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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第5話『祈れ!苦しめ!朽ちて滅びろ!忘れられた月の秘密!!』
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十太郎たちは、一時、ゲルガ宮殿から退却することにした。


予想以上に敵が多い。

ダンジョンと聞いて細長い通路での戦闘を想定していた。

だが実際は、広々とした宮殿内でまとまった数の敵が襲ってくる。


「引き上げると簡単に言われても…。」


朝田がトラップを確認する。


当然だが避けて通ったトラップは、作動する。

行き同様の警戒を帰り道でも怠ることはできない。


「………ちょっと待っててくださいね。

 罠の順番を逆に思い出さないと。」


「慌てなくて良いよ。

 敵は、周りにいないみたいだし。」


十太郎が朝田に声をかける。

だが、その返事は、冷たい非難のものだった。


「ごめんなさい!!

 今、話しかけないで貰えます!?」


朝田に怒られて十太郎は、口をつぐむ。


天村とルンルは、辺りを警戒していた。

ジョーは、財宝に固執しているが二人は、特に関心がない。

ましてこんな危険な罠が隠れた魔宮で無茶はしない。


(本当にジョーがいなくて良かった…。)


十太郎は、改めてこの人選で良かったと思った。

ルンルも天村も朝田も余計なことに気を取られない。

この3人ならみだりに危険を冒さないだろう。


葉月や結城なら不注意でトラップを作動させかねない。

綺羅羅や月愛は、閉所での戦闘に向かなさそうだ。


(ダンジョンの探索は、向き不向きがあるな。)


朝田がトラップを調べる間、十太郎は、辺りを見渡す。


ここは、本当に王宮だったのだろうか?

確かに大広間ホールや豪華な調度品は、高貴な人々の空間を思わせた。


だが明らかに迷路のように入り組んだ構造は、生活に不向きそうだ。

所々で階段が途切れているし、トラップなど元々なかったハズだ。

サッキュバスは、空が飛べるから問題ないのだろうが…。


「魔法か何かで…。

 建物を変形させてるんじゃないか?」


十太郎が天村に訊いた。

だが天村は、クールだ。


「………そうだろうな。」


「うう…。

 お前は、何か…思わない?」


退屈なので十太郎が話を持ちかけるが天村は、関心を持たない。


「お互いに憶測でしか話が出来ない。

 そんなの時間の無駄だ。」


「うう…。」


にべもなく断わられて十太郎は、たじろいた。


これでも彼氏とか家族の前では、笑ったりするんだろうか?

天村が笑っているところを見たこともない。

エッチしてても気怠そうにしか見えない。


「おい、まだ来るぞ。」


急に天村が大剣を構え直した。


また暗闇からサッキュバスの兵士たちが飛び出して来た。

戦闘の再開だ。


ルンルは、最優先で矢や魔法を集中的に受け、バラバラになった。

あっという間の出来事だ。


「もーやだー!!」


黒大理石の床に転がるルンルの頭が泣き言を叫んだ。

だが、彼女の役割は、十分に果たしている。


「嘘だろッ。

 まだ出て来るのか!?」


十太郎も天村に続き、魔法で迎撃する。


「待って!!」


朝田が叫んだ。


「まだトラップの位置を思い出せないの!

 ここで戦わずに前の通路まで戻って!!」


天村が戦いながら答える。


「そんな余裕はない。」


どうやらそのようだ。

十太郎も天村も一歩も動かず、懸命に反撃する。

こうなったら動かずに戦い続けるしかない。


「キツイな…!」


こっちは、敵から逃げることも敵を追うこともできない。

逆に敵は、自由に攻撃し、回復して体勢を立て直してくる。

一方的な戦闘だった。


「天村!!

 自動回復オートリジェネをかける!!

 ちょっとトラップを踏んでも我慢してくれるか!?」


十太郎が言うが速いが天村は、返事もせずに飛び出した。


天村の身体を眩い光が包む。

傷が徐々に癒え、トラップや敵の攻撃を弾き返した。


「よしっ。

 ……上手く防御付与プロテクトも効いてる。」


十太郎は、一人で小さく喜んだ。

あまり自信の無い魔法を試したのだ。


被術者の身を守る結界エンチャント魔法。

だが仲間の身体で実験する気になれなかった。


術の効果を試したいから攻撃を受けて来い。

そんなことを十太郎は、頼めなかった。

だが今は、その機会に丁度いい。


「オイ。

 これでトラップを無視して通れないか?」


天村が振り返った。

十太郎は、首を左右に振って答える。


「一度に一人しかかけられない!」


その答えは、天村にも予想できていたようだ。

あまり落胆の色は見られなかった。

といってもやはり残念そうに見えたが。


「………そんなに都合よく行かない。」


天村は、小さく呟いた。

大剣でサッキュバスを袈裟斬りにする。


「行こう!

 こっちだよ!!」


朝田が皆を先導する。

十太郎たちも朝田に続いた。


振り返ると更なる援軍が姿を見せている。

十太郎たちは、必死に逃げていった。






「なんか予想より戦闘が激しい。」


十太郎は、皆を回復させながら言った。


命辛々、ようやく魔宮を脱出できたのだ。

ルンル以外は、ボロボロだ。

戦闘とトラップと迷路で身も心も疲弊していた。


ちょっと4人では、手が回らない。

特に朝田は、まだ《ニンジャ》Lv9だ。

ようやく今の戦闘でレベルアップした。


色々、工夫するより新しい敵と戦う方が手っ取り早い。

やはり経験値減衰システムは、先に進ませるためのものだ。


「閉所での戦闘を想定して弓を持って来なかったのは、失敗。

 ……一度、ジョーたちと合流するかな。」


「ふん。」


天村は、十太郎の肩に肘を置く。

冷ややかな目線が十太郎の横顔を睨んだ。


「お前、男だろ?」


「ええっ?」


驚いて困った顔をする十太郎に天村は、言った。


「そんなすぐに逃げ帰るな。」


(言えてるぜ。)


夜桜もその意見には、賛同した。

だが賛成できない部分もある。


(だが今のメンツじゃ無理だろうな。

 朝田って女子を鍛えればどうこうできる感じじゃない。

 4人じゃ回転不足だ。)


(………お前が出る?)


十太郎がそう言うと夜桜は、せせら笑った。


(ひゃひゃひゃ…。

 私を出すのは、魔王みたいなどうしようもない敵が相手の時だけだ。

 私の力なら幾らでも貸してやる。


 だが私が戦うのは、私しか勝てない敵だけだ。

 それは、テメーの基準じゃねえ。

 言葉通り私以外には、手に負えねえ敵だ。)


暇潰しで結構、戦ってるくせに。

と十太郎は、思ったがそれも仕方ないだろう。


彼女にとって最高の全力で戦えないのは、ストレスだ。

しかし同時に無意味に能力を解放するのも退屈なのだろう。


十太郎の中は、丁度いいハンデ戦といったところだった。

ほぼ無敵でやり飽きたゲームを多少、味付けする程度には。




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