ピトーネの話
御者と話したあとは嬢様の旅行の支度を整えながら、お嬢様のお食事の支度や夜の支度をして気がつくと窓の外はすっかり暗くなっていた。
(ふぅ~まだまだやることは多いから、考えて行動しないと。)と廊下を歩いていると、向こうからロジエールがやって来た。
「よう。今まで準備か?」
「ええ、そちらは警護計画ですか?」
「ああ、どのようなルートで帰るか、もし強盗や盗賊が来るとどうなるかシミュレーションをしているんだがなかなか話がまとまらなくてな。」と困ったように笑った。
「ロジエールは馬車移動は反対でしたからね。」
「ああ…………俺は………。」と何かを伝えようとしたが、ロジエールは諦めたようにぐっと手を握りしめた。
その時、後ろから「ロジエール、ネッケル様が確認したいことがあると呼んでます。」とピトーネが小走りでやって来た。
「わかった……すぐ行く。」とロジエールはくると背中を向けてもと来た道を戻っていた。
(俺も早く仕事に戻らないと。お嬢様が来る前に買っておいた学用品がまだ整理できていないし……。)
と考えているとピトーネが俺に話しかけてきた。
「あの………大切なお話があるんです。」
「大切な話……?」
「ええ、ロジエールについてです。」
「ロジエールがどうかしたのですか?」
「ここでは話しにくいので……。」とピトーネは俺を廊下の突き当たりにある部屋に案内した。
「ここは……。」部屋の中には盗聴防止の魔術具がおかれていた。
「ここは、会議のために用意した部屋です。最初はここで会議を行う予定でしたが魔術具を設置すると大分狭くなるので、一回り大きい二回の会議室を使いました。」
「それで話とは?ロジエールの件だといっていたが。」
「私が言うことではないと思ったのですが………。」とピトーネは少し言い出しずらそうに顔をしたの向けた。
「何かあるなら仲間として知っておいた方がいい。」
というと何かを決意したようにまっすぐ俺の顔をみた。
「……ロジエールは………実は王の直属部隊の部隊長をしてました。」
「嘘だろ?」
「本当です。オルバーン様に確認してもらえればわかります。」
「そんな……だって、王の直属部隊の隊長………近衛兵のなかでもトップ5にはいる側近中の側近だぞそんな人物がなんで領主の娘の警護なんか。」
「そこは私も詳しくは……ですが同じ近衛騎士の仲間に確認したら以前仕えていた主人を目の前で攻撃されてなくしたと聞いて。」
「前に仕えていた……それって。」
「ええ、私も王様のことかと思い調べたのですがどの資料にもそれらしき記述がなくて………。」
(だからロジエールは襲撃がないように馬車移動ではなく移動の魔方陣を……。だが以前の領主って……?)