場所取り
翌朝。
「で、だ。」
グループリーダーになったジョーがスマホを睨む。
「ここが……有力な候補地だと思う。」
シャディザールの南、50km。
そこには、以前の探索で見つけた滅びた廃墟跡がある。
「なるほど前に人間が住んでた場所に拠点を作る訳ね。」
瑠偉が顎を指で支えながら頷く。
既に《セーラー》5人仲間に引き連れている彼女は、早くも派閥を為していた。
その発言力は、クラン内で大きなものとなっている。
「えーっと……。
ふん、はあ…ににんがー…。
位置的には、歩いてまる1日、船なら3時間の距離か。」
瑠偉が距離から所要時間を計算する。
「いやー。
今の私たちなら50kmぐらい日没までに歩きつけるんじゃない?」
と葉月。
その発言に瑠偉は、苦笑いした。
「いやいや、それはおかしいって。」
平坦でもないサバンナの曠野。
直線で50kmでも実際には、もっと歩くことになるだろう。
その上、武器や装備も背負っての移動である。
50kmというのは、かなり厳しい距離だ。
葉月の言う通りに行けるかどうか確証はない。
しかし今は、そんな話題で盛り上がる時じゃない。
ジョーは、話を進める。
「あまりシャディザールの市域に近いと反発があるかも知れないから。
それに今後、他のクランも拠点をあちこちに作るかも知れない。」
ジョーがそう言うと皆、目の色が少し変わる。
気乗りしない作業だが他と勝負になるなら真剣みが変わって来た。
「ったく。
PKヘヴンの話は、終わったってのに。
今度は、場所の取り合いになるかも知れないって訳か。」
と《セーラー》の宇多田。
「………うっ。」
ビキニアーマーからこぼれそうな巨乳に結城の目が釘付けになる。
というかどこを見ても乳、乳、乳、尻、尻、尻、ヘソ、ヘソ、ヘソだ。
宇多田は、染色した金髪に合わせて金メッキの防具を着けていた。
他の《セーラー》5人も皆、バンダナ、胸当て、ぴっちり肌に張り付いたズボン。
これがいかにも挑戦的かつ煽情的だった。
サバンナが暑いということもあるが皆、露出が多い。
結城は、生唾を飲んで股間を抑えた。
「うう…。」
今朝も十太郎は、24人とキスしてハグして別れた。
そのままルンル、朝田、天村の3人と共にシャディザールの古い地区に向かう。
天村は、あまりベタベタしない。
もっとも人前でしないだけでちゃんと十太郎とヤることはしてるようだ。
(このクランは、身体に悪いよ~。)
結城は、虚しさで胸いっぱいになった。
「じゃあ、行動を起こそう。
廃墟跡に移動して他より先に拠点を作っちゃわないと。」
そう葉月が言った。
しかし異論が出る。
「待って。
まだその場所が良い条件がそろってるか分からない。」
《ディガー》の門脇だ。
実際に作業するのは、彼女だ。
彼女の意見がもっとも重視されるべきだろう。
ジョーも瑠偉も互いに牽制するように互いを見た。
「場所を変えた方が良いの?」
ジョーが門脇に訊いた。
「そういうことじゃないけど…。」
門脇は、首を横に振る。
「あんまり最初から期待しない方が良いよ?
掘ってみないと鉄鉱とか鉱石があるかも分からない。
……あるいは、望み薄かも。」
急に不安な話を門脇は、この場に降らせた。
一同、急に腰が重くなる。
「既に条件が整っていないから破棄された。
そういう可能性が高い訳だな?」
ジョーもそう言って口元を手で覆った。
確かに破棄された都市ということは、何か問題があったのかも知れない。
「細川クランもそうだったけど。
1回目で完璧な結果は、無理なんじゃない?
幾つか砦を作ることになると思う。」
と《プリースト》の愛瑠。
「まあ、最初から上手くできるとは、限らないか。」
綺羅羅も腕組みして首を傾げた。
「じゃあ、下見する?」
「それが良いか。」
「それじゃまず…。」
「ああ~っ!
そんなこと言ってたら進まないじゃん!!」
結城が顔を赤くしながら怒鳴った。
もちろん、怒ってる訳ではなく気恥ずかしいからだ。
「他のクランが鉱石の出そうな場所に拠点作ったらブン捕れば良いんだよ!
とにかくまずそのためにも早く動けば良いだけじゃん!!」
女子に囲まれて大人しくしていたが本来、彼はこういう性格だ。
むしろ良く自重していたものだ。
やや乱暴な方針だが、これは概ね受け入れられた。
しかし2、3の修正は必要だ。
「そうだな。
結城の言う通り、まず動くことから事態を動かそう。」
ジョーが皆を見渡しながら言った。
「しかし細川クランには、事前に相談した方が良いと考え直した。
拠点を奪い合うような事態にならないとも限らないしね。
それに綾瀬と徳川にも声をかけた方が良い。
岩戸が敵ならまったく問題じゃないがこの2つは、強敵だし。
何かあった時には、この2つのクランは、頼りになる。」
ジョーがそう言うと北村先生が頷く。
「そうね。
その方が現実的かも。」
「じゃあ、この位置まで船を廻すぞ。
おっし、皆、作業に入ってー。」
瑠偉は、そう言って仲間たちを配置に就かせる。
ガレオン船は、まず綾瀬クランがいる場所を目指した。
歩きなら1日だが船なら行って戻っても変わらない。




