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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第4話『集まれ!紳士同盟!!』
53/213

仰天の刻




十太郎のガレオン船は、戦場に到着した。

前回の冒険に引き続き、既に前田クランが戦闘を始めている。


「あの馬鹿…。」


久我がそう呟くと船から飛び降りる。

彼女のクランのメンバーがそれに続いた。


「ええ!?」


葉月が船の手摺からその様子を見て驚いた。

他にも大勢の人間がビックリする。


「……《ニンジャ》を経由して跳躍系スキルを入れてるな。」


岩戸が呟いた。


彼は、あまり機動力を重視していなかったが今後の冒険では、見直すべきだろう。

戦いの基本は、機動マニューバだ。


「あれは、なんだ!?」


十太郎が北を睨む。

真っ黒な塊がこっちに突進してきていた。


「ゴブリンだ!

 これまで見たこともない大群のゴブリンだ!!」


ジョーが双眼鏡を手に叫んだ。


ざっと10万匹のゴブリン。

冒険者たちのむくろの匂いに誘われて穴という穴から這い出して来た。

このシャディザール周辺地域は、奴らの巨大な巣なのだ。


きっと地下には、何千万というゴブリンが巣くっている。

彼らは、日も当たらぬ地下で幾日も僅かな食べ物で絶え凌ぐのだろう。


「うあああ…。

 これじゃ戦争どころじゃないぞ…。」


岩戸の隣で宗像が青くなっていった。


実際、その通りだった。

戦闘は、紳士同盟とPKヘヴンの戦いというよりゴブリンと人間の合戦に様変わりする。


「十太郎!!」


葉月と結城が血塗れで逃げ帰って来る。

十太郎は、急いで二人を回復した。


「どこもかしこもゴブリンだらけだ!!

 連中、穴から出てくるから陣形も糞もねえ…。

 前後左右、敵味方の見境なく攻撃してきやがる!!」


背負って来た葉月を地面に寝かせた結城がいった。

喘ぐように息をするがだいぶ、辛そうだ。


「ブリザードストーム!!」


北村先生がノリノリで攻撃魔法を放つ。

この人は、戦いがストレス発散になっているらしい。

戦いの中で肌の色艶まで輝いて見えた。


「アイスゥゥゥー!

 ジャベリンンン!!」


「先生、ペース配分考えて下さいね…。」


隣でジョーが心配そうに忠告する。

北村先生のMP欠乏からこっちに負担が一気に来るのが毎度のパターンだ。


「自分でこれでも死なないのが不思議になっちゃうよね?」


コープスキング(骸の王)》にCC(クラスチェンジ)したルンルは、一層、再生能力がアップした。

なんだか可哀想になって来る。


「ちょっと綺羅羅ァ、頭拾って頂戴。」


「え?

 ああ、ほら。」


綺羅羅が落ちているルンルの頭を拾って首に押し付ける。

瞬く間に傷が塞がった。


「西岡クランの騎士!

 ちょっと突撃に参加して貰えないか!?」


綾瀬が《ナイト》系(クラス)を集めて騎兵隊を編成した。

各クランから騎士たちが集まると壮観である。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

《!》Topics

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

─────────────────────────────────────

綾瀬愛直(ちかなお)

クラス:『ホワイトナイト』 Lv24


高橋たかはしつばさ

クラス:『ホワイトナイト』 Lv20


大暮おおぐれちか

クラス:『ホワイトナイト』 Lv21


相田あいだハルト

クラス:『ホワイトナイト』 Lv19


高本たかもと文華あやか

クラス:『ホワイトナイト』 Lv20


綾瀬クラン(8)

クラス:『ブラックナイト』 Lv19


岩戸いわと泰臣やすおみ

クラス:『ホワイトナイト』 Lv19


晴海はるみ綺羅羅キララ

クラス:『ブラックナイト』 Lv20

─────────────────────────────────────

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「え?

 ………私ィ?」


綺羅羅が自分を指差す。

岩戸がニッコリ笑って白い歯を見せる。


「はっはっはっはっはっはっは!!

 他に居ないだろ、ガール!!」


「……十太郎ぉー?」


綺羅羅が十太郎の方に振り返った。

十太郎は今、葉月と結城の治療を済ませたところだ。


「行っておいで。

 綾瀬君に離されないように!!」


「よし!

 着いて来い、フィロストラトス!!」


綾瀬は、綺羅羅が馬上に移るとすぐに馬を走らせ始めた。

騎士たちの突撃でゴブリンの大群が蹴散らされ、真っ赤な血の川ができる。

それすらあっという間に新手に塞がれて行った。


「キリがないな。」


ジョーが銃弾を気にする。

こいつは、ケチなので銃弾をいつもケチるのだ。


「ぎゃひ!

