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浪速の激烈恋愛悲話

作者: 零居 椎名

特に会社でときめく出会いがないので。

ある日、友達に誘われて初めて合コンに行ってみた。

でも結局、いい人とは出会えなかったけど。

久しぶりにあの日のことを思い出した。


別に、何してほしいなんて思ってないけれど。

ただ何となく話してみたかったり、触れ合ってみたかったり。とにかく今の状態から開放されて、普通に冗談言って笑い会えるような、そんな関係を望んでいたのかもしれない。中3の夏。


皆が皆、片思いをしていた。

もちろん俺も。


すべてはあの日、一瞬にして、崩れていった。




中学最後の、宿泊レクの日




「久坂くんて好きな人おらへんの?」

それは夕食後の肝試しの順番待ちのときに、いきなり言われた一言。



「え、なんやねん、いきなり」


最初は、俺とペアで肝試しに行くことになった宮下という女子との会話から始まった。


「ええやん、ちょっと聞いてみただけやて。あ、別に偵察やあらへんでぇ。んで、おるん?それともおらへんの?」

「お、おるよ。・・・一応」



俺は全然言う気も無かったのにもかかわらず、宮下が顔をおもいっきり接近させてくるから、吃驚して。勢いでつい言ってしまった。

とたんに自分の顔が熱くなっているのがわかった。


「え!?久坂、好きな人おるんか!????」


まったく大きい声でしゃべってたわけでもないのに近くにいた友達の武が、俺たちの会話を聞き取っていたのか。話に割り込んできたのだ。


「なんでお前がはいってくんねん!」

「ええやん~、わいも混ぜてぇな~」


「そや、大勢のほうが楽しいで?恋話は!」


「せやけど・・・!」



「ほんならうちらも混ぜてくれへん??」



今度は固まって喋っていた女子のグループが数名はいってきた。


「なんやなんや、恋話かいな?」

「誰の~」


「久坂やって」


「な、違っ!」


「久坂くんの?!」

「てか、久坂くんて好きな人おったんや!」


「誰々??」


俺が返事する暇も与えないように、俺の除いて総勢8名の男女が勝手に盛り上がり始めた。

しかも、俺の好きな人の話で。


「ちょ、宮下!どうしてくれるん!?」


「ええやんええやん、中学最後の思い出やぁ」



「せやで久坂、ぶっちゃけたらええやん!」



「ほ、ほなら、おまんらの好きな奴も言いてみいや!

             言ったら俺のも言ったるわ!!」


「ええの?ほんまに言うで・・・・?」




「・・・・・・うち、うち、竹谷がすきやねん」

高城(女)→竹谷(男)


「おれ、さ・・・・・佐藤美弥ちゃん」

武(男)→佐藤(女)


なんと武がすきなのはその場に居る女子の中にいたのだ


「あたしは、・・・・・ご、ごめん。松本くんやねん」

佐藤(女)→松本(男)武、破れたり


「ま、まじかよ!」

「武ざんねーん」



「きえは?」

「うちは♪あら○の、に○みやクンが・・・!」

畑本(女)→手の届かない人


「私は久坂くん!」

斉藤(女)→久坂(俺だ!)

「え!?俺!」

「いやや、告白してもうたわ・・・・!」


「あたしは・・・・・・・、武くん・・・・なの」

桜井(女)→武(男)


「・・・・・あたしも言っちゃった。」



「ほ、ほんなら後は久坂と宮下さんだけやで!?」


「えー!宮下さんだれ???」



「えっと・・・・・な。」




「あ、言いずらいのー??じゃあ久坂!言え!」



「お、俺か?」

「お前や!」


「俺は・・・」



俺がすきなのは









「宮下・・・・です」

久坂(俺だっつの!)→宮下(女)



「え?」



「宮下・・・!」


「宮下は?!」





「だ。だれなん?」





「・・・・・・・・武くん」

宮下(女)→武(男)




「んな・・・・!」


俺は一瞬にして振られた。ていうか。




「全員片思い・・・」



その後も誰一人、この恋は叶うことなく。

俺たちは卒業してバラバラになってしまった。


ひと夏の悲しい出来事。

結構な猛暑だったけど、あの時は一瞬にして暑さが引けてしまった。


でも、宮下と2回以上会話が続いたことが。


俺はうれしかった。




END



















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