訓練
「魔力が強すぎます。もっと肩の力を抜いてください。」
「そ、そうねわかったわ」
私は流す魔力の量を調整するため深呼吸をした。
(流す魔力の量を少なく………)
もう一度ポムのみを持ち上げるためタルカに袋から取り出してもらい再び杖を構える。しかし、今度はびくともしない。
「あれ……?」
「流す魔力の量が少なすぎるのです。」
(簡単に見えるけど案外難しいのね。)
それからなん十回も同じことを繰り返し、20回目でやっとポムのみを空中に浮かせることができた。
「で、で、できた!!」
ちらっとタルカを見ると、タルカも嬉しそうにガッツポーズをしている。
「基礎の魔力操作はこれで大丈夫だと思います。」
(………これでひとまずは……だけどまだまだ訓練が必要ね。)
そんなことを考えていると、タルカの顔は真剣な表情で考え事をし始めた。
「どうしたの?」
「この前の襲撃のことを考えていたんです。」
「……?」
「盾の魔法を使えればお嬢様も自己防衛ができるのではないかと」
「盾の魔法?」
「ええ、魔法の範囲や使う内容によって魔力の操作が変わりますが……覚えていて損はないかと思っています。」
「わかったわ………教えてくれるかしら?」
「わかりました。ではまず火・水・土・光・風のなかで一番イメージしやすいのはどれですか?」
(風や光は絵的なイメージでつかみにくいし……土は前世に何度か陶芸体験したから粘土のイメージを持ちやすいかな……火はガスコンロのイメージで水は水道から流れるものって感じかしら………。)
「火と水それから土のイメージがしやすいわね。」
「イメージが固まったら、次は範囲を決めます今回は自身の体から半径5センチほどのにしましょう。」
「ちょっと待って盾て簡単な壁じゃないの?」
「ええ、でも簡単ですが自然魔法なので強力です。ではまずは私が。」とタルカは私から離れ距離を取ったあとに杖を構えた。
「見ていて真似してください。まずは使う術を決めます、今回は水の盾にしましょうか。」といいながらタルカは杖に魔力を流し込んだ。
(さっきは感じなかったけど、今ならわかるタルカの魔力がどうなっているか。)
「そして、頭のなかで自身の周りできるであろう水の壁をイメージします。」
(なるほど……だからイメージしやすいかきいたのね。)
「そして、呪文を唱えながら効果範囲を決めます。今回は自身の半径5センチですから、ウォーターウォールといいながら、杖に流し込んだ魔力を一気に解放するようにイメージします。」といいながらタルカはウォーターウォールと唱えた。するとタルカの周りに天井まで届くくらいの巨大な水の塊が出現した。
(すごい!まるで滝みたい。)
「これで魔力を流すのをやめれば壁は消えますし、魔力を流し続ければ流した魔力の分は盾の魔法が術者を守ってくれます。」といった瞬間、水の壁が上の方からだんだんとなくなっていき数秒後ははきれいさっぱりなくなってしまっていた。
「これが盾の魔法……。」
「この魔法は簡単な術式でも使えます。しかし、魔力消費も多いのが難点ですね。」
「だから魔力の多い私向きの魔法なのね。」
「ええ、そうです。ですが、魔力の消費が多い分効果は大きいですよ!」
「じゃあ、しっかりと練習しないとね!」
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