会議
今日は久しぶりにタルカ視点のお話です。楽しんで読んでくれると嬉しいです!
「皆揃ったな……会議をはじめてもいいか?」
「ええ、お願いします。」といいながら中央の丸テーブルに座る。
「それで皆を集めた理由はなんだと言うのですか?」
「アルセーラ、そうかりかりするな。イレーヌ様のことだ。」
「ロジエール母上はそんなにかりかりしていません。ただ、少し疲れているのです………今回の旅は色々ありましたから。」
「そうか……集まってもらったのはイレーヌ様を領土に帰還させるときの手段を決めるためだ。」
(手段…………。馬車以外に何があると言うのだ。それに……。)
「ロジエール……イレーヌ様は昨日目覚められたばかりですからここから移動させるとなると体に負担がかかるかと………。」
「タルカの言う通りだ………だがずっとここにいるわけにもいかないだろう?」
(確かにその通りだ。だが……。)
「ええ、そうですね………体調の回復を待ってからなら………。」と私はちらっと母上を見た。母上は少し間を取ったあと静かに口を開いた。
「帰ると言いましたが、帰還経路はどうするんです?」
「その事なんだが………今回襲撃もあったし……簡易魔法陣で帰えるのはどうだろう。」
(簡易魔法陣だと……魔力コントロールもろくにできていないのに……。)
「なっ………私は反対です。簡易魔法陣は魔力コントロールができなければうまくいきません。」とアルセーラは強く反対した。
「だが、タルカからは魔力のコントロールがある程度できるようになっていると………。」
「あくまでも一定の時間コントロールする能力があると言うだけです……魔法を数分間維持できるくらいですが……。」
「簡易魔法陣は複雑な魔力コントロールもなく、直接領地と繋ぐから襲撃の心配はないいい意見だと思うのだが。」
「ですが、先日も魔力コントロールで疲弊していたイレーヌ様が魔法陣をうまく使えるなんて思えません。着替えをおこなった時も擦り傷をいくつも足に作って……。」
「私もそう思います。第一、イレーヌは自分を追い詰めてしまうようなので………またたおれたら。」と会議は決着のつかぬまま話し合いが続いた。