ロジエールとシャレアンテ
私は泣き止んだシャレアンテの手をとって食堂へと向かった。食堂はすでにきれいに片付けられており、中央にある丸テーブルに御者とアルセーラ、ロジエールの3人が座っていた。
「シャレアンテ………。」
シャレアンテは、入りずらそうに顔を下に向けた。その時、私達が入り口に立っていることに気づいたアルセーラが不安そうな顔で駆け寄ってきた。
「お嬢様……。」
「私は大丈夫ですアルセーラ………それより………。」
(ロジエールとシャレアンテは気まずいよね………わざとではないと言え………。)
ロジエールは入り口に立つシャレアンテに近づくと、彼の目線に会わせるように立て膝をついた。一方のシャレアンテはどうしていいのかわからず目線を下に下げて立っていた。
「あっ……………………僕………。」
「シャレアンテ………すまなかった。」とロジエールはあらためて頭を下げた。
(年下の従者にもきちんと頭を下げる……………なかなかできることではない。)
「………。」シャレアンテは最初困ったような顔をしていたが、私の顔を見ると決心したようにしゃべり始めた。
「あなたは悪くありません……………僕も従者としてあのような行動するべきではありませんでした。」
「すまない…………………ありがとうシャレアンテ。」とロジエールがシャレアンテの頭をなでながらほほえんだ。
それから私達は食堂の人に頼んで夕食を用意してもらい、明日の予定日について話し合った。
「明日は何時頃に出ていくの?」
「最初の鐘で出ようと思ってる」
(ということは朝の7時頃かぁ、結構はやいわね。)
「寝坊すると馬車に乗れなくなるぞ。」
「大丈夫ですロジエール。タルカから秘密兵器を借りたので……。」
「じゃあ、大丈夫かな。」
「ロジエール、ルートはどこを通るのですか?」
「………明日の天候次第だが……東ルートか西ルートのどちらかだ。」
「わかりました。お嬢様明日は腰の負担が少なそうです。」とアルセーラは微笑みながら私の顔を見た。
「はやければ、王家の領地内にははいる。」
「王家の領地って?」
「ああ、王家一族が所有してる領地だ。」
(確か………本にもそんな記述があったような………王都周辺の地域よね。)
王家の領地は領主のもつ領地とは違い王家が所有している土地で、王都をぐるっと囲むような形をしているのが特徴だ。
「そこから王都までかぁ………結構かかりますよね。」
「ああ、でもタルカとは連絡を密にとってるし大丈夫だ。」
(そっか………ネッケルとタルカが向こうで準備をしてくれてるんだけ………。)
「タルカとネッケルはもう王都について宿泊の手配や店までの経路の確認などをおこなっているらしい。」
(王都かぁどんなところなんだろう?)と私は妄想を膨らませる。最先端の洋服や美味しいグルメなど昔行った外国の商店街を想像する。
(楽しそう!)
そんな妄想にふけっているとロジエールから肩をポンと叩かれた。
「まだ数日かかるから、今晩はゆっくり休息をとっておくように。」
「はーい。」とロジエールに促された私達は二階に行き寝るための準備をすることとなった。
年下に頭を下げる………なかなかできないですよね。ロジエールがなんだかかっこよく見えてしまいました。シャレアンテとの仲直りもうまくいってよかったです。まだまだ続きます。
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