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来やがれ!ダンジョン学園!!  作者: 志摩鯵
第1話「来やがれ!ダンジョン学園!!」
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三人組




ペシュカネルの外れ。

1mぐらいの背の低い壁が巡らされている。

一応、街を守るための防備らしい。


壁の外は、完全な曠野だ。

テレビで見るアフリカの大自然って感じの。


「ひゃっはー!!

 騒がしいじゃねえかァァァ!!」


騒がしい男子生徒がはしゃいでいる。

両手に武器を持っていて、あれでどう戦うのか予想できる。

ぶんぶん振り回すつもりらしい。


そんな男子生徒をジョーと十太郎は、呆れて見ていた。


大通り以上に、ここは騒がしい。

外に出た冒険者たちが1時間もせず、血塗れでご帰還なさっておられるのだ。


「うう…。」

「痛いよー。」

「ああ、ああ、ああッ!」


それらを見て十太郎は、ゾッとした。

逆にこれから出発するという連中もいる。


「行くぞ!」

「おおお!!」

「よっしゃー!!」


出て行く方は、声を張り上げ、空元気を噴かす。

互いに仲間を鼓舞し、声をかけあっていた。


「どーしよ?」

「ねえ、やめとこ。」

「情報がまだまだ足りないって!」


その間で怖気おじけづく連中もいた。

どうやって装備を調達したのか知らないがご苦労様だ。


「帰らぬ船の運命を知れぇっ!

 行くぞォー!!」


例の詩を叫んでいるのは、あの騒がしい奴だ。

すっかり他の仲間は、青褪めている。


「お、おー!」

「い、行くぞー!」

「か、帰りたい…。」


それでも引き返せないらしく彼に従って旅立って行った。

ジョーと十太郎は、不憫な彼らを見送った。


「この先を知っていますか?」


急にジョーと十太郎に声をかけるものがあった。

先刻の神野高校の男子だ。


今は、さっきと違いしっかりと武装している。

武装しつつ高校の制服を取り合わせるのが、ここでの流儀らしい。


「知らないんだ。

 教えてくれるのかな?」


とジョーがいった。


すると神野の男子は、肩を揺すって馬鹿にしたように笑う。

あまりに抜き身の質問に呆れているようだ。


「実は、メンバーの補充に使いに出されたんです。

 次の街まで辿り着いた奴があまりに少なくてね。」


(キンタマ握り潰してやろうか?)


夜桜が右手をワシワシと動かした。


「ずっと西にカズラクという街があることが分かっている。

 例の詩に従って真西に進んで辿り着いた最初の街だ。」


神野の男子は、そういって西を指差した。

その方向には、灌木と乾いたサバンナが広がっている。


「もし辿り着ければ我がクランにお誘いしたい。」


そういって神野の男子は、勧誘して来た。


「ふーん。

 そうやって次は、私たちがリクルーターになるって訳?」


ジョーが顔をそっぽ向けていった。


「それは、二人の働き次第ってことかな。

 とにかく君らは、他の十把一絡げの連中と違うと見た。

 情報は、その前払いって事。」


それだけ話して神野の男子は、ペシュカネルの外に出た。


「ああ。

 俺の後ろに着いて来たら仲間入りは、取り消しね。

 ちゃんと実力で次の街で会いましょう!」


などと最後まで上から目線で言いたい放題だった。


「行くしかないよ。」


ジョーが十太郎に言った。


「強い奴が強い奴と戦って、どんどん強くなるんだ。

 先に行った連中に追い付くのは、簡単じゃないから。」


「………諦めたんだね。

 君の前の仲間は。」


十太郎は、鋭く正確にジョーの実情を指摘した。

彼女の装備は、たった一人の人間が短期間に調達できるものじゃない。


「先に進むのをね。」


ジョーは、拳銃と剣を確かめた。

二人は、胸を張ってバカ騒ぎもせず、街の外に出て行った。




ペシュカネルの市域から50m。

低い塀の外側に丸太で作った柵が巡らされている。

第二の防衛線といった感じだ。


それほど立派な物じゃなく手入れもかなり行き届いていない。

おまけに人間と人間に似た異形の頭蓋骨が尖った丸太に突き刺してある。

外敵への警告だろう。


その理由は、目の前で繰り広げられている。


「キョキョー!!」

「ボオオオ!!」

「ギギギガガガ…!!」


兎の巣みたいな地面の穴からゴブリンみたいな奴らが次々に出てくる。

いや、ゴブリンの方がずっと見た目が良い。


獣のような蛮声、地面に着くほど長い腕、牙のある口。

鼻や頬などの凹凸(おうとつ)がなく目が真っ黒な複眼になっている。

尖った頭部の造形は、動物よりも魚類や昆虫、エイリアンに近い。


二本脚で走り回っている以外、ゲームに出てくるゴブリンと似ても似つかない。

たぶん呼びやすいのでゴブリンと呼んでいるんだろう。


「ギョオオオーッ!!」


共食いしているのだろう。

仲間の死体は、速やかに巣穴に運び込まれて行く。

そして入れ替わるように次のゴブリンが顔を出した。


「ギギギギギ…!!」


「いやー!」

「死ぬー!」

「痛いー!」


走って逃げられるぐらいの軽傷の生徒が逃げ戻って行く。

きっと体育の授業の100倍真面目に腕を振っている。


「きゃあああ!!」

「うわあああ!!」

「誰か助けてー!!」


もっと程度の酷い連中は、ゴブリンに巣穴まで連れ込まれて行く。

詳しく書かない方が良いが抵抗できるような状態じゃない。


(ひゃっひゃっひゃ!

 足はともかく腕が斬られるってことは、腕で攻撃を防ごうとしたな!?

 ばーか!!)


容赦ない。

だがそれは、夜桜が生まれた暴力の世界なら当たり前に浴びせられる言葉だ。


「早過ぎるぞ、皆ー!!」


さっきの騒がしい例の男子だ。

どうやら仲間は、全滅したらしい。

彼一人だけが両手に棍棒を振り回して奮戦していた。


「おお!

 そこのカウガールとお前!!」


騒がしい男子は、遂に二人を見つけた。

声をかけてられたジョーと十太郎は、ドキっとする。


「俺は、結城ゆうき壮馬そうま!!

 ここだけで良いから手を貸してくれ!!」


すっかり周りには、この三人しかいない。

他は、もう時間の問題か逃げ出し始めた。


「じゃあ、勝手に着いて来な!」


ジョーは、そう言って彼を迎える。

三人は、飛矢となってゴブリンの群れに突撃した。


「進め、進め!!

 俺について来い!!」


本当に状況が分かってるのか。

結城は、あえて二人の前に立ち、進んで敵と戦う。

かなり疲れているだろうに。


「俺も!」


十太郎も臆せず飛び込む。

危険になったら夜桜の腕や脚が彼の背中なり肩から、ぬ~と生えてくる。

そして他の仲間に気付かれないように援護した。


(こんな雑魚に何、熱くなってんだ?)


夜桜は、詰まらなさそうに溜め息をつく。

十太郎は、汗を浮かべて頭の中で礼を言った。


(ありがとう!)




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