湖で一休み
「あとどれぐらい?」
「まだまだかかります。今回は襲撃のためあまり休めませんから。」
(いや、腰が死んじゃう。)
「ロジエール、お嬢様は腰の状態をおっしゃっているのです。」
「馬車移動なんだから仕方がないだろう、それに馬車の移動を薦めたのはアルセーラお前だろう?」とロジエールが言うとアルセーラは少しムスっとした顔になりながら黙ってしまった。
「ロジエール、相手を言いくるめてどうするのですか、今はお嬢様の腰の状態を改善するのが先です。一度どこかで休憩いたしましょう。」とタルカはため息をつきながら御者に合図をおくった。
「……わかりました。本当はあまり休憩をとりたくないのですが………仕方がありません、少し道からそれますが、この辺りに湖があるのでそこで少し休憩を取ります。」とロジエールが御者の人に道の説明をし、私達はそこの湖によることになった。
白樺並木の森の中をひたすら走ること10分。私達は大きな湖に到着した。そこは、白樺の木々に囲まれた森の奥深くにあり、湖畔は太陽の光を受けて虹色に輝いていた。
「さぁ、お嬢様。」とタルカが優しく手を引いてくれた。
こういうときは、湖の感じも相まってロマンチックな雰囲気になるのが常だが、馬車での移動だったため腰がいってる私はまるで介護される老人のような感じになってしまった。
(うう、腰がぁ~)
「お嬢様したばかりみているのではなく顔をあげてください。」
「うわぁ、きれい。」
(湖の色が白樺並木の白い木々と見事にマッチしている。)
「ここは馬を休ませる給水ポイントとして昔よく使っていたところだ。周囲は木々でおおわれているから相手からも見えにくい。」
「つまり、休憩に最適ってことね!」
「そういうこと。」
(それにしても空気が美味しい。こういうときってなぜか深呼吸しちゃうのよね。)
「お気に召しましたか?」
「ええ、腰も伸びをしたからだいぶよくなったし、空気も美味しいから最高なんだけど……。」
「どうかしたか?」
「これからまた、馬車に乗ると思うと……。」
「お嬢様、もう少しの辛抱です。後で湿布薬を貼りましょう。」
「本当に?タルカありがとう。あの湿布薬だいぶ効くから。」
(私の腰もよろこんでるよ!)
「では、半こくここで過ごしたのちまた移動する事にいたしましょう。お嬢様はけっして我々のそばを離れぬようにお願いします。」
「わかりました!」