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王都の外へ

「今回はタルカなのね?」

「ええ、シャレアンテではいざというときに……と思いまして。」

「なるほど……。」



今回の旅はタルカと御者さん、それとロジエールやアルセーラの計5人だ。シャレアンテとネッケルは迎えの馬車を手配したのでそれに乗って戻ってくる。みんなつかれがたまっているのか、顔が少しやつれてような気がするのは私だけだろうか。





「それより気を引き締めてください、道中何があるかわかりませんから。」

「ええ。」




でも、シャレアンテがいないのはよかったのかもしれない。シャレアンテはここにいる従者のなかで唯一魔法が使えない人間と言っていいだろう。もし、私が襲撃にあったらシャレアンテが怪我をするかもしれない、私としてはそれは避けたい。




「でもタルカはよかったの?」

「何がです?」

「新学期の準備のことよ。」

「ああ、あれは当家の使用人に頼みましたから、心配はいりません。」

「そう……向こうにいたときもタルカは私の魔法の特訓に付き合ってくれたから少し心配してだけど大丈夫そうね。」




当然だかタルカは領地の貴族の中でも上級に位置するため、世話をしてくれる使用人がいるのだ。





(タルカの使用人にはあったことないけど……どんな人なんだろう?)




「お嬢様、今回はこの前襲撃があったルートを避けてここの港町をとおりながら帰ります。」

「そうですか。」

「ええ、その辺りは最近治安があまりよくないとの噂もあったのでルートを考えるのに苦労しましたが、比較的安全性の高いルートを選びました。」

「警護するロジエール達の負担をできるだけ軽くできると良いのだけれども……。」

「その気持ちだけで十分です。」




馬車に乗って数分後に王都の門へとたどり着いた。白い壁につけられた大きな扉は、何かから王都を守るかのごとくそびえ立っている。




「ねぇ、また門番のチェックがあるの?」

「いえ、今回は出ていく側なので外に対してはあまりチェックはされません。まぁ、何か事件が起こった時は別ですが……。それから、基本的に魔方陣を使った移動が今は主流なので、こういった検査も最近は少なくなってると聞きますし……。」

「そうなんだ、タルカも簡易魔方陣で来たんだよね?」

「ええ、王都の簡易魔方陣は設置できる場所が決まっていて、魔方陣のチェックから使用できる人数、入ってくる人物の特定や所持品の検査など細かくチェックがあります。」



(なんかまるで空港の保安検査場みたい。)



「私もあらかじめ検査項目を申告したり、滞在カードを作ったりして大変でした。」とアルセーラが大きなため息をついた。

「滞在カード?」

「ええ、このように氏名や年齢性別を記載した紙に魔力と血を少しだけ魔方陣を使い封入するのです。」とアルセーラが見せてくれたのは写真のないパスポートのような紙だった。





「私、こんなの持ってないんだけど……。」

「お嬢様はオルバーン様の証書がありましたから、それが変わりとなったのですが、お嬢様以外の人間は基本的にこのカードを持参するのですよ。」

「タルカも?」

「いえ、私は王都の学園に属しているので学園が発行してくれる学生証がこのカードの代わりに使えます。」





(本当に空港ぽい!)




「お嬢様も学園に入学されたら、学生証が作れますから。」

「学生証かぁ……懐かしい。」

私は高卒で働き出したから、高校の学生証が一番最後の学生証だった。




(あのときは、まさか異世界で学生証を手にする時が来るなんて思ってもいなかったけど。)




「なんか言いましたか?」

「うんうん、なんでもない。」

「二人ともここからは王都の外になるから気を引き締めてください。」と御者が言って、彼はぎゅっと手綱を握った。


























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