 やっちまえ~!!」


「ふぉおおお!」


急にゴブリンではない声が聞こえてくる。

PKヘヴンの連中だ。


「女の子をブチ殺すのは、最高に気分が良いぜェェェッ!!」


といった傍からそいつは、葉月に返り討ちになった。


他の連中も似たような実力だ。

おそらくLv6~10前後の連中だろう。

単なる捨て駒だ。


「見てて気分が悪いな…。」


結城が敵の死体から剣を引き抜いて言った。


トロール(嫌がらせ)しか頭にないからね。」


葉月も血塗れの手甲ガントレットを握り締める。


「油断しないで。

 これでもゴブリンよりは、強いし。」


葉月が結城に注意する。

いつも最初に死ぬのが結城だ。


「うう…。

 葉月ちゃんの方が後から来たのに先輩みたいに言う。」


「撤退!

 撤退です!!」


そう言って現れたのは、天龍寺。

この合戦の指揮官が自ら使い番を勤めていた。


まあ、彼女は、戦力的に頼りにならないらしいし。

この大混戦では、自ら各クランを回るしかない。


「何かあったの!?」


十太郎が駆け寄る。

天龍寺は、端的に答えた。


「徳川龍外、逃亡!」


「え!?」


十太郎が目を大きく開け、カエルみたいに口を開いた。

他のメンバーも同様に仰天する。


「我が徳川は、逃げることで勝ち運開けし家柄!!

 逃げることは、徳川の人間にとって恥ではありませんことよ!!」


などと叫ぶや否や、戦場から離脱したという。


恐らく前田左衛門左、綾瀬愛直と徳川龍外の三人が戦力の柱。

その一人が逃げた以上、これは退却するしかない。




「ぬううう!!!

 退くか、荒井!?」


前田も戦場から離れ始めた。


「こんなところでゴブリンとやりあっても意味はない!!!

 さっさとぬるぞ!!!」


「おうよ!!」


前田クランは、どしどしと走りながら十太郎の所に急ぐ。

そこにガレオン船が停泊している。


「おお!!!

 西岡君、この船の世話になるぞ!!!」


前田は、手を振って挨拶する。

足でゴブリンをミカンみたいに踏み拉き、ガレオン船の真下に駆けてくる。


「乗れ!!!

 乗れぇ!!!」


前田は、まずクランの仲間に縄梯子を譲る。

自らは、穴から這い出てくるゴブリンの撃退を続けた。


「おい、幾ら何でも死ぬって!」


十太郎が気にかけた。

しかし前田は、平然としている。


「どうせ俺の装備は、死んで落しても大したことは、ありゃあせんのだ!!!

 げはははははは!!!」


そう答える間にもゴブリンの大群は、彼に飛び掛かって来る。




一方、綾瀬は、騎馬隊のまま走り続けていた。


馬は、魔法で出し入れができる。

しかし流石に敵中でのたのたとやれることではない。


「とりあえず距離を取るしかない!」


「があ!?」


そう言っている間に岩戸がやられた。

やはり馬に慣れていない。


「誰だ!?

 ゴブリンか、敵か!?」


綾瀬が一番後ろを走る高橋に訊く。


「敵!!

 PKヘヴンよ!!」


一度、振り返った高橋が答えた。


敵も騎馬を繰り出して来た。

ボウガンや投げ槍で綾瀬たちを攻撃する。


「………あれは、手練れだな。」


綾瀬が嬉しそうに口の端を曲げた。


この追手は、狂ったように口の端を緩めた廃人どもではない。

しっかりとレベリングをし、訓練を繰り返した冒険者だ。


「ごお!?」


突然、綾瀬たちを追っていた騎士が一人、倒された。

誰かが草むらから飛び出したのだ。


「おーほほほほ!!

 我が徳川は、殿しんがりを務めて武功いさおしを為した家柄!!

 容易に味方の背を追わせは致しませんことよ!!」


そう言って徳川が剣を振りかざした。


「遅い!!」


綾瀬がそれだけ言って敵を振り切った。

逆に徳川は、敵中に孤立する。


「下郎!

 お前たちは、古い時代劇をご覧になったことがなくって?」


徳川は、不敵に笑う。

対する敵は、10人だ。


「ご覧になったらなんだ?」


PKヘヴンの《ホワイトナイト》が嘲笑する。

他の騎士たちも肩をゆすって笑う。


なおも徳川は、勇敢に敵に問うた。


「このような時、将軍がなんという台詞を吐くか。

 ………ご存知?」


「知らんわ、馬鹿。」


「成敗。」




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