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虚空のディストピア  作者: 橘 はさ美
2/6

第1話 災禍

2042年、6月の平日。

俺は自分の部屋のベッドで目覚め、なぜか起きた瞬間に涙が零れた。


「⋯あれ?なんか変な夢見たっけな?」


心当たりが全く無い。まぁ、たまにある事だ。何も気にしなくて良いだろう。

そんなことにうつつを抜かし、ふと時計に目をやると⋯


「⋯って!時間やべぇじゃん!」


時計の針は午後8時を指していた。

こりゃあ、もう学校には間に合わないよなぁ。


俺は急ぎで制服に着替え、準備で家の中を駆け回っていた。


「起きてんなら俺の事起こせよ!」


「あんたもう17でしょ?!」


ド正論なので、ぐうの音も出ない。

俺はそれを無視して家を出た。



――高校へ向かう電車を待っている間に、携帯に目を落としネットニュースを見ていた。


暫くすると電車の迫る音が聞こえてきた。

今日も冴えない日常、俺のルーティンは何一つ変わらない。


――しかしこの日、この時間に駅のホームに立っていた事により、俺の人生の路線は急転換することになった。


「痴漢です!!その人を捕まえて下さい!!」


髪を巻いた、ロングの女性が走りながら叫んでいた。

ヒールを履いていたらしく、犯人にはとても追いつきそうに無い。


少し太った中年の男は焦燥した顔で、全力疾走していた。


「物騒だな…」


俺は遠目にその一連を眺めていた。

しかし、中年の男はこちらへ走ってくる。出口がこっちにあるからだろう。

でもまぁ、車掌か警察とかが解決するだろう。


そう思っていたその時だ。事件が起きたのは。


「どけっ!」


中年の男は立っている俺に体当たりをして、走り去った。

完全に油断していた俺は吹っ飛び、迫り来る電車の目の前に落下してしまった。


「………え?」


その瞬間、時間が引き伸ばされたような感覚に(おちい)った。

俺、死ぬのか…?

ろくな高校生活では無かったが、まだ死にたくは無い。


しかしゆっくり、ゆっくりと時は進む。


やがて線路に落ち、視界が真っ赤になった。

四肢の感覚はない。


轢かれた衝撃で、俺の目線はゴロゴロと転がる。

そうだな…痛いのは首だけだ。


だがそろそろ、自分が死ぬという事だけは分かった。

とても瞼が重い。


俺が轢かれた事に、ホームに居た人々は悲鳴をあげていた。

死ぬ直前、最後まで耳は聞こえるというが、それは本当だったようだ。


……いよいよ迎えが来そうだ。

もう少し、やりたいことをすれば良かったな…

なんて事を考えているうちに、俺は眠ってしまった。





「……手術は成功した」


カチャカチャという金属の音が耳につき、(まぶた)を開けると目が眩んだ。

天井の照明の所為だ。

ん……?手術…?

なんのことだ?さっき俺は電車に轢かれたはずだが…?

先程までは感じなかった、心臓の拍動をじんわりと今では感じる。

だが手足は動きそうにない。


「⋯こいつを房に連れていけ」


「承知しました」


俺は台に乗せられたまま、ガラガラと薄暗い廊下を移動した。

もしかして、俺はまだ死んでいなくて手術で助かったのか…?

だとすれば、少し入院すればすぐに家に帰れるぞ。

俺は実は死んでいなかった、という思いもよらぬ

状況に安堵した。


しばらく転がされ、明るいが沈静な病棟に着いた。

そこはまるで研究所のようなガラスの小部屋が幾つも奥に並んでいた。

病院にこのような施設があるのか…?


俺はそのまま、小部屋の薄い布団に降ろされた。

看護師は外へ出て鍵を閉め、口を開いた。


「あなたは書類上、人身事故により死亡したことになっています」


……は?

**********

読んで頂き、ありがとうございます!


よければアドバイスやレビューの方を宜しくお願いしますm(_ _)m

1番のモチベーションになります!


では!

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