シャレアンテとタルカ
「それにしても、よく眠っていましたね。」
「私……訓練以降の記憶がなくて……。」
「あのあと、私がここまで背負って運び母……アルセーラにお願いして着替えていただきました。」
「そう……迷惑かけて悪かったわね。」
「いえ……お嬢様に無理をさせたこちらにも責任はあるので……。」とタルカは申し訳無さそうに下を向いた。
「あなたのせいじゃないわ………加減がわからないのに無理した私が悪いのだから……。」
「しかし……。」
そんな話をしていた時、ノックの音がして幼いシャレアンテのかわいい声が聞こえた。
「タルカ兄さま、イレーヌ様がお目覚めと伺いました。……入ってもよろしいですか?」
「タルカ入ってもらいましょう。」
「承知しました。」
タルカは部屋のドアをガチャリと開けるとシャレアンテが一歩前に出て深々とお辞儀をした。
「どうしたのシャレアンテ?」
「イレーヌ様がお目覚めになったとのことで………アルセーラから聞いて気になって来てみました。」
「そう………使用人の皆に心配をかけてしまったかしら。」
「タルカ兄さまがイレーヌ様をここにつれてきた時は足に擦り傷のようなものができており、魔力の消耗も激しかったので目を覚ますのはもう少しあとだと伺っていたのですが………元気そうで安心しました。」
(私そんな状態だったの?)
「…………タルカ………。」
「はい。」
「ちなみに私って何日寝ていたの?」
「一週間ほど……。」
「一週間?そんなに………。」
「お嬢様が思っているよりも魔力や体力の消耗激しかったから長引いたのだと思います。」
「その間タルカ兄さまはずっとお嬢様のそばを離れず看病をしていました。」
「シャレアンテ、余計なことを伝えなくても。」
「失礼しました。」
(タルカったら……恥ずかしいのかな?)
おそらくタルカは私が寝込んだことで責任を感じたのだろう。責任感があり面倒見もいいタルカらしい出来事だと思ってしまった。