど、どこに行くのも、いつもいっしょだ。
公園に遊びに行く時も、リュックネコをせおって行く。
……ぼくは、まだ一人ぼっちだった。
「おい、友だちいにゃいのか」
リュックネコが、バカにする。
「うるさい……、かんたんにつくれる」
「……にゃーにゃー。にゃーにゃー」
リュックネコは、生意気だけど、ネコだ。かわいい声でなく。遊んでいたこたちが集まってきて、ぼくに友だちができた。
「おい、遊ぶ時くらい、おれをおろせよにゃ」
生意気なやつ。
リュックネコは、本当に生意気だ。リュックネコとケンカした時、口のチャックをとじてやった。うるさくないし、これで、ただのリュックだ。これで、ママと楽しくお買い物出来る。
「そろそろ、新しいリュックほしくない?」
ママがいった。
ぼくはこまった。そりゃ、新しいリュックは、うれしいけどさ。
「まだ、いらないや」
おい、リュックネコ。お前は生意気だ。でも、ぼくのペットだ。
「ばかだにゃ。せっかく、ママが新しいリュック買ってくれるのに」
「こら、勝手にチャックをあけるな。リュックのくせに」
「でも、ペットだぞ。かわいがれよにゃ」
「うるさい。明日は、遠足だ。つれてってやる」
「あんまり、おやつ入れんにゃよ。重いと、歩きつかれるからにゃ」
リュックネコは、生意気だ。でも、嫌いじゃない。
それから、ぼくが、小学校に入った時、ランドセルをせおわなきゃいけなくなった。
もう、リュックネコは、せおえない。
でも、
「ちゃんと、勉強しろよ。友だちも、いっぱいつくれよにゃ」
「ふん。ひとりで、つくってみせるよ」
リュックネコは、生意気だ。
それでも、いつも、いすにかけてある。
おしまい