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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第2話「くたばれ!ゾンビドラゴン!!」
36/213

集合




数日後…。


岩戸の計画は、大きな暗礁に乗り上げた。


次の街シャディザールの位置は、おおよそ分かった。

しかしゾンビドラゴンを迂回するルートは、どんどん遠回りになる。


というか実態としてゾンビドラゴンも移動している。

これでは、迂回しようとしてもキリがない。


また問題のゾンビドラゴンは、予想以上に強い。

この3週間、15回挑んでかんばしい報告がない。


「方針を変える!」


岩戸は、苛立ちながらいった。

他のメンバーも心底、ウンザリしている。


「レベリングだ。

 移動とゾンビドラゴンとの戦闘で1回分の冒険を費やす!

 これじゃ何も出来やしない…!!」


「ひゃッ…はは。

 これだけ負けてからそれは、ねえだろ?」


夜桜が軽口を叩いた。

岩戸以外の4人の表情が一瞬で凍り付く。


「………確かに西岡君のいう通りだ。

 俺が先走り過ぎたせいで無駄な時間を浪費した。」


「いや、そうは言っても収穫はあったぜ。」


夜桜が十太郎の身体で話し続ける。


「たぶん、あのゾンビドラゴン。

 このメンバーがレベルを上げてもどうこうできる感じじゃねえ。


 空も飛ぶし広範囲に広がる攻撃がある。

 おまけにこっちの動きを学習し、対応して来やがる。

 なまなかな作戦や力押しは、通用しねえ。」


夜桜の話を聞いていた岩戸が一層、苛立つ。

顔をピクピクと痙攣させて喚き始めた。


「そんなこと、分かって。」


だが岩戸が反論すると夜桜が黙らせた。

拳で岩戸の腹を軽く小突く。


だあってろ。」


ゾンビドラゴンの恐怖の200倍の震えが岩戸に走った。

夜桜の暗くぎらつく眼光、その恐怖が岩戸を黙らせた。


「………ッ!!」


「お前も見ただろ?

 ペシュカネルの近郊で雑魚共がゴブリンとダンスパーティーしてるのを。

 ただでさえバチクソカスみたいな経験値を奪い合ってよォ。


 このまま時間がかかると経験値の元が他の連中に吸われる。

 どんどん後ろの連中がここに追い付いて来てるんだからな。


 今からレベリングなんて効率よく進められねえんだ。

 ボケた対策立ててる場合か。


 早く進みたきゃ、もっと現実的な対応を選べ。

 要するに他の連中と協力しろ。

 もう出し抜くとか先んじるなんて形に拘るな。」


反論は、どこからもなかった。

夜桜の提案は、恐らくもっとも簡潔かつ芳醇な可能性を持つ選択だ。


勿論、ここから詰めていくべき点は多い。

どれほどの仲間をさらに集めて挑むのか。

そしてそれらをどう指揮し、どう戦うのか。


具体的な点に関しては何も定まっていない。


「………い、言いたいことは終わったか?

 西岡君、具体的なことを一つぐらい言ってみろ。」


岩戸の唇が震えている。

はっきり零れる涙が見えた。


夜桜は、女悪魔の笑いを見せる。


「そんなモンは、お前が考えれば良いんだ。

 ………頭、良いんだろ?

 でなきゃお前は、マジで威張ってるだけのカスだろォが。」




こうして戦力増を具体的に進めることになった。

レベリングではなく単純に頭数を増やす。


早速、岩戸は、綾瀬と徳川に声をかけた。

現在、仮メンバー扱いで信用に足ると判断したメンツだ。


「阿尻は?」


宗像が訊いた。

岩戸は、不愉快そうに首を横に振った。


「あんな見るからに馬鹿そうな連中…。

 俺は、一緒に戦いたくないね。」


これだ。

十太郎たちは、顔を見合わせる。


「話は聞いたぜ。

 ゾンビドラゴンを倒して西に抜けるんだって?」


早速、綾瀬が到着した。

この3週間で彼の望むメンツが揃っている。


「この人数なら抜けるだろう。

 ワクワクして来たな!」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

《!》Topics

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─────────────────────────────────────

綾瀬愛直(ちかなお)

クラス:『ナイト』 Lv10


青柳あおやぎ円四郎えんしろう

クラス:『アーチャー』 Lv9


高橋たかはしつばさ

クラス:『ナイト』 Lv8


大暮おおぐれちか

クラス:『ナイト』 Lv8


相田あいだハルト

クラス:『ナイト』 Lv8


高本たかもと文華あやか

クラス:『ナイト』 Lv8

─────────────────────────────────────

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「なッ!?」


綾瀬は、嬉しそうに十太郎にいった。

困ったように十太郎も相槌を返す。


「あ、え?

