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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第5話『祈れ!苦しめ!朽ちて滅びろ!忘れられた月の秘密!!』
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試掘




ジョーたちは、夕暮れ時に目的地に到着した。

以前に探索し終わった都市の廃墟が広がっている。


元は、それなりに栄えた都市だったのだろう。

神殿や市場、居住地の跡が広がる。

大通りの幅は、盛時の賑わいを今に語っていた。


「………明日は、6日目か。」


ジョーは、スマホで確認する。


今回の冒険は、残り2日程度。

場合によっては、伸びることもあるが不確かだ。


他の皆がダラダラと準備する中、門脇だけが早速、縦穴を掘り始めていた。


「はい、土ー。」


魔法の袋が飛んで来た。

軽く30kgぐらいになっている。

仲間が代わりに新しい空の袋を落した。


「どうー?」


葉月が門脇に具合を訊ねる。


「バカ。

 そんなすぐに鉱石とか出て来ないよ。」


と門脇の呆れた声が戻ってくる。


《ディガー》たちは、最初の地下50mまでの深さを第一層と呼んでいる。


別名”ゴブリン層”。

言葉通りゴブリンの巣穴が広がっている深さだ。

それ以上は、土を外に捨てる労力から連中も深く掘るのを止める。


小ダンジョンもこの辺りに埋没している。

地表に入り口が露出していない場合、《ディガー》以外が到達することはない。

そのため未盗掘の小ダンジョンは、狙い目だ。


《ディガー》には、専用の地図アプリがCC(クラスチェンジ)と同時に与えられる。

通常の平面の地図ではなく地下にも対応した3D地図だ。


これは、建物を建てる時にも活用される。

応用すれば地下にも迷宮を作ることもできるだろう。


しかし今回は、鉱脈の有無を調べる試掘である。

門脇は、まっすぐひたすら掘り進めた。


目指すは、第二層、別名”鉱石ノード層”。

鉱石が集中している場所(ノード)という意味。

深さ50m以上だ。


これは、海抜の数字であり相当深くまで掘る必要がある。


《ディガー》も《ベアラー》も持久(VIT)が驚異的に伸びる。

休むことなくツルハシを振るい、黙々と地下に進んでいく。

それこそ驚異的なスピードをいつまでも堅持する。


その代わり、他の能力値は、犠牲になる。

従って一度、就くと戦闘職に転向するのは絶望的と言えた。


「穴を広げて!

 私たちも地下道に入って戦えるようにね!!」


ジョーが地上を指揮する。


「土を運び出せー!」

「どんどん運べー!」

「はい、土ー!」


土をどんどん魔法の袋で運び出す。

反対の方では、掘り出した土を盛り土にしていった。


「どんどん来るねー。」

「これは、これで土地を形成するのに使えるか。」

「使えるけど…。」


と土の山を前にして西岡クランのメンバーは、疲れたように話し合った。


《ディガー》は、戦闘職の百倍ぐらい速く、しかも休まず動ける。

自分たちが手を貸すのがバカらしく思えるほどに。


確かに彼らに仕事を押し付けたくなる気持ちが分かって来た。

それを彼らが嫌がるのも当然だろう。


「ごめーん!」


葉月が手を振って人手を探す。


「スライムが湧いて来たから戦闘メンバー集合ぉー!」


ゴブリンの巣穴が切れると入れ替わりにスライムの群棲地帯に入る。

ここからは、《ディガー》を援護しつつ試作作業を続ける。


「スライム?」


「はあ。

 なんかようやく普通のファンタジーっぽい敵来たわ。」


「そんな普通の敵もでるんだ、ここ。」


といって穴に入ったのは、《ヴァルキリー》の秋上あきがみ聖羅せいらだ。

女性専用クラスの魔法戦士で頭に羽飾りを着けている。


「瑠偉は、ここで土を運び出して!」


ジョーがライフルをチェックしながらいう。

瑠偉は、カトラスを鞘に戻した。


「一応、《セーラー》は、《ナイト》に並ぶ能力値上昇なんだけど?」


「地上も安全じゃない。

 あんたは、《セーラー》仲間を指揮し易いだろ?

