対面
今日はイレーヌ視点です。
(だっ…だれ?)
「お初にお目にかかります。リュークリナ領貴族オーギュストキャピュレットが娘、アマーリアと申します。」
私はタルカのお見舞いに来ていたら、突然人形のような美少女が私の前に立って挨拶をしている。
「えっと……。」
「アマーリア、その子は……」とタルカは明らかに慌てた様子だ。
(あの子はだれ?て言うか……今の私は…。)と私は自分の服装をみる。タルカをびっくりさせるために使用人のような格好をしているためとても貴族令嬢のように見えない。
「……なぜ私のようなものに挨拶をなさるんですか?」
「それは、あなた様がイレーヌ様だからです。」
「なぜそれを?」
私はまだ学園に行っていないため、地領の貴族と面識がない……。それなのに、この美少女は私のことをピタリと言い当てた。
(何者?)と私は部屋の外に立っているロジエールをちらっと見た。ロジエールも剣に手をかけてこちらを静かに見ている。
「こちらの領主夫妻にはお会いしたときに娘がいるとおっしゃっていましたし、護衛が後ろににらみを効かせながらたっています。護衛ひとりだけをつけて気軽に会いにこれる間柄と言えば私の知る限りではいとこのイレーヌ様だけかと思いまして……違いましたか?」
この時代敵対している貴族は、たくさんの護衛が連れて歩く、首とからだが離ればなれになりたくないからだ。そして、地領の一貴族から領主一族の仲間としてここの領主に来たキールにはやっかみもすごく、タルカも例外ではなかった。
(領地の内部事情にも詳しい……こいつ何者?)
「アマーリアはその何て言うか……僕の……。」とタルカは少し恥ずかしそうに目をくるくるしていた。
(まさか……。)
「あの…僕の婚約者です。」
「嘘?」とびっくりしている横で彼女はタルカの横に行き、少し顔を赤らめた。
「以前から、イレーヌ様のことはよくタルカ様から聞いていました。」
(うん、なんかいい……感じ…?)
ここで根掘り葉掘り聞くのはあまりよくないかも知れないので、質問したいと言う好奇心をぐっと押し殺し私は必死で耐えた。