 ああ、楽しみですねー。」


「ボクシング、野球、バレー、水泳、柔道、陸上短距離走…。

 全国強豪校の選手ばかり集めたのは、分かるけど。

 ほとんど全員が《ナイト》っていうのは、どういうことだい?」


岩戸が呆れたように右眉をつり上げて言った。


「はっはっはっはっは!!!

 お互いに同じ職業クラスならアドバイスし合えるじゃないか!!!」


そう答えて綾瀬は、腰に両手を着き胸を張って笑う。

だが岩戸は、呆れたように首を横に振って手を広げた。


「そう。

 ……君のクランだ。

 君が思うようにすればいい。」


「ああ…。」


綾瀬は、短く答えるだけだった。


綾瀬は、あーだこーだ反論する気はない。

すでに岩戸に共感して貰おうとも思わないし、評価して貰う必要もない。

もう自分が決め、自分で歩むことができる立場になったからだ。


綾瀬は、仲間たちに向き直って声を張り上げた。


「さあ、皆ーっ。

 今回は、俺たちにとって栄えある独立の日だ!

 ゾンビドラゴン、キッチリ倒していこうぜっ!!」


「おっし!!!」

「シャアアア!!!」

「おー!!!」

「うっし!!!」

「はいッ!!!」


体育会系らしい溌溂とした返事が返って来た。

岩戸は、不愉快そうに目を細めている。


「叫べばどうにかなるとでも?」


嫌味を呟いて首を横に振って歩いて行く。


そんな彼にクランの仲間も続く。

もちろん円陣も掛け声もない。


集合場所から出発する岩戸に綾瀬が声をかける。


「なあ。

 徳川さんは、どうした?」


綾瀬クランは、ほぼ全員が騎乗していた。

歩くのは、《アーチャー》の青柳だけだ。


本来、《ナイト》は、クラスチェンジと同時に乗馬技術を習得できる。

岩戸は、他の仲間に合わせて歩いているが。


これによって騎馬突撃もできる。

もちろん人数が増えれば相乗効果も増すだろう。

非常に強力な切り札(カード)で、これをチーム戦術の要とするのは、面白い。


「そこにいるよ。」


岩戸は、綾瀬の質問に答えて顎をしゃくった。

そこには、確かに徳川が居た。


「おーほほほほ!

 集合場所がちょっと手狭だったものですから。」


大通りで待っていた彼女の後ろには、20人ぐらいの人だかりが出来ている。

なんだこの人数は。


「この方々は、日本人ではございません。

 現地民の《ベアラー》ですわ。」


《ベアラー》。

つまり荷運びということか。

確かに20人の男女は、背中に巨大な荷物を背負っていた。


水や食料を運ばせるために雇ったのか。

一同、徳川のスケールの大きな準備に驚くと同時に複雑な感情を抱く。


理屈は、分かる。

だが奴隷を雇うというのは…。

誰もが現代人らしい嫌悪感を覚えていた。


「………じゃあ、君だけか?」


岩戸が不快感を露わにする。

戦うのは、徳川一人じゃ話が違う。


しかし徳川は、哄笑で返答した。


「おーほほほほ!!」



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《!》Topics

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─────────────────────────────────────

徳川龍外(りゅうがい)

クラス:『ソードマン』 Lv10

─────────────────────────────────────

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わたくしの強さ。

 皆様にお見せ致しましょう…!!」


徳川は、そういって自信満々だ。

早速、岩戸は、スマホでステータス画面を確認している。


「………《ソードマン》…。

 ………なんだ、このステータス推移は…。」


徳川が自慢する通り、岩戸は、その数値に驚いた。




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《!》Topics

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─────────────────────────────────────

