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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第5話『祈れ!苦しめ!朽ちて滅びろ!忘れられた月の秘密!!』
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送迎




ゲルガ宮殿の探索は、骨が折れるモノだった。


戦力の拡充により、より奥を調べる事が出来るようになった。

だがそれは、不用意に迷宮へ迷い込んだに過ぎなかった。


踏み込んだ奥は、まさに言葉通りの迷宮。

十太郎たちを危険に満ちたダンジョンが迎える。

その広さ、複雑さは当初、思っていたものよりずっと厄介だった。


「こ、これって上に向かうの?

 下に進めばいいの?」


宇多田は、上に向かう階段と下に向かう階段を発見する。

ここは、地上1階のはずだが地下にも宮殿は、広がっているらしい。

しかも階段は、一ヶ所ではない。


「とりあえず一つ選んで進むしかない。」


十太郎の判断で一つの階段を選ぶ。

だがその選択は、予想外の事態を呼んだ。


「あれ?

 ここ最初のところじゃない!?」


清水が正面の扉を指差した。

サッキュバスの死体がそのまま残っている。

ここは、宮殿の正面玄関エントランスだ。


「………入口だ。」


十太郎も失望を隠さずに言葉を溢した。


流石にどんどん先に進めばクリアできるという代物ではない。

十太郎たちは、3時間かけて同じところに戻されたようだ。


「ダメだ!

 私らみたいな馬鹿じゃダメだ!!」


聖羅が頭を両手で抱えて叫んだ。

皆もすっかり疲れ果ててしまった。

ここまで戦闘とトラップで疲れ果てて、その苦労が無効ふいになったのだ。


従来型レガシーダンジョンとは、よく言ったものだ。

ここは、単純に上か下を目指す一方通行のダンジョンではない。

立体的に交差する複雑な迷路になっていた。


「しかも罠だらけ…。」


《ニンジャマスター》の朝田は、特に疲れが濃い。

道中、トラップの存在を探らねばならないからだ。


「小ダンジョンとは、違うみたいだね。

 ……これは、ややこしいな。」


十太郎もスマホを確認する。

一応、このゲルガ宮殿の地図も確認することが出来た。

しかし立体的な地図で頭に情報が入って来ない。


「うう……。

 分り辛いなあ。」


十太郎が泣き言を漏らす。

これを見て、パッと理解でいる奴が妬ましい。


「どっかに抜け道があるんじゃない?」


宇多田も自分のスマホを確かめる。

疲れ切った清水は、天井を眺めていた。


「ああ……。

 また戻ってくることになるのか。」


「とりあえず地図を埋めるしかない。」


聖羅がそう言って苛立った。


休んでいても何も始まらない。

だが勿論、闇雲に進んでもどうにもならないだろう。


「ジョーたちも頑張ってるんだ。

 ここは、俺たちも休まずに踏ん張ろう。」


十太郎がそう言って皆を歩かせる。

こうなったら歩き回るしかない。






結局、十太郎は、8日間を成果なく潰した。


「歩き疲れた。」


「全くだよ。

 付き合わされる私の身にもなれよ。」


夜桜は、物凄く苛立っていた。


こいつは、十太郎が寝ている間に聖羅たちとエッチでストレス解消したらしい。

それは、それは、凄く楽しんだようだ。

5人も楽しんだようなので何とも言えないが…。


「もうさ!

 私が壁という壁をブチ破って良いか?

 自由に移動できるようにしてやるよ!」


ベッドで夜桜が両足をバタバタさせながら言った。


「ああ………。

 うう………うん。」


確かにそうすれば半日で全てが明らかになるだろう。


「それは、本当に最終手段にしてね。

 ………俺が急にビームでダンジョンを穴だらけにするとか。

 皆になんて思われるか。」


十太郎は、夜桜の提案を聞く前の何倍も疲れたようにそう答えた。




翌朝。


「お前、西岡君?」


「ひいい!」


葉月が十太郎に飛びついた。

十太郎も泣き出しそうな顔をしている。


いつもの通学路にバイクの怖い兄ちゃんが現れた。


「は、はい。」


十太郎は、葉月を庇うように答える。

鳩巣がいないのは、不幸中の幸いだ。


しかし二人が怖がる若い男は、困ったように苦笑いする。


「はは、そんなビビんなって。

 田尻千奈って知ってるだろ?」


「はい。」


十太郎は、恐る恐る返事した。

できるだけ早く、相手を怒らせないように。


「あれ、俺の妹。」


「………お兄さん?」


十太郎は、カエルみたいに目を丸くして訊ねた。

田尻の兄は、頷いて答える。


「面倒な連中が西岡君に絡んでくるからガードしてくれって。」


そういって田尻の兄は、親指を背後に向ける。

十太郎と葉月がそっちを見ると大勢の男たちが姿を見せた。


「話すんだかヨ。」

「ったく、どこのボケだ。」

「ふぁあ、寝みィ。」


みんな怖そうな兄ちゃんだ。

十太郎と葉月は、雑巾でも絞ったみたいに肩幅を縮めて怖がった。


「うお!

 超胸でかいじゃん!!」


「ヤリてえ~!!」


「おい、チビ。

 どけよ、コラ!」


ガードするどころか怖い兄ちゃんたちが葉月を十太郎から引き離す。

しかし一番ヤバそうな田尻の兄貴が睨みを利かせた。


「遊んでんじゃねえ。

 この二人、ガッコ連れてくンだよ…!!」


「ちッ。」


葉月は、男たちから解放された。

そのまま小走りで十太郎に寄って必死にしがみ付く。


十太郎は、早速、スマホで田尻にメッセージを送る。


「あのっ!

 田尻さんのお兄さんってこっちに来てるんだけど!?」


「うん。

 うっざい連中が十太郎君を困らせてるンでしょ?

 ウチの馬鹿兄貴、スッゲ怖いから。」


と返信が返って来た。

他の女子からも兄弟を送ったという連絡が集まる。


「マジで十太郎に手ぇ出す奴、殺す。」


瑠偉だ。


「泣かす。」


月愛のメッセージには、怖いスタンプが着いていた。


「埋める。」


上杉のメッセージには、見なかったことにした方が良い写真が添付されていた。


皆の気持ちは、嬉しいが。

事前に相談もなくこんなボディガードを送り込まれて十太郎は、有難迷惑だった。


「十太郎先輩(センパ)ァァァイ。

 このバイクに乗って貰えますかァ!?」


中学生らしい少年がバイクのケツに乗るように言って来た。

色々、問題だ。

アウトだ。


「じゃあ、出発!」


怖い兄ちゃんたちのバイク集団は、十太郎と葉月を連れて出発した。

道行く人々は、悪魔でも見るように青褪めていた。




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