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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第5話『祈れ!苦しめ!朽ちて滅びろ!忘れられた月の秘密!!』
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翌朝。


「ぶえぶえ…。

 ………ぺッ。」


《コープスキング》のルンルは、念入りに歯を磨く。

腐った歯茎から歯がボロボロ抜け落ちる。

落ちたところからまた歯が生え変わる。


カッ………。

カッ………。

カッ………。


もう彼女の足元には、30本ぐらい鋭い牙が落ちている。

これも毎日のことだから良いが見ていてあまり気持ちのいい物ではない。


全ての歯が抜け変わると戦闘に耐える強力な牙が揃う。

磨かれた刃のような白い牙が並ぶとルンルは、歯ブラシを置いた。


寝室にあるベッドには、十太郎と朝田。

仰向けの朝田が肘を着いて身体を起こした。


「あのっ。」


朝田が十太郎に声をかける。


「リーダー。

 高坂さんとは、寝ないんですか?」


「天村は、他の子と一緒に寝ない………。

 っていうか寝ないね。」


と十太郎が答える。


シャディザールの安宿に泊った4人。

だが天村だけは、別の部屋をとった。


「あいつは、そんなガッツリとエッチしないんだよ。

 立ったまま、そこらへんで。

 こう、10分ぐらいで済ませちゃうんだ。」


「へえ…。」


朝田は、その光景を思い浮かべた。

するとまた欲しくなってしまう。


昨晩は、めくるめく快楽の渦に飲まれた。

十太郎が愛撫の嵐を起こして朝田の身体を隅々まで仕上げていった。


今、十太郎と一緒に寝転がっているだけで心臓が弾けそう。

これ以上は、おかしな気持ちになる。




3人は、装備を着けて準備する。

下のロビーで天村と合流した。


そこには、天村と別の顔が並んでいた。


「久しぶり。

 なんだか活躍してるみたいだね。」


藤田ふじた伊織いおり

岩戸クランの《レンジャー》だ。


「藤田さん。」


十太郎は、あまり驚かなかった。

何と無く予感があった。


「………追い返しても良かったが。」


天村がぼそりと言った。


じっと天村は、不快そうに藤田を睨んでいる。

言ってみれば十太郎を追い出した連中の一人だ。

とてもじゃないが古巣の仲間とは、呼べない。


「ちッ、いったいどんな脳の構造をしてやがるんだ?

 ああッ?」


十太郎は、平気だが夜桜は、許すつもりはなかった。

凶暴な顔を作り、刺すような視線で藤田を睨む。


だが藤田は、平気だ。

何も感じないように立っている。

岩戸や綾瀬、徳川すら身悶えして恐れる夜桜の圧にまるで感じ入らない。


「朝から元気だね。」


と微笑んだ。


「ああッ。

 どれだけ元気か思い知らせてやろうか?」


夜桜が十太郎の身体で藤田の顔を掴む。

それでも藤田は、平然としている。


「昨日は、女子3人と楽しんでまだシ足りないの?

 ふふっ。」


「………ちッ。」


興が削げたのか夜桜は、藤田から手を放す。

そこですぐに十太郎が主導権を取り戻した。


「うわあああ!

 ご、ごめん、急に顔掴んだりして!!」


慌てて十太郎が藤田に謝罪した。

それを見て天村たちは、やりきれない顔をしている。


「良いよ。」


藤田は、そう言って何もなかったように流した。

とんでもなく肝が据わっているのか。

あるいは………。


「………で?」


それだけ言って藤田は、十太郎を見ている。

十太郎は、ぽかんとしていた。


「え?

 何か用事があって来たんじゃないの?」


十太郎が訊き返した。

物憂げに藤田は、顔を伏せる。


「そうね。

 そうだったけど…。」


藤田は、そういって髪を手でくった。


「いいわ、もう。

 じゃあ、これからも元気でね。」


それだけ言って藤田は、帰ろうとする。

十太郎は、やや困ったように呼び止めた。


「……待って。」


藤田は、足を止める。

彼女に十太郎は、言った。


「………岩戸クランから抜けたいの?

 俺にそう訊いて欲しい?」


「ふふっ。」


藤田が微笑むとルンルが横槍を入れる。


「こんな奴、構っちゃダメ。

 十太郎を追い出した連中なんだから!」


天村もそれに加わる。


「失せろ!!」


結局、藤田は、追い出されてしまう。

十太郎は、納得していないがルンルも天村もこれで良いと思った。


明らかに藤田の様子は、仲間になりたそうには見えない。

十太郎に、そう期待させるだけのものだ。




「岩戸も落ちたな…。」


宿の朝食を片付けながら天村が言った。

よほど腹が立ったのだろう。


「女を寄越して十太郎に嫌がらせをするなんて。

 クズが。」


「岩戸は、そんなことしないんじゃないかな?」


十太郎は、なぜか岩戸を庇った。


それは、単に岩戸を擁護したというか。

そんな可能性を認めたくなかったのだろう。

あまりに不快だ。


「ふッ。」


天村は、首を左右に振るだけだった。

もともと多弁を弄さないが、そのまま黙り込む。


「それにしても悪食スキルがあれば結構、平気ですね。」


朝田がパクパクと料理を食べ進む。


《窖》の食べ物は、冒険者―――外から来た日本人のことだが

彼らが食べれば大変な事になる。


現地民の手から広がる菌や寄生虫が原因らしい。

しかし悪食スキルによって腐った食べ物や食中毒を防ぐことができる。


「あんまり調子に乗っちゃダメだよ。

 ………あの結城君でも前に青くなってぶっ倒れたんだから。」


十太郎は、先日のことを思い出した。


なんでもバリバリと食べていた結城でさえ倒れることもある。

一番、頑丈だと思っていた結城が倒れたのだ。

あの時は、全員が同じように倒れることを覚悟した。


「………馬鹿。」


天村は、そう言って首を振った。

ルンルも苦笑いした。


「冷蔵庫とかあればいいのに。

 そしたら食べ物を置いておけるじゃん。」


ルンルがそう言うと朝田が答えた。


「あー…。

 発電機とか持ち込んでるクランもいるね。」


「それ、俺も見た。」


十太郎だ。

彼は、食中毒が怖いので干し肉を食べていた。


「ジョーたち、上手くやってるかな。

 拠点が出来れば随分、楽になるもんね。」


十太郎がそう言うとルンルも頷く。


「うん。」


「正直、あっちの方が危険そうだし。

 ………心配だな。」


食べ終わった十太郎は、米神こめかみを擦った。

考えると不安しか浮かんでこない。


「そっちのことは、ジョーに任せればいい。

 お前は、こっちに集中しろ。」


天村は、厳しい声でそう忠告した。


実際、ゲルガ宮殿の探索は、何も進んでいないに等しい。

他所事などに割く頭は、ないはずだ。


「この人手じゃ足らないけど。

 とりあえずまだ大人数で来るべきじゃないと思う。」


十太郎がそう言った。

すぐに朝田も頷く。


「それは、そう。

 大人数で来たらトラップの面倒なんか見られないもん!」


これは、罠を調べる朝田にとって最大の案件だ。

仲間の命は、彼女が預かっている。


出来る限り入り口付近の罠を把握しておきたい。

出来ればトラップを調べる経験も欲しい。

そうすれば対応力が上がるはずだ。


「しばらくは私を鍛えて。」


朝田がそう言うと皆、同意した。




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