 私は、他の連中を集めて地下をやる。」


「OK!」


瑠偉は、仲間たちに目配せした。

他の5人も顔を見合わせ、頷き合う。


ジョーは、綺羅羅と月愛にも声をかける。


「綺羅羅、月愛っ!

 あんたらは、ここで《セーラー》たちを護衛して!

 ハイエナが集まって来るだろうからねっ!!」


「了解。」

「ほいよ。」


二人とも奪ったばかりの装備に入れ替わっている。

月愛は、新しい大盾とハルバードを構えた。


「私らも残って良いですか?」


そう言って前に出てきたのは、新入りの《ホプリタイ》2名。

岸川きしかわ瀬奈せな中村なかむらセシル。


「えーっと。

 ごめん、名前が…。」


ジョーも名前が出て来ない。

二人とも手を振って答えた。


「岸川です。」


「中村です。」


「ごめん。」


ジョーが重ねて謝った。

岸川も中村も苦笑いする。


「仕方ないよー。

 《ホプリタイ》って地味だし。」


「地上の守りに残って良いですか?

 穴は、円盾ホプロン持ち込むには、狭いし。」


「おいっ。」


ここで瑠偉がジョーに耳打ちする。


「あの二人を許可したら他の連中まで穴に入りたくないって言い出さない?」


「………う~ん。

 でも《ホプリタイ》に穴に入ってとは言い難い。」


二人は、少し頭を悩ませた。

結局、そういう連中が出たら出たで強制するしかないと判断した。


「ほらっ!

 行くぞー!!」


ジョーは、大半のメンバーを連れて穴に潜り込む。

残されたメンバーは、瑠偉が指揮して周囲に配置した。


「獣に気を付けて火を絶やさないで!

 土を運び出すのも手を止めちゃダメだからねっ!!」




しかし元気だったのも3時間ほどのことだった。


「うう……。

 まだぁ?」


瑠偉は、すっかり疲れていた。

他の《セーラー》たちも肩で息をしている。


辺りは、敵の死体だらけ。

長引く戦闘の結果を物語っていた。


ハイエナの代わりにゴブリンと食人種グールが交互に襲ってくる。

しかも身体が大きい異形の喰屍鬼だ。

流石にシャディザールより西に進むと敵も強力になってくる。


「敵襲ーっ!!」


元気に動き回ているのは、《カタフラクト》の月愛、岸川と中村の《ホプリタイ》2名だ。

こういう場面は、持久(VIT)の勝負だ。


「愛瑠ー!!

 愛瑠をこっちに回して!!」


莉理が叫んだ。


《プリースト》の愛瑠が一人で全員を回復しに回っている。

地上と地下を行ったり来たりだ。


「やっぱ十太郎と回復の回り方が違う。」


清水がついに座り込む。

カトラスを杖にして項垂れた。


「やっぱり綺羅羅も《W(ホワイト)ナイト》になれば良かったよぉ!」


月愛が大盾でゴブリンを潰した後に振り返って叫ぶ。

綺羅羅も戦斧で敵を蹂躙しながら答えた。


「だって!

 十太郎!

 めっちゃ!

 回復魔法の!

 ペース速いしッ!!」


「ごめん。

 死にそう…。」


莉理は、大の字になってゴブリンと喰屍鬼の上に倒れた。

疲労のためか青い顔をしている。


「死ぬなら7日目まで持ち堪えろよ。

 ………ぐ、まだ4時間あるぞ。」


宇多田がスマホで時間を確認する。

まだ夜の8時になったばかりだ。

夜明けまで10時間ある。


「うえー。」


井上がゴブリンの首を刎ね飛ばしながら泣き言を喚いた。


「私、このままじゃ気が狂いそうだよー。

 ああ、もう!!」


といって今、仕留めたゴブリンの死体を蹴る。

蹴る勢いも弱い。


「……これだけやって資源ノードが見つからなかったら。

 最悪じゃん。」


岸川が中村と顔を合わせる。


「今は、そんなことッ!

 …考えッ!

 …ないッ!!」


中村は、黙々と槍の穂先で食人種を仕留めていく。

今できるのは、それだけだ。


「立てーっ!

 何としても持ち堪えろッ!!」


リーダーを任された瑠偉が意気軒昂にカトラスを振るう。

途切れない敵の攻勢に勇ましく挑んだ。




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