魔力操作
「でも私杖持ってないよ?」
「大丈夫です、ほら」とタルカは手に持っていた袋から杖を取り出した。
「私の杖……でもいつの間に……。」
「細かいことはいいので、はやく始めましょう。」とタルカは自分の杖ホルダーから杖を取り出した。
(でも訓練ってどうやるの?)
「これを使います。」とタルカはまた先ほどの袋からポムのみをだした。ポムはリンゴとなしを合わせたようなフルーツだ。
「えっ、ポムのみ……でもどこから?」
「食堂からふたつ失敬してきました。」
「それはわかったけど……。」
(私の部屋に来たときにはもう持っていたとか?)
「…………お嬢様?」
「まさか……。」
「どうしましたか?」
袋をよく観察すると細かな石の飾りが、日光を浴びてキラキラと反射していた。
(あの飾り………どこかで………)
「その袋はほしいものを取り寄せる力がついてるとか?」
「………ばれましたか………正確には自身の魔力が届く範囲内のものなら取り寄せることが可能になる袋です。この袋全体に魔法がかけられていて、飾りの石はその魔法や使用者の魔力を補助する役割をするんです。」
「だから、城の食堂からポムのみを取りに行けたのね。」
「ええ、でもまさか袋の能力に気がつくとは………。」
「でもどうやって魔力を使っているの?」
「杖を使うのとそんなに変わりません。この袋はいわゆる魔導具と呼ばれるものですから。」
「じゃあ、この杖も?」
「ええ、その種類に入りますが……魔導具の説明は種類も多く分類しにくいのでまた今度にしましょう。」
「………わかったわ。」と私はタルカから今日契約をおこなったばかりの自分の杖を受け取った。
「それで……訓練ってどうするのよ。」
「初心の頃に行う訓練ですが………まぁ見ていてください。」といいながらタルカは自分から少し離れたところにポムのみをおき杖を構えた。数秒後ポムのみがカタカタと細かく振動して、振動が止まったあとにゆっくりと空中へと浮かび上がった。
(これって浮遊って言うのかしら?すごい!)
「まずこのポムのみをこのように動かすことから始めましょう。」
「わかったわ!」と私はタルカの用意してくれたポムのみを袋から取り出し、同じように杖を構えた。
(魔力…魔力…。)と私はリヒトの店でやったように杖に魔力を流す。魔性石ということもありするすると魔力が杖に吸われていくのを感じる。
(これからポムのみに魔力を流す……どうやって?)
「お嬢様、遠くのものをつかむような感じで操作を行います。」
「遠くのものをつかむ?」と私はポムのみをつかもうとぐっと杖に魔力を込めた。その瞬間ポムのみがぼこぼこと膨れ上がり、爆発でもしたかのように粉々に砕けた。
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