他領の領主との会話
(えっ、水なんてだしてどうするの?)
そして、フェイスは「ラターナフォンテーヌ」ととなると、水が板状の鏡のようになり一人の男性を写し出した。
「だ、だれ?」
「あれが我が領主のダラディエ様です。」
ダラディエと呼ばれた領主は立派なひげを蓄えた屈強そうな男性で、私の父と違いどこか体育会系な臭いがした。
「どうしたアメロ?ロジエールに何かあったのか?」と向こうはかじりつくようにこちらを見ている。
こちらはこちらで、ダラディエの大きな声が水鏡の向こう側から聞こえ、私は思わず心のなかで(うるさい。)と思ってしまった。
「いえ、ダラディエ様。こちらは問題なく任務は遂行できました。ロジエール達も無事です。」
「では、どうした?」
「はい、実は……。」とアメロは今までの経緯をはなした。
「そうか、こちらは魔方陣を使うことはいいが……検問所の魔方陣を動かすほどの魔力はどうするのだ?」
「それは、こちらの兵士とロジエールの魔力でなんとか足りると考えています。」とアメロが説明するとダラディエは少し考え「そうか、あいつにはあの剣があるからな。」と納得したように頷いた。
「ダラディエ様、すみません。今回のこともきちんとお礼を言うべきとこをこのようなお願いまで。」とロジエールが水鏡に向かって話しかけた。
「おお、ロジエール。久しぶりだな!そんな敬語はいい、俺たちのなかだろ。それより今度一緒に……どうだ?」とダラディエは酒を飲むような仕草をした。
「すみません。あれ以来酒をたっているんです。今は任務中ですし。」とロジエールは申し訳なさそうに笑いながら頭を下げた。その時、アメロは空気を読めといわんばかりに咳払いをした。
「ああ……そうか、でもまた顔を見せてくれ。アメロ後のことはお前に任せるよろしく頼むな。」
「はい、お任せを。」と言ってアメロはフェイスに合図をして、水鏡の魔法を解除した。
「あの私もお礼と挨拶をした方がよかったのではないですか?」と私がアメロに尋ねるとアメロはにっこりと笑いながら「後日で大丈夫です。」と言った。
「ですが……。」(迷惑かけたのに……。)とそばにいたロジエールをみた。
「アメロは頭が切れるし、気配りもできるから今はアメロに任せよう。」とロジエールはアメロの方を向いた。
アメロは笑顔を崩さずに、「我が領主は、熱いというか情熱的というか……なので正式なお礼の挨拶のときにでも……。」と言った。
(うん。なんとなく言いたいことはわかったよ。)
あつを感じた私はロジエールとアメロに従うことにした。
(長いものにはまかれろだしね!)
「承知しました。では、また後日と致します。」
「ありがとうございます。では、我が領主にもそのように伝えます。」
「アメロすまないな。頼む!」
「ロジエールには学生のときお世話になりましたから、これぐらいは。」とアメロはロジエールに向かって頭を軽く下げた。