ロジエールの過去
今日でタルカの視点が終わります。次回からは本編へと戻りますのでよろしくお願いいたします。
「私は元々孤児だったんですが、ロジエールに拾ってもらって…………俺もあの人に拾ってもらったらからったからって………。」と遠くを見つめるようにピトーネはゆっくりとそう呟いた。
「だからこそ、少しでもロジエールの考えをわかってほしくて………。」
「そうだったのか………。」
(俺自身もロジエールのことを誤解していたのかもしれない。最初はどうせ金目当てだと思っていたし……。)
「私の話はそれだけです。」とピトーネは深々と頭を下げたあと部屋を出ていった。
(それにしても………ロジエールの主人って………。)と一人で考え事をしているとノックの音がした。
「はい。」
「よかったここにいた。」
「アルセーラ………どうしてここに?」
「ずいぶんと探しましたよ。」
「そうですか………しかし、どうしてここにいるってわかったんですか?」
「………ああ、ピトーネから聞いたんです。」
「そうだったんですね。それで用件は?」
「あなたが戻って来ないから心配で………少し手伝えって欲しいことがあるので……イレーヌ様のお部屋に来てください。」とアルセーラに言われ、私は部屋を出てイレーヌの部屋に向かった。
「そういえば………アルセーラはロジエールの前の主人をしていますか?」
「ロジエールは王の直属の騎士だった人ですから、王様ではないのですか?」
「なぜロジエールが王の直属だと知っているのですか?」
「知ってるもなにも、皆周知の事実ですよ。」
「そうだったんですね。」
「ええ、私もロジエールもリディアも皆同い年でほぼ同時期に王都の学園に入っていますから。」
「ほぼ同時期?」
「ええ、ロジエールはある方の護衛で先に入学をしなければいけなかったので、少し入学時期がずれますが………。」
「ある方とは?」と聞くとアルセーラは少し目を反らした。そして「少ししゃべりすぎたみたいですね………その人のことは言えませんし、子どもが口を挟むことではないです。」といい早足で歩き出した。
「なぜ教えてくれないのですか………ある方とは誰なんです?」と迫るとアルセーラはパンと手を叩いて「イレーヌ様の部屋につきそうなので、この話しは一旦やめましょう。もちろんロジエールに聞くのもダメですよ。」と俺に釘をさした。
(聞けるわかけがないロジエールは前の主人をなくしているのだから………。)と俺は暗闇の中、月明かりに照らされて窓に移る自分の姿を見ながら静かに拳を握りしめた。