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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第5話『祈れ!苦しめ!朽ちて滅びろ!忘れられた月の秘密!!』
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最上階




「おっし。

 荒井、そっちを押してくれ!!!」


前田が壁の一部を押し込んで仕掛けを作動させる。

次のフロアに通じる扉を開く仕掛けだ。


荒井も別の場所の仕掛けを押しに向かう。


「良いか!?

 全員、変な所を踏むんじゃないぞ!!!」


前田は、そう言うがサッキュバスが遠慮なく襲ってくる。


「ちょ!?

 どうッ、すればッ、良いんですの!?」


徳川が必死に上半身と膝だけで攻撃を躱し、反撃を繰り出す。

足は、今立っている所から一歩も動いていない。

実に器用なものだ。


「ひゃっひゃっひゃっひゃ!!

 悪いけど、こっちは、空を飛ばせてもらうぜぇ!?」


夜桜が十太郎を宙に浮かせた。


「それ、皆を浮かべるのは無理!?」


聖羅が言った。

嘲笑うように夜桜が答える。


「ああ?

 出来るけどコントロールが難しいからなァ…。

 トマトみたいに、ブチっと潰しちまうかもしれねえぜ?」


その返答を聞いて聖羅たちは、青褪めて身震いした。


「次は、こうか!?」


チン。

ジャッコ……ジャッコ……ジャッコ……。


前田がまた別の壁の一部を押し込む。

すると何か機械の駆動音がする。

どうやら仕掛けが動き始めたようだ。


ジャッコ……ジャッコ……ジャッコ……。


「あい!?」


壁の一部を押し込んでいた荒井が目が飛び出す程、驚く。


一斉に壁からダーツが発射され始めた。

ダーツは、ギリギリ荒井に当たらない位置から撃ちだされている。


次々にサッキュバスにダーツが山のように刺さって倒れる。

不幸なことに前田クランのメンバーも何人かやられた。


「いいいッッ!!

 ちょ、ちょっと………!!

 前田君、これで合ってるのォォォ!?」


十太郎が宙に浮きながらダーツを魔法のバリアで弾く。

それこそ前田が本気で殴りかかっても問題ない鉄壁の障壁だ。


「合ってる!!!」


前田が胸を張って答えた。

事実、壁の一部が動き出し、階段が姿を見せる。


「入り口ができましたけど………!!

 このッ……ダーツはッ!?」


徳川がダーツの射線を避けるポーズで固まる。

あの苦しそうな姿勢を長時間保つのは、流石に一端の武芸者だ。


「待て!!!

 ………今!!!」


前田が叫ぶ。

まさに彼の合図と同時にダーツの発射が途切れた。


チン。

ジャッコ……ジャッコ……ジャッコ……。

ジャッコ……ジャッコ……ジャッコ……。


ダーツの発射は、途切れたがさっきの駆動音が再開される。

その音が意味するところは、一つだ。


「ダーツを再装填し始めたぞ!!!

 また発射が始まる前に走れぇ!!!」


前田がそう言って走り始める。

他の皆も一斉に駆け出した。


しかし荒井と前田が押し込んで(へこ)んでいた壁の一部が戻る。

それに連動して現れた階段も元の壁に戻り始めた。


「やばい!!

 ………閉じるッ!!」


十太郎が転びそうになりながら上の階に転がり込む。

他の皆もなんとか辛うじて階段を登り切った。




シュブ=ニグラスの黒い仔山羊。


このラヴクラフトが言及したおぞましい邪神の落し子は、比較的、軟弱な部類に入る。

ゾウのような巨大な怪物だが銃や爆弾で相手に出来るもの。

冒涜的な宇宙の知識、魔術に頼らず撃退できる相手である。


「メエ…。

 メエ…。」


ヒヅメのある丸太のような太い足で歩き回る。

身体は、まるで葉の無い黒い枯れ木のようだ。

幹のような身体から生える触手が粘液を垂らしつつ、動き続けていた。


「サッキュバスの次は、仔山羊か。」


黒神龍が溜め息をつく。


「あれは、骨が折れるぞ。」


「ジュチ!!!

