夕食
今日は途中できることができなかったので、文字数がちょっと多めです。ですが、個人的にカルボナーラぐらいコッテリ系の話ができたと思うので。楽しく読んでくれると嬉しいです。
「ここが私達の部屋です。」
(うん、シンプル!)
部屋は階段をあがった二階にあり、ベットが3つに机と椅子、それからハンガーラックがあるだけだった。
(なんか前世のビジホを思い出すわ………こんな感じだったし………。)
部屋にあがった私はアルセーラが用意してくれた服に着替えベッドに寝そべった。
「シャレアンテも寝ましょう。疲れたでしょ?」
「いえ、私は………。」というシャレアンテの顔は本当に眠そうだ。
「でもこれからも夕食の時とか仕事があるし………少し休んだ方がいいと思うのだけれど………。」と私はシャレアンテを見ながら首をかしげた。
(だって、目がほとんど開いてないもの。)
「わかりました………では少しだけ。」とシャレアンテはベッドに横なった。よほど疲れていたのか、10分とたたないうちにスウスウと寝息をたてて寝てしまった。
(よっぽど疲れていたのね………。)
私も夕食までは寝ることにした。アルセーラに夕食ができたらおこしてくれるよう伝えそのまま寝てしまった。
「おじ……様、お夕……お嬢様起きてください。お夕食の時間です。」
「うっ………はえ………タルカ?」
(タルカはいないはず………。)
「シャレアンテです。アルセーラから夕食ができたと……。」
(そうだった……ここは宿屋だった。)
私は随分と熟睡したみたいで、窓の外を見るともう夜になっていた。
「今何時かしら?」
「数分前に5の鐘がなったところです。」
(ということは7時頃かな……。)
「着替えをしますか?」とシャレアンテはバックを開いた。
「いえ、城の中でも普段からこの服を着ているので…。」
「かしこまりました。」
私はシャレアンテにエスコートされて一階の食堂へと向かった。食堂は広く多くの人々でにぎわっていた。
「こちらですお嬢様。」
(………こんなに人がいるなんて。)
「ありがとうシャレアンテ。」
「いえ、今お食事をお運びいたします。」とシャレアンテは食堂の入り口におかれているカトラリーを持ってきてわたしの前に並べるとロジエールが夕食を持ってきた。
「アルセーラと御者の人は?」
「夕食をみんなぶん取り分けてるよ。」
どうやらここの料理はおおざらでみんなで取り分けて食べるものだったようだ。
(まぁ、城のように何人も使用人がいるわけじゃないから……。)
「でも美味しそう。」
アルセーラの指示なのか、コース料理のようにきちんと前菜やスープなど種類ごとに分けられて料理が届けられた。
「まずは前菜だな。」とロジエールは軽く咳払いをしたあと、リクの実のサラダをわたしの前においた。
「自分で持ちにいくのに……。」
「こうした方が雰囲気がでるだろう?」
「ありがとうロジエール。」
(まずは前菜かぁ………美味しいんだけど………前世の濃い味つけになれてるから………物足りなく感じるんだよな………次期領主として改善すべきかな………ここは海もあるから………。)と考えているとがしゃんという音のあとにカラカラというお皿が転がるおとがした。
(なっ、何事?)と音がした方向を見るとシャレアンテが転んでスープをこぼしたことが見てわかった。どうやらスープを運ぶシャレアンテにロジエールがぶつかってしまったようだ。
「わ、わりぃシャレアンテ。」とロジエールは軽くシャレアンテに詫びたがシャレアンテは目のはしに涙をためて泣くのを必死に我慢していた。
(とりあえず………この状況をなんとかしなければ。)
「ロジエール…あなたはお皿を片付けて何かふくものを持ってきて。」
「はっ、はい。」
(あとはシャレアンテだけど………)
「シャレアンテ………少し落ち着けるように二階へいきましよう。」と私はそっとシャレアンテの肩に触れた。
「………わかりました。」
「おい、持ってきたぞ。」
「ロジエール悪いけど床を拭いて片付けてくれる?私は………。」とシャレアンテを見た。
ロジエールは私の意図を感じ取ったみたいで、「わかった。」といって片付け始めた。
二階につくとシャレアンテはせきをきったように泣き出した。
「……ごめんなざい…………………うまぐ………やろうど………。」
私は泣いているシャレアンテをそっと抱きしめた。
シャレアンテは泣きながらスープをこぼしたことや、眠ってしまったことを謝った。
(二人とも完璧主義なのよね………もっと肩の力を抜けばいいのに………。)
「シャレアンテは従者として頑張っていますよ。」
「でも……ダルガにいざまのようには……。」
「最初からうまくいく人なんていません。タルカだってそうだったのですから……。」
「本当でずが?」と泣いていたシャレアンテが顔を上げてまっすぐ私の目をみた。
「ええ、本当です。」
今は色々な魔法が使えて、完璧に見えるタルカもうまくいかない時も多かった。タルカはそのたびに自分で壁を乗り越えてきた。
「領主一族の側近ですもの………それ相応の努力をしてきたのですよ。」
タルカが私の従者になることが決まった際に、多くの貴族から反対の声があがった。それは、婿養子として来たお父様の親戚貴族が、元々この土地にいた貴族よりも力をもつことを恐れての行動だったが、お父様は多くの貴族の反対を押しきりタルカを私の従者としたのだ。当時のお父様には信じられる人間が限られていたため、身内であるタルカに白羽の矢がたったのだ。
しかし、領主に対する不満が幼いタルカに向けられたのはいうまでもない。
(実際に見えないところでの嫌がらせもあったって聞いたし…………。)
だからこそタルカは努力したのだ。私の従者として完璧を求められたから、幼くして大人にならざるをえなかったのだと思う。
(タルカは努力をしていることを隠すから………。)
私は一度タルカに聞いたことがある何でそんなに頑張ることができるのかと………。そうしたら、真剣な顔で「守りたい人がいるから。」と答えたのだ。
その守りたい人が私なのか、それとも家族なのかはわからない。でも、私はその表情にタルカの覚悟を感じた。
「シャレアンテ………あなた自身もタルカの代役として努力してきたのでしょう?」
幼いシャレアンテが従者として振る舞うためにはマナーなど相当厳しくしつけられたことだろう。
「あなたがした努力を一番わかっているのはあなたですシャレアンテ……皆もあなたの頑張りに気づいていますよ。」というとシャレアンテが涙を服の袖で拭った。
「…………お嬢様………私がもう一度従者としてお仕えしてもよろしいですか?」
「ええ、もちろん。皆もわかってくれると思います。」とそっとシャレアンテの髪を撫でた。
シャレアンテはタルカのようになりたいと憧れ、背伸びをしちゃう気持ち…難しいですね。私も、小さい頃によく大人のように振る舞いたいと背伸びをしてしまっていたのでわかる~と思いながらこのエピソードを書きました。最後の声かけは難しいなぁと思い何度も修正をしました。
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