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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第3話「出て行け!西岡十太郎!!」
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異業種交流




タナスル。


街の発展規模は、カズラクとあまり変わらない。

特に何かある訳でもない。

目的は、ここに来ることだけだったのでしょうがないが。


「とりま位置ロケーション報酬ボーナス、ご馳走様。」


高橋がそう言って街の境界線を飛び越える。


「近くで見ると壁とか堀が凄い。」


高本が街の防備を見渡して驚いた。


おそらく食人族やオークへの備えだろう。

確かにカズラクやシャディザールより城壁は、高く厚い。

堀も深く、幾重にも張り巡らされている。


「とりあえず疲れた。

 どっかで休みたいなー。」


「門番さーん!」


高橋と高本が見張り台に向かって声をかける。

しばらくして兵士が顔を出した。


「冒険者か。

 ………こんな時間に食人族の縄張りを抜けて来たのか?」


「開けて貰えませんかー?」


高橋が手を振る。

兵士は、鐘を鳴らし、城門に待機する仲間に合図した。

やがて大きな門の下に着いている扉が開いた。


「はいよー!」


兵士が三人を中に招く。

急いで十太郎たちは、扉を潜った。


「あれ?」


松明の近くで気が付いた。

門番の兵士は、なんと日本人。

つまり十太郎たちと同じ異世界に来た高校生だった。


「……あれ?

 ひょっとして高校生じゃない?」


十太郎が声をかけると女子が振り返って答える。


「ああ…っと。

 ええ、まあ。」


恥ずかしそうに女子は、頭を手で掻いて苦笑いする。


「ここなら安全だし…。

 冒険者よりずっと性に合ってて…。」


確かに同じ高校生に見つかるのは、ドロップアウトみたいで嫌なんだろうう。

女子は、かなり嫌そうに十太郎たちに見られたことで顔を赤くした。


「そ、そうなんだ。」


お互いに気まずい。


こういう奴もいるんだ。

十太郎たちは、何も見なかったことにして、この場を離れた。


気分転換に異世界でちょっとブラブラしても良い。

そんな動機で気軽に来てる奴もいるってことだ。

誰もが岩戸や細川みたいにやってる訳じゃない。


十太郎たちは、酒場に向かう。

なんと24時間営業で実に有難い。


「あれ?」


なんとその店で踊ってる踊り子も高校生だ。

店番をしているのも高校生らしい。


「あの…なんか食べたいんだけど。」


十太郎が声をかけるとスポーツ刈りの男子が、にっこり笑って応対する。


「ウチは、こういうのやってます。」


メニューには、カレーとかハンバーグとか。

日本で見慣れた料理が並んでいる。


こっちでは、山羊だの豚だのの肉を焼いただけだ。

とにかく保存を考えた食べ物しか出て来ない。

例の寄生虫とかを考えると乾燥させた物じゃないと怖いから他に選択肢もない。


「これって、どうやってるの?」


「もちろん、向こうから材料を持って来て。

 冷蔵庫でちゃんと保存してますから安心ですよ。」


店に発電機と冷蔵庫をセッティング。

そこだけ21世紀の文明の利器が並んでいた。

普通の飲食店と何も変わらない。


冒険者向けの商売なので何人かで24時間営業。

今、仲間が奥で寝ているという。


「はあー。」


「自分は、料理人の学校に通ってて。

 冒険なんかよりこっちが良いと思ったんです!」


「なんでペシュカネルやカズラクじゃなくここを?」


高橋が質問するとスポーツ刈りは、額を手で掻いた。


「雇ってくれないんです。

 そら、余所者ですからね。

 冒険者は、金を落してくれるけど店を開くとなるとライバルだ。」


なるほど。

客じゃなく商売敵になるから追い出されたってことか。


確かに急に日本で普通に食べられる物が欲しくなった時に良い店だ。

しかしできればカズラクやシャディザールでやって欲しいな。

そう十太郎たちは、思った。


「なんとかしたらシャディザールで働けないかな、コックさん?」


そう高本が言い出した。


「そーだね。

 綾瀬に相談してみる?」


「ちょっと二人とも。

 ハッキリ約束できないことを言わない。」


十太郎は、そう言って二人を止めた。

いい加減な優しさが一番、相手を傷つける。

生半可な希望を持たせるのは、惨い。


「……いろいろ困ってるところ悪いけど。」


「はい?」


「《プリースト》を欲しがってるクランを知らないかな?

 俺も今、追放されたばっかなんだ。」


十太郎がそう言うとスポーツ刈りは、目をパチクリさせる。


「………え?

 そっちの女子、ふたりは?」


「ちょっと事情があって。

 同じクランじゃないけど友達だから。」


といって高橋が手を横に振る。

これもスポーツ刈りの男子には、見えない話だ。


「………友達なら入れてあげれば?」


「友達だからって同じチームには、入れないよ。

 野球チームは、全員ともだちがやってる訳じゃないでしょ?

 逆にチームが違っても友達は、友達なんだし。」


と高本がいってカレーを口に放り込む。


味方でもライバル。

友達は、どこまでいっても友達。


それがアスリートの思考回路なんだろう。

仲間は、勝つための集団であって仲良しじゃなくても関係ない。


「はあ~。

 なんかそれ、疲れません?」


とスポーツ刈りは、目を丸くしていった。


「疲れるけどッ。

 私らは、運動部だからそれ、当たり前なの。」


高本は、そう言ってスポーツ刈りを睨んだ。

そんなの余計なお世話ということだろう。


カレー三人前で金貨20オンス。

発電機とかを差し引いても商売としては、破格の利益だな。


「またどうぞ~!」


スポーツ刈りは、そう言って三人を送り出した。


「とりあえずまともな物食べれたし。

 寝ようかーっ!」


高橋がそういって背伸びした。

もう全身がバラバラになるぐらい今日は、走って戦って落ちた。




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