ペレ=アッコン
シャディザールからペシュカネルまで300km。
これは、東京から新潟や岐阜に届く距離だ。
空飛ぶガレオン船は、最大船速で25km出せる。
といっても常にこの船速を保つには、操船技術が足らない。
「どう!?」
新入りたちが船のアレをナニしている。
PKヘヴンやその従属クランには、操船に慣れた冒険者が多い。
「ヨットとは、違う物ですね。」
「本物のガレオン船を触れるなんて。
この《窖》、最高ぉー!!」
などと盛り上がっている。
「………ひょっとしてメッチャ、お金持ち高校の子?」
十太郎が月愛と綺羅羅に耳打ちする。
「うん。」
「《セーラー》は、《ナイト》の船版みたいな物だから…。
CCと同時に操船スキル取得できるし。
まあ、あの子らは、操船にガチで慣れてるからね。」
と綺羅羅が十太郎の隣で話す。
《セーラー》というか海賊みたいな恰好をしている。
黒いレザーパンツにカトラス、拳銃を吊っていた。
新入りのウチ、6人がこの《セーラー》だ。
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《!》Topics
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西岡十太郎
クラス:『ハイプリースト』 Lv16
ジョー・マクフェアノール
クラス:『ガンマスター』 Lv22
結城壮馬
クラス:『ウォーリア』 Lv20
倉橋葉月
クラス:『ウォーリア』 Lv18
北村アリス
クラス:『ダークマージ』 Lv20
牧野ルンル
クラス:『キングコープス』 Lv24
高坂天村
クラス:『ソードマスター』 Lv20
浦島月愛
クラス:『カタフラクト』 Lv16
晴海綺羅羅
クラス:『ブラックナイト』 Lv20
田尻千奈
クラス:『ビーストテイマー』 Lv9
(11)
クラス:『ヴァルキリー』 Lv12
(12)
クラス:『フェニックスライダー』 Lv11
(13)
クラス:『ニンジャ』 Lv8
(14)
クラス:『プリースト』 Lv9
(15)
クラス:『アーチャー』 Lv9
(16)
クラス:『マージ』 Lv9
(17)
クラス:『ホプリタイ』 Lv9
(18)
クラス:『ホプリタイ』 Lv9
(19)
クラス:『スラールマネージャー』 Lv24
(20)
クラス:『ディガー』 Lv8
(21)
クラス:『アルケミスト』 Lv10
(22)
クラス:『セーラー』 Lv10
(23)
クラス:『セーラー』 Lv9
(24)
クラス:『セーラー』 Lv9
(25)
クラス:『セーラー』 Lv9
(26)
クラス:『セーラー』 Lv9
(27)
クラス:『セーラー』 Lv8
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上を向いて綺羅羅が叫んだ。
「ペレ=アッコンまでどれぐらいで着けるー!?」
「予定は、16時間後!!
砂嵐の勝手次第だけどー!!」
と操船作業中の《セーラー》の子が答えた。
時間が分かるだけでも飛躍的に快適になった。
これまでは、スマホで船の向きを変えるだけだった。
船足は、完全に風任せだ。
空飛ぶ船は、横転しないのが救いだったろう。
これが海の上のガレオン船なら十太郎たちは、海の藻屑だ。
「えーっと。
船長と航海士を任命した方が良いんじゃないかな?」
十太郎が猿みたいに飛び回る《セーラー》を見ながら言った。
「船長は、私だー!」
葉月が飛び跳ねる。
「俺も船長になりてぇー!」
結城が楽しそうに喚いた。
「じゃあ、二人が船長です。
俺、眠いから…。」
十太郎は、そう言って甲板で横になる。
さっきまでギャルたちにたっぷりと絞られて疲れ切っていた。
ペレ=アッコン。
最初に高校生たちが流れ着く難破船海岸。
あの大きく突き出した湾でペシュカネルの反対側にある都市だ。
古代ギリシア、ローマ風の建造物がありシャディザールとは、また一風違う土地柄だ。
しかし住んでいるのは、ギリシアやローマと違うノルマン系の特徴を持つ金髪碧眼の民族。
彼らが長衣を着、ギリシア風に髪を結っていると妙な違和感がある。
だがすぐそんな事も気にならなくなるだろう。
問題は、彼らが喰屍鬼の神バステトを信仰していることだ。
それもシャディザール周辺の住民と違い彼らは、本式のカニバリズム文明だ。
生贄を捧げるとか土地の周りの食人種に餌を恵んでやる程度で済まない。
これらの民族・文化を持つ諸都市をアグィーッパスと呼ぶ。
彼らの軍隊もギリシア風の重装歩兵と空飛ぶ三段櫂船を持つ。
しかしその軍隊は、もっぱら略奪を目的に派遣され、生きた住民を連れ去る。
彼らは、その行為を狩猟航海と呼んだ。
しかし戦闘では、自分たちの血が流れる。
そこでPKヘヴンと手を結んだ。
彼らは死なないし、死んでも関係ない。
獲物の高校生も何度でも生き返って来る尽きぬ御馳走だ。
何より現代人は、肥え太っていて、その肉は甘い。
アグィーッパスの市民たちは、高校生が大好きになっていた。
「………とてもじゃないけど。
街に入らない方が良いね…うっぷ!」
結城は、吐き気を抑える。
葉月もジョーも青くなった。
彼らは今、庭園の中に潜んで様子を伺っていた。
ペレ=アッコンは、街中が美術館のように美しい。
見事な石像に溢れるほど街頭に配され、景観は、優美で気品に満ちている。
象牙と黄金、貴石で飾られた街は、隅々まで手抜かりない。
住民も女は、みなヴィーナスのよう。
男は、みなアドニスのようだ。
だが彼らは、吸血鬼のように血を啜り、悪魔のように人肉を食らう。
生きたまま高校生が次々に食い殺されて行った。
「ぎゃあああ!!」
今、結城たちの目の前で男子生徒が奥に引っ張られて行く。
PKヘヴンと思しい連中が報酬を受け取る場面だ。
「良うやった。」
ギリシア神話の神のような美男が金貨を渡す。
その表情は、異常な快楽への耽溺が張り付いている。
それを盗み見ていた西岡クランのメンバーたちは、吐き気を抑えて引き下がる。
茂みの奥に新入りの《ニンジャ》が待機していた。
「……これがPKヘヴンの資金源です。
まあ、お察しします。」
朝田美里。
PKヘヴンにやられた彼女の仲間は、二度と《窖》に戻ってこなかった。
あるいは、おかしくなって彼ら自身PKを繰り返すように人が変わった。
今は、一人きりになって西岡クランに転属したという訳だ。
「ぬう…。
この街ごと、PKヘヴンを根絶やしにしよう。」
結城が正義の怒りに燃えている。
拳を握り締めて言った。




