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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第5話『祈れ!苦しめ!朽ちて滅びろ!忘れられた月の秘密!!』
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死体漁り




ややあってジョーたちは、撃沈したガレオン船に向かって降下する。


サバンナの真ん中に墜落した敵船の隣に着陸する。

近くで見ると西岡クランのガレオン船よりかなり大きい。

船足が速かったのも船の構造の違いだろうか。


「ううっ。」


血気盛んに飛び出したが皆、顔をしかめた。


「うえ。」

「げえ。」

「きっも…。」


流石に墜落したばかりのガレオン船は、血の匂いで充満している。

早くもオオトカゲやハイエナがガレオン船に群がっていた。

食い散らかされた内臓からは、悪臭が広がっている。


「まるで生理用品の墓場だな…。」


綺羅羅が吐き気を抑えていった。

想像した葉月が本当にゲロっている。


「うえっ。」


「追い払え!」


ジョーが号令をかけた。

皆、いやいや武器を取る。


西岡クランの冒険者たちは、まず武器を手に獣たちを追い出した。

船の中の哀れな犠牲者たちは、肉食獣の昼飯になり下がっている。


「サイアク…。」


船内に入った《セーラー》の渡辺が顔を思わず背ける。


「オイオイ…。

 よそ見するなっ。」


瑠偉が仲間たちの先頭に立ってカトラスで戦う。


小1時間ほど戦闘が繰り広げられる。

流石にこの程度の敵には、危なげない。




「……ドン・キホーテの着てる奴だ。」


結城が甲冑を引っ張り出して来て、そう言った。


ギザギザの襟巻、反り返った鉄兜、胴鎧に陣羽織。

スペイン風の軍装を死者たちは、身に着けていた。


「とりあえず血を洗えば使えるな。」


乳鎧ブレストアーマー見っけ!!

 ………サイズが合うかな?」


Breast-armor(乳鎧)あるいは、Boob-armor(おっぱい鎧)

これらのファンタジー装備は、Historically inaccurate

───現実の歴史に則していない。

あるいは、Unreal like

───非現実的という指摘がある。


鎧は、敵の攻撃から身を守る物で乳鎧の着用は、悲惨な結果をもたらすだろう。


しかしアメリカ、イリノイ州シカゴの中世武器店KnightsEdgeナイトエッジ

この会社は、おおまかに以下のように話す。


15世紀のヘンリー7世のような資金力のある人によってコッドピースを着けた鎧が作製された。


───コッドピースとは、男性器を大きく見せるアクセサリーだ。

鎧だけでなくこの滑稽な虚飾は、日用の服装ファッションにも取り入れられた。


これらは、快適性と男性器の保護に役立つが乗馬の妨げになる。

それに比べるとおっぱいの鎧は、戦士の行動を妨げない。

その点では、まるで意味のない道具とは言い難い。


───ただし女戦士は、動き易い革製のハーネスがReal like(現実的)ともしている。


おっぱいの鎧もコッドピースも実物より豪華に見せるVanity item。

───”見た目装備”である。

つまり鎧が必ずしも実用性に則した物でないことは、十分に歴史に則している。


さて、とにかく。

西岡クランの女子たちは、死体を次々に運び出し、物色する。

まるで服屋に来たような気軽さだ。


「これ、可愛い!」

「これ、好き!」

「これは、キライ!」


「う~ん。

 ブラはあるけど。

 Boob socks armorは、なかなか見つらないな。」


Boob socksとは、乳袋のこと。

乳房を包み込むような凹凸(おうとつ)のある甲冑のことだ。


「ちんちん鎧だ!」


コッドピースのことだろう。

戦士の死体を引っ繰り返した女子たちが大はしゃぎしている。


「ちんちん鎧じゃん、はははは!」

「ちんちんに顔が着いてるー!」

「これ十太郎にあげようっ!」


慣れとは怖い物だ。


皆、死体から装備をはがし、自分たちの船に持ち帰る。

裸で寝ている両親を足で跨ぐような気分だ。

何事も見て見ぬふりすれば世は、事も無し。


「これは、シェリー酒かな?」


別の場所では、綺羅羅が樽を開けて中の液体を確かめる。

豊潤で心が浮きたつような酒の良い香りがする。


「う~ん…。

 良い匂いだ。」


月愛が樽を覗き込むようにして酒香を確かめた。

完全に酒を知っている人間の態度だ。


「アリス先生に見られる前にしまっとけよ。」


一斉に酒樽を寝かせるとゴロゴロと転がして持ち去る。

ざっと20ボッテある。


この《窖》では、酒の方が水より安全だ。

というより《窖》で安全なのは、酒だけだろう。

寄生虫も食中毒もないからな。


「全員、顔を破られてる……。」


瑠偉がしゃがみこんで呟いた。

流石に死体を正視できるのは、図抜けた度胸だ。


ハイエナが食べない鎧は、無傷だが船内の生物は、食い荒らされている。

本来、肉食獣は、内臓を好んで食べる。

それが甲冑に阻まれた為に顔や腿が酷くやられている。


「結局、普通の人間っぽいな。」


と瑠偉は、残念そうだ。


指は、5本。

裸にしても人間と変わらない。

身長も人間に近い。


アソコの作りも男女共に人間と同じ。

少なくとも男女の概念が存在するらしい。


「ちっさ。」


「十太郎が異常なだけだって。」


「くっさ。」


「はははは、止めなよォ。」


肌は、白いのや黒いのが半々で並ぶ。

日焼けなのか人種なのか判然としない。

ただ青とか緑とか人間離れした色の死体はない。


「ただの人間か。」


つまらなそうに瑠偉が両手を伸ばした。

隣にいる《セーラー》の井上も同調する。


「まあ、怪物じゃなくて良かったな。

 ちょっとガッカリしたけどさ。」


蓋を開ければこんなものだ。


「………。」


だが少なくともシャディザールの人間は、空飛ぶガレオン船を持っていない。

アグィーッパスの連中も三段櫂船を使うがガレオン船ではない。

こいつらがもっと遠くから来た勢力だという事は、疑いようない。


そう瑠偉は、考えた。


満載された金貨や宝石、火薬、砲弾、食料を次々に移し替える。

ハルバードとカトラスだけでも当分、使い捨てても困らない分、手に入った。




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