徳川龍外(りゅうがい)の初期値

クラス:『ソルジャー』 Lv:1

生命(HP) 74

魔力(MP) 5

筋力(STR) 32

持久(VIT) 30

知力(INT) 22

精神(MEN) 22

技量(DEX) 32

敏捷(AGI) 31

生命(HP)…だいたい初期値は、60前後で58~73で推移

魔力(MP)…だいたい初期値は、5で3~7の間を推移

他の能力値(パラメータ)…だいたい27か28で22~32で推移

─────────────────────────────────────

徳川龍外(りゅうがい)の初期値

クラス:『ソルジャー』 Lv:5

生命(HP) 102

魔力(MP) 17

筋力(STR) 48

持久(VIT) 46

知力(INT) 38

精神(MEN) 38

技量(DEX) 48

敏捷(AGI) 47

※ここで一端、《ナイト》にクラスチェンジする

《ナイト》のクラスチェンジ条件:筋力(STR)45 持久(VIT)44

─────────────────────────────────────

徳川龍外(りゅうがい) Lv6の能力値

クラス:『ナイト』 Lv:6

生命(HP) 109

魔力(MP) 21

筋力(STR) 54

持久(VIT) 52

知力(INT) 42

精神(MEN) 42

技量(DEX) 55

敏捷(AGI) 53

※《ソードマン》にクラスチェンジする。

《ソードマン》のクラスチェンジ条件:技量(DEX)50

─────────────────────────────────────

徳川龍外(りゅうがい) Lv10(現在)の能力値

クラス:『ソードマン』 Lv:10

生命(HP) 140

魔力(MP) 33

筋力(STR) 86

持久(VIT) 80

知力(INT) 54

精神(MEN) 54

技量(DEX) 87

敏捷(AGI) 82

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CC(クラスチェンジ)条件で鍵となる能力値は、物理職なら筋力(STR)、魔法職が知力(INT)精神(MEN)

この3種類のいずれかが45以上ならほとんどCC(クラスチェンジ)条件を満たすハズである。


そしてほとんどの場合、初期値は27~28が多い。

《ソルジャー》は、各能力値が4ずつ上昇するのでLv6でCC(クラスチェンジ)できるようになる。


逆に初期値で25を切るようだと、この最初のCC(クラスチェンジ)の機会を見逃す。

わずか1違うだけで1回分のCC(クラスチェンジ)が遅れる訳だ。


特に《ソードマン》の必要条件は、技量(DEX)50。

条件となる能力値は、技量のみ。

他の職業が二項目あるのに対し、筋力や持久などは、含まれない。


それでもLv6でこの数値に達するのは、初期値で30以上が必須。

《ソードマン》は、他の下級職より入り口のやや狭い職業クラスなのである。


もちろんLv7からでもCC(クラスチェンジ)できる。

しかし



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《!》Topics

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─────────────────────────────────────

クラス:『ソードマン』

汎用クラス

「剣の道に生きる戦士。生涯を捧げ、剣の才を磨く求道者である。

 その技量、他の者の追従を許さない。」

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クラスチェンジ条件:技量(DEX)50

取得スキル:剣

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生命(HP) +7

魔力(MP) +3

筋力(STR) +6~8

持久(VIT) +5~7

知力(INT) +3

精神(MEN) +3

技量(DEX) +6~8

敏捷(AGI) +5~7

─────────────────────────────────────

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《ソードマン》の能力値(パラ)上昇は、他の下級職と一線を画す。

武器は、剣しか使えないが魅力的な職業クラスだった。


(馬鹿か。

 こんな数字で赤くなったり青くなったりしやがって。

 やりようによっちゃ、こんなモン、幾らでも取り返せるぜ。


 第一、ステータスが強さと結びつくわけじゃねえ。

 実際の戦闘での動きや駆け引きは、別問題だ。)


夜桜は、そういって呆れ、大いに腐した。


確かに能力値の数字は、本人がもっとも集中した時に発揮される。

ゲームのキャラのように常に数字通りの戦闘力という訳ではない。

あくまで最高のパフォーマンスを数値化していた。


だが岩戸は、数字に信仰じみたモノを持っている。

数字やステータス画面に異常に拘っているのだ。


「こんなの初期値が高かっただけじゃないか…。」


十太郎も流石に呆れる。

徳川は、それを笑い飛ばした。


「おーほほほほ!

 そんなの負け惜しみですわ!!

 予のステータス画面に平伏ひれふしなさい!!」


だが綾瀬も苦笑いした。


「はっはっはっはっは…。

 徳川ガール、その高笑いは、実戦で活躍してからにして貰おうか?」


その言葉は、幼稚園の頃から試合という戦いを潜り抜けた男の台詞だった。


「試合前に大きな口を叩いて、みっともない思いをした連中を。

 それは、俺たちが良く見て来たからな…。」


綾瀬の周りに集まる運動部騎士団の目が燃えている。

日本でもトップクラスに負けず嫌いな連中だ。

勝負の前に勝ち誇られては、燃えない訳がない。


これには、徳川も威圧された。


「あら、そんな空威張りは、お互い様ですわ。

 ステータスが本物であることを予がお見せしましょう。

 その時、吠え面かくのは、そちらですわよ?」


一緒に戦う仲間だというのに。

この出発は、妙な張り合いから始まった。


「まあ、岩戸クランらしいけど。」


十太郎がそう言うと藤田が笑った。




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