 怖気づいたか!?」


前田が大声を出すので早速、仔山羊たちが気付いた。

隙を突く僅かなチャンスを失い一斉に敵が集まってくる。


「メエ………メエ………メエエ。」

「バアアアア………。」

「メエエエーッ。」


「ゲハハハハハハ!!!

 さあ、かかって来い!!!」


前田は、嬉しそうに巨大な戦斧を持ち上げて握り締める。

他の全員が呆れてかぶりを振った。


「ど、どうして隙を突くチャンスを捨ててしまいますの?」


徳川は、手で額を抑えた。

聖羅は、歯軋りして怒っている。


「うがあああ!!

 敵が集まって来るじゃんんん!!」


戦いそのものは、苦戦するが心配はない。

十太郎の回復は、十分に回っている。

彼自身が攻撃に参加する余裕すらまだあった。


実際、即死しない限り、十太郎の回復が間に合う。

まだまだこのメンバーは、余裕がある。




「それにしても十太郎は、頼もしいな!!!

 これだけダメージを気にせず冒険したのは、初めてだ!!!」


戦闘を終えると前田は、感心して十太郎を激賞した。

黒神龍も頷く。


「うむ。

 流石、冒険の先頭集団だ。」


「いやあ………。

 ただ回復して回ってるだけで。」


十太郎は、恥ずかしそうに照れ笑いする。

遅まきながら彼の実力が認められ始めていた。


ずっと岩戸クランでは、歩く回復アイテムでしかなかった。


もっとも当時は、回復が間に合わないことも多かった。

だがあれは、誰が回復役でも間に合わなかったろう。

まだまだ皆、戦闘に不慣れで突然死も日常茶飯事だった。


明確にやられた奴が悪い。

そういう時でも十太郎が謝るので彼の失敗にされる。


「しかしこの迷宮もここが終点だろう。」


黒神龍が扉を開ける。

他のメンバーは、武器を手に身構えた。


「ほう!!!」


扉が開かれると前田が大きな声で感嘆した。


恐らくゲルガ宮殿の最上階部分。

巨大なドーム状の部屋は、星が埋め尽くしていた。

黄金の星型の飾りが丸い天井から吊り下げられている。


恐らく王様、あるいは高貴な人物の部屋だったのだろう。

宝石と黄金をふんだんに費やした像が並ぶ。


「ジョーが居たら全部、持ち帰ろうとしたな。」


十太郎が苦笑いする。

朝田や聖羅たちも笑った。


「そうだね。

 アイツなら持ち帰ろうとするかな。」


「こんなん絶対、無理だってのに。

 まあ、アイツは、いうね。」


しかし前田が興味を引いたのは、黄金像ではない。

巨大な絵画だ。


「………見てみろ。」


小声で十太郎を呼ぶ。

220cmの前田の隣に169cmの十太郎が並ぶ。

身長差が50cmもあるが横幅の差も大きい。


「なに?」


十太郎が訊ねた。


前田が壁にかかった絵画に手を触れる。

それは、水面のように彼の掌に吸い付いて波打った。

まるで絵の向こう側に吸い込まれるように。


「これは、何かの仕掛けだ。」


「危なくない!?」


十太郎がマヌケな質問をすると前田が笑う。


「がっはっはっは!!!

 そりゃ安全とは、思えねえけどな!!!」


「左衛門左ァ。」


黒神龍が近づいて来た。


「腹ァ空いた。

 ………もう今日は、休まねえか。」


スマホで確認すると午後6時になっている。

黒神龍がいう通り、ここで休憩しても良いだろう。


「じゃあ、俺たちが見張るから。

 前田君たちが………。」


そう十太郎が言うと


「俺、左衛門左ァ!!!

 名前で呼べッ!!!」


前田がそう言って怒鳴った。


「さ、左衛門左…。」


「ようし!!!

 じゃあ、先に俺たちが休むとしよう!!!」


前田クランは、そう言ってその辺で休息に入った。

逆に西岡クランは、敵襲に備える。




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