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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第4話『集まれ!紳士同盟!!』
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紳士同盟のお報せ




シャディザール。

ここは、岩戸クランが拠点としているホテル。


「………ちッ。

 ぜんぜん探索が進まないな。」


岩戸は、苛立っていた。

既に6人で次の街まで進むのは、困難だった。


細川が指摘するように、ここより西は、水源が少な過ぎる。

探索は、《ベアラー》が居た方が効率的に進む。

砦などの中間地点も必要だ。


「細川クランと協力するのは、どう?」


そう言ったのは、横山よこやま掃部かもん

十太郎の代わりに入った《プリースト》だ。


中野ら、他のメンバーも内心、そう思っている。

しかし岩戸に恐れながらと申し出ることはない。


これは、畏怖でも信頼でもない。

怠惰だ。


嫌われるのも考えるのも岩戸にやって貰えば良い。

細川が言ったように支配の本質は、奉仕だ。

やりたいという奴に押し付ければいい。


「あいつらは、PKヘヴンと戦争するつもりなんだぜ?

 そんな余計なゴタゴタに巻き込まれて堪るか。」


そう言って岩戸は、不愉快そうに手を振った。


岩戸が人数を増やさないのには、理由がある。

人数が多くなれば統制を取るのが難しくなる。

組織内政だけでリーダーは、クタクタになるだろう。


その点、細川は、政治能力がある。

5000人の巨大クランを統率できるのは、彼の能力によるものだ。

同じことは、誰にでもできることではない。


もちろん岩戸クランも何処も真似できない。

岩戸の頭脳があってここまで何処よりも早く先に進んでいる。


サバンナに点々とする水源や避難場所、地形。

これらを複合してルートを作るのは、言葉で言うほど簡単じゃない。

岩戸もそう言った意味では、十分に有能だ。


ただリーダーが独裁を奮うには、少数の方がやり易い。

岩戸は、自分勝手ができる人数しかメンバーを置かない。

しかし人数が少なければできることも少なくなる。


これが岩戸クランの強みであると同時に彼らの限界でもある訳だ。


「《ベアラー》を2人ぐらい入れるか?」


岩戸は、スマホを手に呟いた。


奴隷みたいに言い成りにできる奴を探すか?

いや、そんな馬鹿じゃ足を引っ張るだろう。


だが徳川や細川みたいに本物の奴隷を買ってくるのは、気分が悪い。


「………糞ッ!!」


岩戸は、額に手を着いて俯いた。


「岩戸君。」


向こうから歩いてくる宗像が声をかけた。

彼の隣には、綺羅羅が着いている。


「なんだ?

 ………誰だい、その子は。」


岩戸が綺羅羅を嫌そうな目で見る。

ギャルっぽい派手な見た目で岩戸の嫌いそうな外見だ。


「ジョークランから来ました。

 いえ、西岡君のハーレムクランとでも言いましょうか。」


綺羅羅がそう言って岩戸の前に座る。

豊満な乳房を腕で寄せ、眩しく白い脚を組むと膝の上に手を置いた。


「西岡………?」


岩戸が手で口を抑えて考えた。


名前を聞いても、スッと出て来ないらしい。

この場の全員が凍り付いた。


だから綺羅羅が答えを与えた。


「西岡十太郎です。

 先日、このクランから追放された。」


「………。」


「………《プリースト》です。」


岩戸にとって十太郎は、二人目の《プリースト》というラベルで記憶に挟まっていた。

完全に個性を払拭された記号。


「ああ……。

 で、君の用件は?」


まったく気にせず岩戸は、本題に入ろうとする。


彼にとって追い出した人間は、1人や2人ではない。

ほとんど留意するに足らない事件である。


綺羅羅は、胸を張り、使者として威厳を持って伝達する。


「細川クランと手を結んで欲しいんです。

 すでに綾瀬、徳川、天龍寺、久我、前田が同盟に参加しました。」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

《!》Topics

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

─────────────────────────────────────

綾瀬あやせ愛直ちかなお

クラス:『ホワイトナイト』 Lv20


徳川龍外

クラス:『ソードマスター』 Lv21


西岡十太郎

クラス:『ハイプリースト』 Lv16


天龍寺てんりゅうじ織部正おりべ

クラス:『ホワイトナイト』 Lv15


久我くが白亜はくあ

クラス:『サムライ』 Lv18


前田まえだ左衛門左さえもんのすけ

クラス:『バーサーカー』 Lv12

─────────────────────────────────────

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



いずれもシャディザールまで進んだクラン。

入っていない阿尻あじり露蓮ろれんなどもいるが…。


別れて数日後には、ここに戻ってくる。

十太郎のしぶとさに岩戸以外の全員が目を見張った。

しかし不思議なこととは、思わない。


そもそも自分たちと遜色ない活躍を見せている。

ただ岩戸に是正を求めるようなことはしなかった。


「……戦争ごっこならお前たちだけでやれ。

 俺たちを巻き込むな。」


岩戸は、突っぱねた。

当然、この展開は、予想の範囲内だ。


綺羅羅も予定通りに話を進める。


「細川クランは、補給や砂嵐の避難所を提供すると言っています。

 各地に砦を準備しているのは、ご存知でしょう?」


「馬鹿か?」


岩戸は、不愉快そうに首を左右に振る。


「ここで殺し合っても次の日には、再配置リスポーンするんだぞ?

 戦争しても終わりがないじゃないか。」


それは、この戦争の問題を正確に指摘していた。

《スケロスの窖》で殺し合っても何の解決にもならない。


「PKヘヴンに圧力を加えることが目的でもあります。

 数を揃えて相手を牽制するためにも…。」


「本当に救いようがないな。

 死なないのに牽制になると思うか?」


呆れたように岩戸は、手を振って言った。

しかし綺羅羅は、静かに話し続けている。


「敵の拠点を叩きます。

 資金や装備を奪います。

 完全に壊滅させるのです。」


この言葉に岩戸は、少し態度を変えた。

彼以外のメンバーも反応を見せる。


人間が生き返っても装備が貧弱ならPKできない。

PKヘヴンは、完全に無力化し、形骸化する。


「しかしこれは、まだ計画の段階でしかありません。」


綺羅羅は、そう言って首を振る。

ちょっと芝居じみた態度だった。


「彼らの拠点を発見する必要があります。

 岩戸君は、そう言うのに長けてるでしょ?」


サバンナに隠れた殺人集団。

それを追うには、猟犬が必要になる。

とびっきりの猟犬だ。


それは、現状で岩戸いわと泰臣やすおみしかいない。

これが細川と十太郎たちが出した結論だ。


プライドの高い岩戸を評価して見せることで彼の協力を引き出す。

もし彼がそんな思惑をも侮辱と見做せば失敗だ。

しかし彼は、受けると踏んだ。




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