帰還に向けて……。
それから、私たちはアメロ達と一緒に検問所に向かった。
(うわぁ~大きな門!)
検問所の周囲はぐるりと壁で囲まれていて中央に大きな門があった。
(まるで、万里の長城みたいに長い壁。本当にすごい!)
検問所のそとでは衛兵のような人達が見張りをしていた。
「お嬢様こちらです。」と検問所の横にある小さな扉をアメロが開けてくれて私はロジエールに手を引かれ中へと入った。
(はっ、タルカ……。)
「お嬢様っつ……いて」
「タルカさんその足で動くのは無理です。」
扉を開けると椅子に座り、兵士に治療されているタルカの姿があった。
「タルカ!」私がタルカのもとに行こうとしたとき私よりも先にアルセーラがかけよって抱き締めた。
「よかった……本当によかった。」
「母上私は大丈夫です。」
タルカを前に涙を流しながら泣くアルセーラを安心させるように背中を軽くたたいた。
「腕と足のきり傷や打撲など場所によってはひどい怪我もありますが、命に別状はありません。」
(ほっ…よかった。)
「俺はロジエールからの書類をここに届けたのですが、敵との戦闘で動けなくて…。」
「タルカさんはここに来るときも足を引きずりながらいらしてて……でも……自分のことよりも馬車の人たちを助けてほしいってすごいけんまくで…。」
「すまない。あのときはもう必死で…。」とタルカは少し照れながらそう言った。
「本当に何事もなくてよかった。」とほっとした後に、私は何故かわからないが自然と泣いていた。
「お嬢様……まさか……どこか怪我をされましたか?」とタルカとロジエールが心配そうに覗きこんだ。
「大丈夫です。安心して自然と…。」と私は自分で涙をぬぐった。
「そうか……よかった。」とロジエールは少し安心した様子だった。