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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第4話『集まれ!紳士同盟!!』
59/213

綾瀬・徳川




同日。

紳士同盟の各クランは、各地で戦闘状態に入っていた。


PKヘヴンは、十太郎の攻撃を受ける前にペレ=アッコンを離れた。

それぞれの集団は、別個に奇襲を仕掛けたのだ。


だが当然、西岡クランを襲撃するために派遣された一隊は、攻撃目標を見失う(ロスト)

十太郎たちを探してシャディザール周辺を彷徨っていた。


「クソ!

 西岡クランは、逃がしちまったのか!?」


「探さないと俺たちが血祭りだ!!

 クソ、クソ、クソ!!」


彼らは、逆に攻撃される危険性を感じながらサバンナを索敵。

そのまま3日間、空振りした。






綾瀬クランは、冒険初日に会敵、戦闘状態に入った。


「あれは、PKヘヴンのガレー船か。」


綾瀬が空を見上げる。

三段櫂船が一隻、綾瀬たちを見つけて近づいてくる。


「やろう!

 勝負を挑まれて逃げる訳にはいかないよね!?」


高本は、鼻息荒く好戦的な姿勢を見せる。

だが他のメンバーも負けず劣らずだ。


「初日から来るとは、連中も焦ったな。」


青柳が弓の具合を確かめながら鋭い視線を走らせた。


もし戦うにしても5日目以降を選ぶ方が良い。

今日負ければこの冒険は、まるまる何もせず終わることになる。


だがPKヘヴンは、先手を打たれることを恐れた。

実際、十太郎が入れ違いでペレ=アッコンを壊滅させたことは、致命的打撃になった。


彼らは、まさか拠点を知る者が敵に着くとまで考えなかったらしい。

常に攻撃する側に立ち、その優位が揺らぐことのないものと過信したためだ。


ガレー船は、地上に降下。

綾瀬クランの前に50名弱の冒険者たちが姿を見せる。


「ぎゃひっ、ぎゃひひ…!」

「うへへ…。」

「皆殺しだー!!」


見るからに品性下劣な顏ぶれが並ぶ。

これから戦いが始まるなどと微塵も考えていない。

数で押せば容易に敵が算を乱すと高を括っている。


「隊列を組め。」


綾瀬たちは、慣れた様子で馬上に移る。

楔形陣形を作ると敵に突撃した。


「うわ!?」

「あああ!!」

「ぎゃっ!!」


まるで訓練のような冷めた戦いだった。

PKヘヴン側は、容易く返り討ちに合う。


「ふっ。」


その中に不敵に微笑む男子生徒があった。

見ればなかなかの体格である。


「綾瀬愛直!!」


男子生徒が叫んだ。

綾瀬が馬首を返し、相手に向かう。


「俺は、男子柔道無差別級、一ノ瀬(いちのせ)八五郎はちごろう!!

 貴様を倒す者!!」


一ノ瀬は、名乗りを上げて馬をかけさせた。

手に槍をしっかりと握り、綾瀬に向けて突進する。


(ふっふっふ…。

 何がボクシング・ヘビー級王者だ。

 日本の高校生にヘビー級なんか他にいねえだろ、バーカ!


 貴様がプロになってからは知らんが…。

 どうせたいした実力なんかありゃしねえだろ?


 たいていのアホは、その肩書にビビるだろうが。

 この俺は、違う!


 ここで貴様を料理して俺は、名を上げるぞ。

 俺こそがこれからの《いど》の顔となるのだッ!!)


「甘いぞ、ボーイ!」


綾瀬は、一ノ瀬を瞬殺した。

勝負の前の雑念は、彼にはお見通しだ。


「フレッシュフォール!」


綾瀬クランの《ダークマージ》Lv20による魔法攻撃。

巨大な生肉が空から敵に降り注ぐ。


「なんだ、これ?」

「気持ち悪ィィィ…!」


「なんだ、これ…!?

 うわあああ…っ!」


落ちて来た生肉がPKヘヴンの連中にへばりつく。

肉塊は、敵の血肉を吸い上げ、地面に血の川ができた。


「やべえ!

 この肉が血を吸ってるんだ!!」


「離れろ!

 離れろォ!!」


「け、剣で腕ごと斬り落とせ!!

 後から回復魔ふぉッ!?」


大混乱の敵を綾瀬たち、騎士系(クラス)の楔形陣形が襲う。

剣と槍で突かれ、蹄の餌食となった。


「逃げろぉ!!」


「ダメだ、この肉が足に引っ付いて…。

 は、走れないよォ…!!」


動けなくなった敵が憐れみを乞う表情で綾瀬に叫ぶ。

口々に勝手なことを叫んだ。


「降伏します!」

「もうやめてー!」

「なんでも、なんでもいう事聞くからぁ!」


無論、こんな五月蠅さばえに耳を貸す綾瀬ではない。


「はっはっはっはっはっはっは!!!

 冗談を言っては、いけないよ、ボーイズ&ガールズ!!!」


無慈悲なる殺戮の突撃が開始された。

もはや逃げる事すらできない敵が殲滅される。


「ぎゃーっ!!」






冒険2日目。

徳川クランは、PKヘヴンの派遣した奇襲部隊と衝突した。


伯等あなたたちわたくしの相手になる資格はございませんことよ。」


徳川は、剣を杖にしてそう言った。

他のクランメンバーもニヤニヤと笑っているだけだ。


「お前ら、今まで何して来たんだ?」


徳川クランの前には、殺戮の曠野が広がっていた。

繰り出されたのは、ライオンの大群だ。

《ビーストテイマー》の操る猛獣軍団がPKヘヴンの奇襲部隊を八つ裂きにする。


「ライオンは、全力なら時速70kmぐらい出せるんだ。

 逃げ切れるものじゃねえんだぞ?」


そう言って徳川の隣の男子生徒が嘲笑う。

眼前では、情けを知らぬ獅子の群れが高校生を襲う。


「こ、こんなの卑怯だし!」

「正々堂々と戦えー!」

「この世襲クソ人げ…ぎゃあああ!!」


「重ねてお伝えしますわ。

 伯等ごとき卑しい心根の人間と予共(わたくしたち)は、戦いませんの。

 せいぜい獣の相手でもなさって頂戴。」


徳川は、そう言って侮蔑の表情を作る。

ただただ惨めだ。




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