魔導印
「ということは………もしかしてまた血の契約をするの?」
「いえ、魔導印は石を加工するので、今日はできません。」
「そうなの?」
「ええ、魔力をとおす石は魔力を流しやすいぶん加工しにくいので専門の職人がいります。」
「へぇー。」
「昔はお店にも加工場がありその場で加工できたのですが………。」
「そうなんですね。」
「ええ、腕のいい職人もいて………あの頃は楽しかった。」とサミュエルは懐かしむように目を細めた。
「今は、私も加工職人もだいぶ年を取ってしまって……。」
「いい思い出なのね。」
「はい………苦労も多かったですが………。」
「お嬢様そろそろ。」
「ええ、ごめんなさい。次の予定があって………。」
「承知しました。では加工場の職人と連絡をとって後日お品ものの発注をさせていただきます。」
「わかりました。」
「持ち手の部分はどういたしましょうか?」
「持ち手?」
「ええ、印鑑の持ち手部分には細かな装飾を施す方もいますから。」
「なるほど……。」
(持ち手の装飾………個人的には動物とかもかわいいし………いい職人さんなら可愛く加工してくれるのかな……?)
そんなことを考えているとタルカがそばでこそっと「ここは考えておきますといってください。」耳打ちした。
「すみません。後日でもいいですか?」
「ええ、ではまた発注の時にでもお伺いします。」
「お願いします。」
私達はその後すぐ屋敷に戻った。
「お嬢様、本日の予定は以上です。お疲れのご様子……お部屋にまいりますか?」
「お願いできるかしら?」
今日は、初めて魔力や魔法というものにふれて思ったのは、魔法を使うことに慣れてないと疲れるということだ。魔力は常に力をコントロールしなきゃいけないし、流しすぎると他の物や人に危害を加えてしまう。
(こんな難しい道具うまく扱えるのかな……?)
それに、私の魔力は他の人よりはるかに多い。もしかしたら、使う術によっては人を危険にするかもしれない。
「お嬢様入ってよろしいですか?」
「どうぞ。」
「失礼します。」
「どうしたのタルカ?」
「…………。」タルカは私の手とって、私の目をじっと見つめた。
「………大丈夫か?」
「ええ少し疲れただけ。」と私は無理やり笑顔を作る。
しかし、タルカにはお見通しだったようだ。真剣な面持ちで「ここは二人しかいないし……正直に」と言った。
「私…………魔力を扱える自信がないの。」
「………それで?」とタルカは優しく問いかける。
「誰かに危害を加えてしまったらって。」
「………そうか。魔力のコントロールは難しいから………俺も苦労したよ………もしよかったら少し訓練するか?」
「訓練できるの?」
「ああ、イレーヌはもう杖をもっているから……。」
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