表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/105

湖畔のラッタ

「本当にいいところ、空気も美味しいし!」

「ええ、ここは私のオススメのところですから。」

「えっ?」

「前の主ともよくここで息抜きをしたものです。」

「そうなの?」

「ええ、その方がこの湖畔のそばでゆっくりと本を読む時間がすきで……。」とロジエールは楽しそうな顔をした。




「へぇー、ねぇ、前の主って……。」と話しているとがさがさと草むらの辺りから音がした。

「……お嬢様。」とロジエールが私を庇うように前にたった。





(まさか……刺客?)





私はのどの奥にたまった唾を一気に飲み込んだ。自分はここで殺されるのかと思ったらてが震えてきた。




「出てこい。」とロジエールが言うと、ウサギのようなネズミのような動物が二匹出てきた。





(……かわいい)





「こいつは……。」

「ラッタですね。」

「タルカ知ってるの?」

「ええ、常に夫婦で行動するので仲良し夫婦の象徴です。」

「へぇー。」(おしどり夫婦みたいな?)




(でもかわいい。)私が近づくと向こうからよってきて、私の肩に乗ってきた。






「こいつ人懐こいな。」

「あはかわいい、もふもふだぁ。」

ラッタは少し撫でてやると嬉しそうに目を細めた。




(かわいい、つれていきたいくらい。)





「そろそろ時間だなタルカ。」

「ええ、わかっています。さぁ、参りましょうお嬢様。」

「ええ、わかっています……でも。」

「飼うのは無理ですよ。」




(ですよね。)と大きなため息をつきながら私はラッタにお別れをして馬車に乗り込んだ。





「ロジエール馬車を動かしていいですか?」とタルカがロジエールに発車の許可をとった。

「……。」

「ロジエール?」

「……ああわるい、進めてくれ。」

「わかった。」といいタルカは御者に合図を出した。




「どうしたのロジエール?」

「……もし違ったらすまない、実は……」

「何ですかもったいつけて……もしかして。」

「ああ、つけられてるかもしれない。」

「何でそう思ったの?」

「ラッタのことですお嬢様。」

「ラッタ……ラッタがどうしたのですか?」ととうアルセーラに私は湖畔の出来事を話した。


「そんなことが……。」

「ええ、アルセーラは荷物番でいなかったので……。」

「考えてみたんだが……野生のラッタがあんなに人懐こいと思うか?」

「どう言うことです?」

「俺は野生のラッタにあったことがあるがあそこまで人懐こい個体はいなかった。」

「考えすぎということは?」

「ラッタは普段物静かな魔獣だが、この時期は子育てとか繁殖の影響で特に気が立っている時期なんだ……それが見ず知らずの人間の肩になんて…。あれは魔法で操られていたんじゃないかと思うんだ。それで説明がつく。」とロジエールは静かに目を外にやった。




「でだ、何のためにこんな場所でラッタを魔法で操る必要があるからだ。」

「刺客の見張りがたてた音をごまかすためにそばにいたラッタを魔法であやつった。」とタルカは静かに答えた。

「そんな…もしそれが事実だとしたらどうするのです?」と不安そうにアルセーラが私の肩をぎゅっと抱く。

「まだ、仮定の話だが……もし見張りがいた場合戦闘となるかもしれない。だから、向こうがことをおこすまでは静観だ。」

「そんな……逃げるとかできないんですか?」

「ああ、現状は難しい……が、勝ち目がないわけでもないんだ。」








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